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あき缶
公園であき缶を拾った。長く続いた暑い夏の夕立のあとだった。
先程の風雨でどこからか転がってきたのだろう。
足に当たり止まった缶を拾い上げて蓋を開けると、缶の奥の暗闇がキラキラと光った。
赤や青や黄緑色の光は缶から溢れ、海の水のように勢いよく天に向かい、秋刀魚の群れが跳び出した。
スズムシの鳴き声と共にショウリョウバッタとクツワムシが次々と跳ね、アキアカネが空に円を描く。ススキが冷めた風を呼び、金木犀と銀杏の香りが広がった。
柿と栗と葡萄がはじけ、缶の底には蒼い夜と白い満月が残った。蓋を閉め、あき缶をゴミ箱に捨てた。
これでもうすぐ夏が終わる。




