魅惑のネコ耳?
※本編とは大いに関係ない話です。
ぶっとんでいます。心してください(笑)。
いつもの朝。
いつものように起きだしたアールは、いつものように熱いコーヒーに牛乳たっぷりに入れていた。
「朝はこれが一番……」
瞳を細めて、そのコーヒーを堪能していたときであった。
「マスター、その……おはよう、ございます」
食堂の扉の向こう、何故か姿を隠しながら、カリスが挨拶してきた。
「そこに居ないで、こっちに来たら?」
アールの言葉に、カリスはしぶしぶ出てきた。
ぶっ!!
思わず、アールはコーヒーを噴出す。テーブルはアールの噴出したコーヒー塗れになっていた。
「ごほごほ……そ、それ……どしたの?」
「ネコ耳病です……たぶん」
確か、仕事で寄った惑星で、奇妙な病気がはやっていると聞いていたが……。
「だ、だって、カリス。君は……」
「でも、なってしまいました」
可愛らしいネコ耳と、可愛らしい、長い白尻尾。
「まあ、一週間くらいしたら元に戻るらしいから」
テーブルを拭き取りながら、アールはそういって、朝食の準備を始めようとした。
が、大して気にしない様子のアールを、カリスは不服に思ったのか。
「マスター、想像してみてください」
「何を?」
フライパンに卵を割り入れ、目玉焼きを作るアール。その返事はそっけなかった。
「私は『女神様』に似せられて作りました」
どこからか取り出したヘアブラシとくるくるドライヤー。それで、カリスは凄まじいスピードで髪の毛をふわんふわんのカールにしてみせた。
「もし、その『女神様』がネコ耳になったらどうします?」
「えっ……」
アールの料理する手が、止まった。
もわわわわーーーん!
ぴこぴこっとしたネコ耳。
白い尻尾をゆらゆらと揺らして。
白いネグリジェのようなワンピースを身に纏った、カリスの言う『女神』が上目遣いでやってくる。四つんばいで。
「ねえ、あなた。ごはんにする? お風呂にする? それとも……私を食べるにゃん?」
ぶぶっ!!
思わずアールは鼻を押さえた。
「なななな、な、何を言うんだ、かかか、カリスっ!!」
慌てふためくアールに、カリスは非情にも、更にこう続けた。
「なら、『天使様』ならどうです? まだ小さな赤ちゃんですが、それが成長して、学生くらいになったら、どうです?」
もわわわわーーーん!
ぴこぴこっとしたネコ耳。
白い尻尾をゆらゆらと揺らして。
カジュアル系のスカート。ひざ上はばっちり絶対領域が展開されている、ちら見せ太ももが眩しい。
「ねえ、パパ♪ ネコ耳も似合う……カナ?」
ぶびびっ!!
アールの作っていた目玉焼きが、いつの間にか焦げ付いている。ついでにいうと、赤いものが大量に入っている辺り、もう食べれないだろう。残念なことになっている。
「なななな、何を……あっ……」
血を大量に出した所為か、アールの目の前が……真っ暗になった。
「……という夢を見たんだ」
頭を抑えながら、アールはため息混じりにそう、カリスに語り聞かせていた。
「どう思う?」
アールの言葉にカリスは一言。
「夢の中の私、グッジョブです」
真剣な眼差しで、ぴっと親指を立てた。
その様子にアールは、またため息を零すと。
「そういうと、思った……」
はあっと、またため息つきつつ、朝食作りに向かうアール。
それを見送るカリスは……。
「面白い夢を見させる作戦、大成功っと……『女神様』喜んでいただけるでしょうか」
僅かに微笑んで、『女神様』にメールを送っていたのであった。