6.鳥君は真の乱闘をその目に移す
なんだかんだで自己紹介は終わったのはいい。
いいんだが――目の前にいる連中を見て、俺は一瞬、本気で思った。
(……これ、人間か?)
最初は順調だった。
会話は成立していたし、全員が最低限の理性はあるように見えた。
だが、時間が経つにつれて理解する。
こいつら、全員どこかズレている。
いや、“まともな奴が一人もいない”と言った方が正しい。
それでも不思議と、空気は悪くない。
クセの強い連中ばかりのはずなのに、妙に居心地がいい。
まるで最初から、このメンバーで集まることが決まっていたような――そんな感覚。
そして、その空気をぶち壊す一言が飛ぶ。
「じゃあ、まずはパーティー名決めるか」
ヒカルの軽い一言。
――ここからが地獄だった。
「“ダークブレイカーズ”とかどうっすか?」
「ダサい」
即死。
「“QUEEN’s Order”は?」
「それ私が目立つだけじゃない?」
詩乃が即却下。
「“最強軍団☆”!」
「却下」
恒一、爆散。
「……ラプターでいいだろ」
俺が出した案。
悪くないと思った。シンプルだし、無駄に痛くない。
だが――
「それ、却下ね」
恵が一刀両断。
「は?」
「なんかダサい」
「いやシンプルでいいだろ!?」
「はい次ー」
完全に流された。
(……ラプター、普通に良くね?)
内心で少し引きずる。
そんな中――
「……“怪鳥”って入れないの?」
不意に、落ち着いた声が入る。
視線を向けると、黒羽の隣に座っていた男――黒瀬が静かに口を開いていた。
存在感が薄いわけじゃない。
むしろ逆だ。
気配を抑えているのに、確実に“いる”と分かるタイプ。
「俺らの通り名、活かすのもアリだと思うけど」
その一言で、場の流れが少し変わる。
「……確かに」
正利が頷く。
「コンセプトとしては統一感が出ますね」
だが――
「いや、それ中二臭くね?」
ヒカルが即ツッコミ。
「お前が言うな」
俺は思わず突っ込んだ。
そんなやり取りを繰り返しながら、議論は泥沼へと沈んでいく。
そして――
「……プロヴォカートルでいいんじゃないですか?」
正利の一言で、空気が止まった。
「……意味は?」
「“挑発する者たち”。あるいは、“世界に抗う者たち”という解釈もできます」
静かな説明。
だが、それは妙にしっくりきた。
世界に挑む。
試練に抗う。
今の俺たちを、そのまま表しているような名前。
「……いいな、それ」
「悪くない」
「かっこいいじゃん」
否定は出なかった。
こうして、パーティー名は決まる。
プロヴォカートル――世界に挑む者たち。
……結果的に、一番まともだった。
だが当然のように終わらない。
「あと、もう一つ」
正利が続ける。
「ダンジョンのシステムで、“ギルド”を作ることができるらしい」
「……は?」
「覚醒者をまとめる組織です」
「ゲームかよ……」
「パーティーとは別枠で、大規模戦力を管理できる」
詩乃が補足する。
「情報共有や拠点運営にも使える」
「……それ、必須じゃね?」
ヒカルが言う。
「だからこそ」
正利が続ける。
「ギルドも作るべきです」
そして――
また地獄が始まる。
「“最強連合”!」
「ダサい」
「“黒翼同盟”!」
「痛い」
「“怪鳥連合”!」
「やめろそれ」
黒瀬が静かに却下した。
ちょっと面白かった。
だが結局――
「継承機関、でどう?」
詩乃の一言で決着する。
「“挑戦者と随伴者”の関係にも合うでしょ?先代からその座を奪わなきゃなんだし」
「……確かに」
自然と納得した。
こうしてギルド名は――継承機関に決定。
「で、誰がまとめる?」
沈黙。
「……正利さんでいいんじゃない?」
恵の一言。
「異議なし」
「賛成」
「任せる」
即決。
「……いや、ちょっと待ってください」
「無理」
俺が即答。
「俺らに運営は無理」
「ぐだる」
「確実に崩壊する」
全員一致。
「……分かりました」
正利が苦笑して頷く。こうして、指揮系統も決まった。そして本題へ。
「どこでレベリングする?」
ヒカルがスマホを見る。
「関東、ほぼダンジョン枯れてる」
「早すぎだろ」
「人が多いからな」
「新潟、長野が有力」
黒瀬が静かに補足する。
「未開拓がまだ残ってる」
「……遠征か」
「このままだと海外に行く羽目になるかもな」
簡単じゃない。
だが。
「行くしかない」
誰も否定しない。
俺は思い出す。
第二の試練。
ダンジョンの可視化。モンスターの流出。人類の覚醒。つまり――
完全な戦場。
「……その前に強くなる」
自然と口に出る。
「だな」
「遅れたら終わりだ」
黒瀬が短く言う。
その一言に、妙な重みがあった。
「今でさえ、壊れてる奴いるしな」
ヒカルが苦笑する。
人間同士の争い。
それは、もう始まっている。
「だから」
俺は言う。
「今のうちに、上に行く」
全員が頷く。
「決まりですね」
正利が締める。
「新潟、長野でレベリング」
「戦力強化」
「試練への備え」
こうして――
俺たち
プロヴォカートル
そして
継承機関サクセッションは、
本格的に動き出した。
来るべき試練に抗うために。
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皆のレベル
-仁 23レベ
-恵 15レベ
-正利さん 14レベ
-ヒカル 12レベ
-以下同文!
次回、遠征
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