操Side「それからの休日」
葛城さんの依頼を解決してから3日が経った。青空の下、今か今かと11番と書かれた整理券を眺める。そして、ぼんやりと、過ごした日々を回顧していた。
依頼解決後の次の日。葛城さんから御礼を兼ねたお茶をしたいと言われて、八ツ屋町のタリーズで落ち合う。その際、初対面の時と変わらない、元気そうな真凛ちゃんにも再会した。彼女は生きている。そう思い、間近で真凛ちゃんの顔を見た時は、心から嬉しかった。それは呪いを収束させ、綾さん達を浄化させられた証拠でもあるから。一入、葛城さん達との時間は楽しいものだった。
タリーズで彼女らに、これまでの経緯を打ち明かす。二人とも真剣に傾聴していて、大変でしたね、と二人に頗る感謝された。それで喜々としていたのを覚えている。またマリリンさんの怪我や、葛城さんのお父さんの怪我も回復していると聞き、なお喜んだものだ。
気付けば、あれこれ話し込んで、最後には真凛ちゃんとも連絡先を交換していた。完全にクライアントの関係を超えていたような……。いや、超えている。でなければ、真凛ちゃんと一緒に、こうしてマリーナに来ていないはずだ。まあ、依頼が大変だったから、息抜きに打つのも良いだろう。それを小町に話したら、あいつは不機嫌そうに「いってらっしゃい」と言っていたが。
「明才地さん。今日は何を打つんですか?」
背後から真凛ちゃんの可愛らしい声が聞こえた。改めて、彼女を見ると、うん。可愛い。小町も童顔で可愛いのだが、真凛ちゃんは、また別の可愛さを持っている。アイドルのような、少女のような、守りたくなる要素を兼ねていた。
「なに、鼻の下を伸ばしているんですか?」
いかん。邪な想いが表出していたようだ。
「すまん、すまん。そうだな。やっぱりアイムギャグラーかな。一応、新台入れ替えした444番台を打ってみたい」
「ええっ! やめておいたほうが良いですよ」
「どうしてだ?」
彼女に忠告され、その理由を尋ねる。ため息を吐いた真凛ちゃんは、現在の444番台の状況を教えてくれた。
「確かに明才地さんが呪いを解決させたと言ってから、怪我をする人がいなくなりました。が、まーったく出ないんですよ。ここのところ。2日間のデータを見たんですが、既にこの2日でメダル5,000枚吸い込んでいます」
「5,000枚!? 10万もか!」
「そうですよ。今まで出ていた台が出なくなって、異常なほど現金を吸い込んでいるから、常連さんの間では『呪いはまだ続いている』と言われていますよ」
店長。設定下げやがったな。
「真凛、そうだったのか。いやっ、でも、今日こそ出るかもしれないぞ。設定上げで、その分が出る可能性も」
話し込んでいると、拡声器を通した店員の声が耳に入る。この声、佐竹店長だ。約束通り、ギャグラーをウチに来たぞ。さて、そろそろ開店するみたいだ。
「明才地さん、頑張りましょう」
「そうだな。まあ、楽しみながら、だな」
DSGの扉が開き、列が動き出す。さあ、444番台の「呪い」を解きに行くか。
了




