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26.会議室では


「佐伯さん。この事態は、どういうことですか?」


正利が、静かに切り出した。

場所は機関本部、四階会議室。

今回のダンジョンブレイクを受け、異例の規模で関係者が集められていた。

防衛大臣。

ダンジョン対策室室長。

警視総監。

継承機関付属ダンジョン研究所所長。

そして――NDGU学長。

他にも、法務や防衛の専門家たちが顔を揃えている。

重苦しい空気の中、視線が一人に集まった。

佐伯だ。


「……申し訳ございません」

短く、頭を下げる。

それだけで、この場の全員が理解していた。

――責任の所在は、曖昧ではない。

永田町、ひいては皇居周辺のダンジョンは、

ダンジョン関連法の制定以降、国家主導で管理されていた。

自衛隊と警察。

だが――

「無理があった、ということか」

誰かが、低く呟く。

元々、現場は限界だった。

そこへ新規ダンジョンの発生。

そして――今回の崩壊。

「……ええ」

佐伯は否定しなかった。

会議室に沈黙が落ちる。

誰もが、分かっている。

そして――誰もが、口にしない。

責任の押し付け合いを始めれば、収拾がつかなくなるからだ。

「それで」

沈黙を破ったのは、正利だった。

「どうするんですか」

淡々とした声音。

だが、その一言で場の空気が締まる。

「ダンジョン対策課だけでは対処できず、結果的に探索者が介入している」

事実の確認。

逃げ場はない。

やがて、防衛大臣が重い口を開いた。

「……現行体制では、管理は不可能です」

誰も反論しない。

「探索者主体へ戻すべきでしょう」

かつての形。

民間探索者が主導し、国家は緊急時に介入する。

「自衛隊と警察は、あくまで非常時対応とする」

その提案に、

「それがいい」

「現実的だな」

同意の声が、静かに広がっていく。

流れは決まった。

「では、結論を」

正利が促す。

佐伯さんが口を開いた。

「ダンジョン対策課は――一団体として再編」

「継承機関を通じ、ダンジョン攻略に参加する形が適切かと」

国営ギルド。

その言葉が、自然と共有される。

「ドロップ品の管理や、国営オークションなどは既に継承機関へ委託していますしね」

「妥当だな」

警察や自衛隊の人員は、民間の百分の一にも満たない。

前線に常駐させるには、無理がある。

「緊急時の戦力として運用するのが最適でしょう」

異論は出なかった。

「では、その方針で」

正利がまとめる。

「本件は以上とします」

一度、空気が緩む。

だが――

「少し、よろしいでしょうか」

声を上げたのは、NDGU学長だった。

「この機会に、共有しておきたいことがあります」

再び、全員の視線が集まる。

「NDGUは、九月に開校が決定しました」

「入学予定者も順調に集まっています」

「また、ダンジョン対策課および継承機関との連携も進んでいます」

軽く頭を下げる。

小さな拍手が起きた。

だが、学長は続ける。

「……問題は、国外です」

空気が変わる。

「各国から、問い合わせが相次いでいます」

「大学の分校設置、継承機関支部の新設――」

外務事務次官が、眉を寄せる。

「実際、要望は増えている」

「この数日で、かなりの数が来ている」

学長は苦笑した。

「既に主要国には機関が置いてありますがね」

アメリカ、オーストラリア、フランス、ドイツ、イギリス、ロシア。

「これ以上は、現実的ではありません」

「増やせないのか?」

「不可能です」

できるわけがない。

「これらの国には、条件を飲ませています」

――継承機関への不干渉。

――ダンジョン関連法の整備。

――探索者の自主性の保証。

「これ以上広げれば、統制が崩れます」

誰も反論できない。

ため息が、あちこちから漏れる。

「大学も似たような物ですね。開校の目処が付いただけですから。」

「では――」

正利が口を開く。

「新規支部の設置は見送る、でいいですね」

「ダンジョンブレイク対応を優先する、と」

異論はなかった。

「以上です」

会議は、静かに終わった。




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国立対ダンジョン総合大学

NDGU(National Dungeon General University)


・継承機関と国の協力により設立。ダンジョンについての研究や、ダンジョン攻略の最適解を探すために作られた。




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