第七話
ちょっと虫との戦いは一休み♪
「見えたわ。あの小学校にいるはずよ。」
アンリが指差した方向に白い建物がある。外壁には崩れているところは見えなかった。まるで何もなかったかのように、白い建物は建っていた。
「崩れてないんだな。」
マックがそう呟く。
「俺らの学校も崩れてないんじゃね?」
「たぶんな。」
二人は少し、小学校を眺めていた。
「うっし、行くか!!体育館にいるんだろ?」
「たぶんな。教室にはいないだろ。」
マックとデモが小学校に向かって歩き出そうとした。その二人をアンリが呼び止めた。
「ちょっと待って。ほんとに行くの?相手は刀を持っているのよ。勝てるわけないじゃない。」
「大丈夫だって。なんとかなるっての。」
「大丈夫じゃないでしょ。あんた達ほぼ丸腰状態なのよ?」
「木刀があるだろ。」
「マックだけでしょ。デモ、あんた木刀拾ってこなかったじゃないの。」
「ありゃ?そういえば忘れてたな。」
デモが腰になにもないことに気づく。
「マックの木刀だって、あたしの矢が刺さったりして、もうボロボロじゃないの。」
マックの木刀には穴が開いていた。切先はへこみ、刃の部分はでこぼこになっている。
「これでかまわん。」
「かまわんじゃないわよ。負けたらどうするの?」
「マックが負けるわけないだろ。なんたって、この俺より強いんだから!!」
「あんたなんか、あたしでも勝てるよ!!」
「なんだって?やってやろうじゃないの。」
「上等、かかってきなさいよ!!」
デモとアンリが身構えた。その間にマックが入る。
「やめとけやめとけ。要するに、何か武器がないとアンリはいかないってことだな?」
「そうよ。」
「わかった。なら小学校に行く前に、どこかで使えるものでも探すとしよう。」
マックはそういうと、坂を下りていった。
「デモ!!ほんとに大丈夫なの?」
「俺は喧嘩には手を出さないぜ。キレてるあいつには敵わんからな。」
「あいつほんとに強いの?」
「強いぜ。少なくとも、お前よりな。」
ボカっと、デモがアンリに殴られた。二人は文句を言い合いながら、マックの後についていった。
三人は小学校の周りにある家の中に、バラバラに入っていった。しばらくして、お互いが見つけたものを持ってきて、集まった。
「よし。各々が持ってきたものを言ってくれ。まずは俺からだ。」
マックが手に持っていた物を地面に置いた。
「果物用ナイフ、フライパン、おたま。まぁ台所を探せばこれくらいはどこでも出ただろ。」
「あたしも大体同じものよ。」
アンリが持っていた物も、大体マックと同じだった。その中に制汗スプレーが入っていた。
「そんなもの持ってきてどうすんだよ。」
デモが指摘する。
「汗かきたくないのよ。そういうあんたは何もって来たの?」
アンリが言い返しながら、デモを促した。
へへっと言いながら、持っていた物を地面に置く。
「パチンコに物干し竿、とんかちもあったぜ。あとはハーモニカにボールぐらいだな。」
「最後の二つは何よ。」
「なんかあったから持ってきた。あ、ライターもあったぜ。」
デモがライターを取り出して、マックに渡す。
「まさかお前、これだけか?」
「安心しろよ。ナイフとかは持ってきてるって。」
「持ってきてなかったら殴っていたところだ。」
デモとマックが声を出して笑った。アンリがデモの頭を叩いていった。
「パチンコと物干し竿はなんなのよ。」
「パチンコは結構使えるし、物干し竿は棒と変わらないだろ?」
「誰が使うのよ。」
「パチンコは俺だろ。ライターはマックが使うから、お前は物干し竿だな。」
「なんであたしが竿なのよ!!普通逆でしょ?」
「お前は普通じゃないんだ、これで合ってるだろ?」
ドカっと、アンリがデモの頭を殴る。
「こんなに殴られたら、いつか俺死んじゃうぜ。」
「今死ね!!」
アンリがデモに怒鳴った。耳を塞ぎながら、デモは物干し竿を持ち、パチンコをアンリに渡した。
「これでいいだろ?ったく、わがままなんだから。」
アンリがデモの頬をつねる。埒が明かないという顔をしたマックは、ナイフをポケットに入れ、フライパンを持った。
「ほら、さっさと行くぞ。」
マックの言葉に従って、二人はお互いを睨みながら、小学校に向かっていった。
小学校の体育館の前に着いた。
「よーし、いっちょ行きますか!!」
デモが勢いよく、扉の前に行こうとした。マックがそれをとめる。
「俺が行く。お前ら二人はここで待っていろ。」
マックがデモを引っ張り、前に出た。
「いいのか?刀持ってんだぜ?」
「俺を信用できないのか?」
「なわけないだろ。強さだけなら誰よりも強いと思ってるよ。保険だ保険。」
「そんなものはいらん。」
「あんた、ほんとに大丈夫?あんたがやられちゃったら、あたしはこいつと二人だけになるのよ?それだけはいや。」
「俺もいや。」
デモとアンリが睨みあう。
「いいからそこで待っとけ。俺が出てくるまで、二人でボールでも蹴ってろ。」
そういうとマックは体育館の扉に行ってしまった。
「じゃぁ横で待ってるから、早めに終わらせてこいよ。」
デモがそういうと、マックは腕を上げた。わかったという意味だ。
「俺らはあっちにいようぜ。」
デモが窓のある方に向かっていった。
「ねぇ、ほんとに大丈夫なの?」
「心配しすぎだって。マックの喧嘩を見てきたんだ、安心しろ。」
「あたしはみたことないのよ!!」
上に窓がある。デモが窓を見上げ、アンリのほうに振り返りニヤけた。
「それなら、見てみるか?」
がらがらと、体育館の扉が開く音が聞こえた。