昔々の話
昔話をしよう。
そうあれは……今から数百年前の話だ。
宇宙の外れに小さな星があった。
辺境というのに相応しいかもしれない。
けれど、そこには『皇国』と呼ばれる国が豊かに栄えていた。
その国は、他の国にはない『超能力』を『科学』に変換する技術を持っていた。
それと……まあ、あるポリシーによって、見た目重視のモーターギアが開発されてもいた。
そのため、他国からモーターギアの注文も殺到してたし、技術提供も申請されてたと思う。
けれど……栄華を迎える前に、その国は臨戦態勢に入った。
『魔王襲来』。
正確に言うと、彼らが戦っていたのは、魔王の眷属。
魔王から生み出された、人ならざるもの。
そして、獣でもなかった。
いわば、魔物と言ってもいいだろう。
彼らがその国を攻めてきたのだ。
皇国は、彼らに対抗するために、持てる技術を眷属を滅ぼすために費やした。
そのために、何万という人々も失っていた。
そして、皇国の皇主は、国を守るために禁忌を犯した。
配合してはならぬものを配合し、人であって人でないものを二人作った。
その結果、魔王……いや、眷属を生み出す『闇』を消し去ることに成功したのだ。
だが、その代償として、皇国にいる人々を失ってしまった。
人ならざるもの以外、全て。
残された二人は、かつて『皇国』があった星を浄化した後、宇宙を彷徨いながら眠りについた。
その後の二人がどうなったのかって?
さてね、どこにいるんだか。
もう死んでしまってるかもしれないし、どこかの辺境でのんびり暮らしているかもしれない。
そんな昔の話さ。