序章:逃げる人 追うモノ
誤字&感想お待ちしております!!
決して、ホラーではございません。
よく、晴れた日のことだった。
お昼過ぎの町は、誰もいないような錯覚に陥るほど、静か過ぎた。これは、平穏な日常である証である。
しかし、町の一部では異様な空気が流れていた。
っは・・っは・・・っは・・・・っは。
町の路地裏に響く、息遣い。そして、人が走る足音。
ブロンドの髪を向かい風になびかせて必死に走る子供がいた。男なのか女なのかは、その中性的な顔立ちからは判断できない。
その子供の後ろからは、カシャン カシャン プス プスと奇妙な機械音が追いかけていた。
「・・っう。きつい・・・。まだ走らないといけないのかなぁ」
幼い声が、息苦しそうに言葉を紡ぐ。その言語は、間違いなく日本語だ。
・・・っは・・・っは・・バタン!!
「うわぁ!!っつぅ、いたたたた。」
疲れ果てた子供の足はみごとに自分自身の足に絡まりこけてしまった。膝からは、血が薄っすらと滲みやがて、線を描くように靴のほうへと流れいるが、子供は気にしていなかった。気にするのは、後ろから徐々に近づいてくる音だけ。
子供は、そっと後ろを振り返った。その約50m後に『何か』がいた。それを見た子供は、唇を噛んだ。
「・・・。あと、50mくらいかな。・・・・急がないと、殺される。」
この状況を分からない人から見ると、映画の撮影かドラマの撮影だろうと思うだろう。また、それが、友達であるのなら「ぶっそうだなぁ~」と笑いながら言うかもしれない。
近づいてくる機械音に慌てて立ち上がろうとするが、膝が笑って立つことができなかった。
カシャン カシャン プス プス プス プス プス プス プス
プス ・・・・ガシャン。
奇妙な音と共に、音は止まった。
子供は、顔を青くしながら後ろを振り返った。
わずか20m後に『何か』がいた。その『何か』は人の形をしていた。人の形をした『何か』は、服を着ていなかった。しかし、問題なのはそこではない。その『何か』は顔がなかったのだ。もちろん、目の耳も鼻も口さえもない。髪もなく、もちろん靴だって履いていなかった。そう、それはまるで、『マネキン』だといったらいいだろう。
動くマネキンは、服を身に着ける代わりに、ベルト状のものを肩から腰にかけて左右が交差させるように留めており、そこには無数の銃弾らしきものが取り付けられていた。そして、右手にはモデルガンと思わしきマシンガンを一丁、左手にはサバイバルナイフと思われる刃物を持っていた。
マネキンは、右手をゆっくりと上に上げる。子供の頭の位置までゆっくりと・・・。
そして________________。
そして、どうなるのでしょう。