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俺の特殊能力で、“ブチッ”と一瞬で殺してやる!

作者: 七瀬







俺には子供の頃から、“奇妙な特殊能力があった!”

嫌いな相手を、風船のように膨らませてブチッと割って殺すというモノ。

普段の生活ではこの特殊能力は一切でないのだが......。

俺が本気で嫌いな相手には“怒りで”この能力が覚醒する!






最初にこの能力を使った相手は、“俺の母親だった。”

あんまりにも俺に口やかましく言うもんだから俺は母親に逆ギレして

怒りが込み上げてきた。

その瞬間! 俺の能力が覚醒した!



『ママなんか大嫌いだ!』

『文君、ママはね、文君の為に言ってるのよ!』

『ママなんか大嫌い!』

『・・・文君、』


【ギャー――アアア! 何!? 何が起きてるの!?】

『文君、助けて!』

『ママ、ばいばい!』

【・・・ふ、文、く、ん、】

【ブチッ】





・・・一瞬だった。

ママは風船のように大きく膨らんでみるみる大きくなって

そして割れた。

割れた瞬間、部屋中にママの血があちこち飛び散った。

ママの体が風船のように膨らんでいる間に、体の中では酸が溢れ骨まで

溶かしていた。

跡形もなくママは消えちゃった。

俺の服や顔にはママの血がベットリとついていた。

俺は冷静に着ていた服を全部脱いで洗濯機の中に入れ洗濯した。

飛び散った部屋一面の血はキレイに俺が雑巾で拭き取ったよ。



・・・そして、

俺はパパが仕事から帰って来るとパパにこう言ったんだ。



『・・・ママが、ママが、僕を置いて出て行っちゃったよ。』

『えぇ!?』

『パパ! どうしたらいい?』

『パパが文を守るから! 何にも文は心配する必要はないんだよ。』

『・・・パパ!』





遺体がないのだから、俺がパパに言った事を何の疑いもなくパパは

信じていた。

そして今も......。

俺はママが亡くなった事で、この能力を封印する事を心に決める!

もう誰も失いたくない!

誰も嫌いになりたくないし、傷つけないと誓う!

例え、俺を本気で嫌いな奴が現れようが俺はそいつを嫌いにならない。

あんな辛い出来事にもう二度とならない為にも耐える事を俺は知る。





『おい? 川嶌、お前の母ちゃんなんでいなんだよ。』

『“浮気したんじゃねーの?”』

『お前の弁当は“茶色いもんな~!”』

『・・・・・・』

『何か言えよ!』

【ボーン!】

『やめろよ。』

『お前が答えないからだろうが!』

『僕のママは浮気をするような女性じゃないよ。』

『いい歳の男が、未だにママかよ!』

『キモイんだよ!』

【バシッ】

『やめろって!』

『まあいいやー今日のところはここまでにしてやるよ! でも次会ったら?

ぶん殴るからな!』

『僕は君に何もしてないよ。』

『うるせー!』

【バチン】






よくコイツに俺は殴られ蹴られる事があった。

俺を嫌いな奴からだ!

何故? 俺をそいつが嫌いなのかはよく分からない。

ただ俺を見つけると? そいつは決まって突っかかってくる!

意味なく俺はコイツに嫌われているのだろう。




・・・でも? 俺は怒ったりしない!

もし俺が怒りに任せて怒ってしまったら? 

またママのように俺が殺してしまう。

俺はママが大好きだった!

あの時、俺がママに言った事を後悔している。

大好きなママを、“大嫌いといった事。”







 *






・・・でも? 俺はまたこの能力を使ってしまった。

仕方なかったんだ!

あいつがママの事を悪く言ったから。

俺のママが“アル中で尻軽女と言った。”

本気であいつは言った訳じゃないのかもしれない!

それでも、俺はつい切れてしまう。

【ブチッ】という音が俺の頭の中で鳴った。





その後の事は、何も憶えていない!

ただ、もう使われていない倉庫のような場所に連れて行かれて

そこでこの能力を俺はまた使ったらしい。

ママの時と一緒だ。

気が付いた時には、あちこち血が飛び散っていた。

あいつはもう、ここには居なかった。

それと俺の着ていた服はあいつの血をバケツでかぶったみたいに血で

染まっていた。

俺はまたやってしまったと後悔する。

もう人は殺さないと心に決めたのに......。

その願いはまた叶わなかった。




『すまない。』





俺はあの時のように、キレイに血を吹いて倉庫を後にする。

着ていた服も家の裏庭で夜中に燃やした。

証拠は何も残っていない!





もう二度と! 俺は人を殺さないと決めたのに......。

次こそは、もうこの能力を使わないと誓う!



最後までお読みいただきありがとうございます。

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