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挑戦者~次代への試練  作者: 熊原 大智
新世界、第一の試練
8/12

7.「遠征に~出発で~ございま~す」

感想、何でも良いのでお願いします!

誤字脱字、どんな文が良い、ここをこうすればもっと面白いのでは無いか、何でも大丈夫です!


ヒカルがふざけた調子で言う。

「遠征に~出発で~ございま~す」

 どこか間の抜けた掛け声に、思わず苦笑が漏れた。

 気づけば季節は四月の終わり。本来なら大学生活が始まり、新しい環境に戸惑いながらも、それなりに充実した日々を送っているはずの時期だ。

 だが現実は違う。

 講義もなければサークルもない。キャンパスに通うことすら許されていない。

 あるのはただ一つ――ダンジョンとレベリングだけだった。

「……まあ、ないんだけどな」

 ぽつりと呟きながら肩をすくめる。

 そんな俺を横目に、正利が静かに口を開いた。

「準備は整っています。行きましょう」

「ああ」

 短く応じる。

 こうして俺たちは、新潟への遠征に出発した。

 親には例によって「キャンプ」とだけ伝えてある。もはや常套句になりつつある言い訳だ。

(……いつまで通じるんだこれ)

 そんなことを考えつつも、車内の空気はどこか高揚していた。

 未知のダンジョン。

 新しい敵。

 そして、さらなるレベルアップ。

 不安よりも期待の方が大きかった。

 ――そして到着。

 駅前に降り立った瞬間、俺は言葉を失った。

「……人、多すぎだろ」

 視界に入るのは、圧倒的な人の数。

 だが、それだけじゃない。

 一人一人から漂う空気が違う。

「……覚醒者、だな」

 恵が小さく呟く。

 その言葉通りだった。

 視線が鋭い。

 動きに無駄がない。

 どこか張り詰めた空気。

 一般人とは明らかに違う“戦う側の人間”の雰囲気がそこにはあった。

「この調子だと、日本じゃすぐ限界来そうだな」

 ヒカルが肩をすくめる。

「海外遠征も時間の問題かもね~」

 軽い口調だが、その言葉には現実味があった。

 これだけ人が集まれば、ダンジョンの奪い合いは避けられない。

 むしろ――すでに始まっているのかもしれない。

「まあ、でも」

 その空気を断ち切るように、正利が静かに言う。

「ここにいる大半は、“こちら側”です」

「……は?」

 一瞬、意味が分からなかった。

「継承機関のメンバーです」

「……マジで?」

 思わず聞き返す。

 だが正利は、当たり前のように頷いた。

「この数週間で、ある程度の基盤は整えました」

「いや、早すぎだろ……」

 素直にそう思う。

 数千規模の組織を、たった数週間で?

 普通じゃない。

「ダンジョンのシステムが優秀なんです」

 詩乃が補足する。

「犯罪履歴や危険性の判定も、ある程度は可視化されるの」

「……万能すぎない?」

 思わず呟く。

 だが、その機能があるなら納得できる。

「変な奴を弾けるってことか」

「ええ」

 正利が頷く。

 つまり――

 ここにいるのは、ある程度“選別された覚醒者”ということだ。

(……この人、やっぱりやばいな)

 改めてそう思う。

 統率力が桁違いだ。

「とりあえず、入るぞ」

 人混みを抜け、俺たちはダンジョンへと向かった。

 入口は一つ。

 だが中に入ると――

「……静かだな」

 外の喧騒が嘘のように消えていた。

「インスタンス型っぽいね」

 ヒカルが周囲を見ながら言う。

「中は分かれてるんだと思う」

「なるほどな」

 つまり、争いは入口だけ。

 中に入れば、自分たちのフィールド。

 それなら戦いやすい。

 奥へ進む。

 湿った空気。

 薄暗い視界。

 そして――

「来るぞ」

 正利の声と同時に。

 地面が揺れた。

 現れたのはオークの群れ。

 数十体。

 さらにその奥にはオーガが数体控えている。

「……いい数だな」

 思わず呟く。

 だが次の瞬間。

 オークたちが一斉に突進してきた。

「散れ!」

 即座に指示を出す。

 同時に念動力を発動。

 視界内のオークをまとめて押し潰す。

 ぐしゃり、と鈍い音が響く。

 だが。

「……硬いな」

 潰しきれない個体もいる。

 明らかに耐久力が高い。

「なら!」

 日本刀を抜く。

 一気に踏み込み、斬る。

 肉を断つ感触。

 血が飛び散る。

 それでも止まらない。

「下がって!」

 恵の声。

 直後、雷が走った。

 数体のオークが吹き飛ぶ。

「助かる」

「でしょ?」

 余裕の笑み。

「オーガは任せた」

「ああ」

 視線を向ける。

 明らかに格が違う存在。

 だが――

「行きます」

 正利が前に出た。

 次の瞬間、突っ込んでいた。

 正面から。

 オーガに。

「おい正面は――」

 止める間もなく、拳が叩き込まれる。

 鈍い衝撃音。

 オーガがよろめく。

「……通るのかよ」

 純粋なパワー。

 だが、それが通用している。

「サポート入れますね~」

 ヒカルの声。

 体が軽くなる。

「それ、HPと精神同時回復っす」

「便利すぎだろ」

「ヒーラーっすからね~」

 軽いが、確実に頼もしい。

(ヒーラー、マジで貴重だな)

この世界、HPは減りにくい。

だが――体力と連動している。

つまり。動くだけで、HPが削れるのだ。

「……長期戦はきついな」

そう言いながらも戦闘は続く。

斬って、潰して、撃ち抜く。

連携は完璧とは言えないけれど

「押してる!」

確実に、前に進んでいた。そして最後の一体を斬り伏せたとき。

静寂が戻る。

「……はぁ」

「いや~疲れた」

ヒカルがその場に座り込む。

「一旦休憩ね」

恵も腰を下ろす。

その後。

俺たちは交代で見張りを立てながら、休憩を取った。

しばらくすれば――

モンスターは復活する。

「……効率いいな」

「でしょ?」

恵が笑う。

こうして。

俺たちの生活は――変わった。

だが――

確実に、強くなっている。

 戦いの余韻が体に残る。

 だが同時に、確かな手応えもあった。

 ――戦える。

 このメンバーなら。



----------------------------------------------------------------



気づけば、かなりの時間が経っていた。

 正確な日数は分からない。

 ダンジョンに潜り、外に出て、また潜る――その繰り返しの中で、時間の感覚はすっかり曖昧になっていた。

 だが、それでも一つだけ確かなことがある。

「……確実に強くなってるな」

 ステータスを開き、全員の数値を確認する。

 レベルはおおよそ三十五から三十七付近。

 最初に比べれば、見違えるほど成長している。

 だが――

「ここから、上がらねえな」

 ヒカルが肩を落とす。

「完全に頭打ちだね~」

 恵も同じように息を吐いた。

 経験値の伸びが、明らかに鈍化している。

 雑魚では、もう大きな成長は望めない。

 ならば――

「……行くか。ボス」

 自然とその言葉が口をついて出た。

 視線の先には、ダンジョン最奥に鎮座する扉。

 重厚で、圧迫感のあるそれは、明らかに“先へ進む者”を試す存在だった。

 だが。

「……軽いんだよな、これ」

 手をかける。

 抵抗はほとんどない。

 ギィ、と軋む音と共に、扉はあっさりと開いた。

 その先にいたのは――

「……でけえな」

 オーガ。

 だが、今までの個体とは明らかに違う。

 体格。

 圧力。

 存在感。

 そのすべてが、桁違いだった。

「……鑑定する」

 恵が目を細める。

 一瞬の静寂。

 そして――

「オーガキング。レベル……五十六」

「……は?」

 思わず声が漏れた。

 二十近いレベル差。完全に格上だ。

 その瞬間。

「来るぞ!!」

 正利の声が響いた。

 次の瞬間、地面が砕ける。

 オーガキングが踏み込んだのだ。

 速い。巨体とは思えない速度で、一気に距離を詰めてくる。

「散開!!」

 叫ぶと同時に、念動力を叩き込む。

 見えない圧力がオーガキングを押し潰す――が。

「……効きが浅い!」

 止まらない。そのまま拳が振り下ろされる。

「くっ……!」

 横へ飛ぶ。直後、地面が抉れた。

(まともに食らったら終わりだな……)

「サポート入れる!」

 ヒカルの声。

 同時に体が軽くなる。

 精神の消耗も、一気に回復していく。

(助かる……!)

「雷、行くよ!」

 恵の魔法が放たれる。

 雷撃が直撃し、一瞬だけ動きが止まる。

「今だ!!」

 踏み込む。

 日本刀を振り抜く。

 だが――

「硬っ……!」

 刃が浅い。決定打にならない。

「前は任せてください」

 正利が前に出る。

 その目は完全に戦闘モードだった。

「……はっ!」

 拳が叩き込まれる。

 衝撃が伝わり、オーガキングの体勢がわずかに崩れる。

(正面から押せるのかよ……!)

「ヒカル、回復回せるか!」

「ギリっすね~!」

「なら!」

 深く息を吸う。

 集中する。

 念動力を一点に絞る。

(核……あるなら、そこだ)

 見えない“芯”を探る。

 そして――

「潰れろ!!」

 全力で圧をかけた。

 一瞬。

 オーガキングの動きが止まる。

「……効いた!」

「続けろ!!」

 正利の声が飛ぶ。

 全員で畳みかける。

 雷撃。斬撃。打撃。

 連携は荒い。

 だが――確実に削れている。

 そして。

「……っ!」

 最後の一撃。

 首元を断ち切る。巨体が、ゆっくりと崩れ落ちた。

「……勝った、か」

 全身から力が抜けた。

 そのまま、その場に座り込む。

「つかれた~」

「正利さん強すぎない?」

そんな話をしながらダンジョンを出た。




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継承機関(サクセッション)


人数_2400人強

アイテム保管数_数万個




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モンスターの構造


 -全てのモンスターには核が存在し、核とダンジョンが魔力の紐を結ぶことで継続てきに生活している生き物です。動物型などの一部の種には核の他に心臓があり、さほど地球上の生物と変わりません。ただし、魔力がなければ生きていけず、現時点ではダンジョンの外には行くことができません。しかし例外があります。ダンジョンが発生し、高まっていく魔力濃度によっていずれはモンスターが地球上を徘徊することになるでしょう、これが第四の試練を攻略できなかった際の終末であり、終焉です。


小説家になろうの読者の評価ほど信頼できる評価は無いと思っています!評価とコメント、お願いします!

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