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第六話

ガサガサ

木が揺れる音がした。マックは音がした方向を見た。なにもいない。

「どうしたマック?」

アンリのつねりから解放されたデモは、自分のほっぺを擦りながら聞いた。

「・・・くるぞ。」

マックは木刀を構えながら、低い声で言った。

「くるって、なによ?」

アンリがマックに問う。デモはマックの言いたいことがわかり、木刀を構えた。

「いいから後ろにさがっとけ。女の出る幕じゃない。」

デモがニヤリと笑いながら言った。

ガサガサ

さっきより近くで音がした。近づいてきている。「くるぞ」とマックはデモに目で合図した。

目の前の木が折れる。でかい鎌のようなものが見えた。続いて、体が現れた。

カマキリだ。身長は2階建ての家より大きい。鎌の長さは1mをゆうに越える。

「でかすぎないか?」

デモが呟いた。

「なんでこんなところにカマキリがいるのよ。」

アンリが言う。

「いなかったのか?」

「ここはあたしの庭って言ったでしょ?カマキリなんて見たことないわ。」

「食い物でも探しにここまできたのかな?」

俺らと同じだなという顔をして、デモはカマキリを見た。

カマキリはしばらく、自分の鎌をこすっていた。そのあと、動きが止まった。

「下がれ。」

マックが言う。デモとマックはじりじりと下がっていった。

「アンリは後ろにいろ。」

デモが真剣な声でいう。アンリはうなずき、背負っていた弓を構えた。

突然、カマキリが鎌を振り下ろした。デモとマックが左右に分かれる。

鎌には届かないなと、マックは思い、カマキリの側面に回る。

カマキリはデモのほうに向いた。デモの銀髪が目についたようだ。鎌を振り、デモを仕留めようとしていた。

「こいつ、俺ばっかり。」

デモは必死に鎌をよけた。でかい図体に似合わず、鎌のスピードは速い。

マックがカマキリの足を叩いた。足は硬い。おまけに関節は高い位置にあり、木刀が届かなかった。

「まずいな。」

いつもの関節潰しができない、そう思い、マックは腹の下にもぐりこんだ。

腹を力いっぱい叩く。カマキリは痛みを感じ、羽を広げて飛び上った。

「そっか、カマキリって飛べるんだ。」

デモが上に飛んだカマキリを見て、感心したように言った。

「逃げるぞ。」

カマキリが飛んだ後、カバンを持って駆け出したマックが言った。デモも後ろを向き、駆け出す。

「アンリ!!お前も行くぞ!!」

デモがアンリに言った。

「わかってるわよ!!」

アンリも駆け出す。

カマキリが羽をしまう。と同時に、逃げた三人を追いかけてきた。

デモが後ろを向く。すぐ後ろにマックがいた。マックは肩にカバンを持っているにもかかわらず、いつもの速さで走っていた。その後ろを、アンリが走っていた。

カマキリの動きはあまり速くなかったが、それでもジリジリと距離を詰められていった。

飛び出している木の根っこが邪魔をする。身軽なデモとマックは根っこにつまずかないように走り抜けた。アンリは根っこの位置を把握しているように、軽々と飛び越えていった。

「コンビニが見えたぞ!!」

デモが叫ぶ。マックがさらにスピードを上げて駆け出した。

アンリはデモの声で前を見て、後ろを向いた。カマキリとの距離は近かったが、コンビニに着くまでは追いつかれない。

そう思ったアンリは、前を向いた。しかし、木の根っこにつまずいてしまった。

こんなところに?と思ったままアンリはこけた。短い悲鳴が出る。

悲鳴を聞いたデモとマックが振り向く。地面に倒れているアンリと、アンリのすぐ後ろに来ていたカマキリが目に入った。

舌打ちをしながらデモがアンリのほうに駆け出した。

「デモ!!」

マックが叫ぶ。しかしデモは振り返らなかった。

カマキリが鎌を振り上げる。そのままアンリに向かって振り下ろした。

アンリは後ずさった。デモの声が聞こえる。アンリが後ろを振り向くと、デモが木刀を構えていた。思いっきり木刀を投げる。木刀はカマキリの目に当たった。そのままデモはアンリを抱えあげ、カマキリの後ろに駆けた。カマキリの鎌が、誰もいない地面に突き刺さる。

「ごめん。」

アンリの声が聞こえたが、デモは何も言わず、アンリを抱えていた。後ろを振り向き、コンビニを見る。前にはカマキリが立ち止まって、二人を見ていた。

「アンリ。」

デモがアンリの名前を言った。

「何よ。」

アンリが答える。デモがアンリの顔を見て、笑った。

「死んだらごめん。」

「え?なに、ちょっ・・・」

アンリの言葉をふせぐように、アンリを抱えたまま、デモが駆け出した。

デモの上に鎌が振り下ろされる。デモは避けようともしない。アンリは目を瞑る。その瞬間、カマキリが鳴き声を上げた。

アンリはカマキリを見た。カマキリの目を、木刀が貫いていた。木刀を握るマックの姿がそこにあった。

「遅いんだよ。」

デモが言った。

「カバンを置いてきたんだ。しかたないだろ?」

そういって木刀を引き抜くと、もう片方の目に向かって、思いっきり突き刺した。

目が見えなくなったカマキリは、ところかまわず鎌を振った。振り回している鎌が、走っているデモの肩をかすった。アンリを抱えていた手が緩む。アンリが落ちそうになるのを必死で押さえながら、穴が開いているところから、コンビニの中に入っていった。コンビニのイスにつまずいて、こける。

続いてマックが、カマキリの体液で濡れた木刀を持って、コンビニに入ってきた。

「あいつは?」

デモが聞く。

「あっちでまだなんかやってるぜ。」

マックが言った。

「とりあえず、早くここから逃げましょう。」

アンリはそういって立ち上がり、コンビニの駐車場に向かった。

「さっきまでびびってたのに。」

デモがぶつけた頭を押さえながら言った。

「びびってない!!」

アンリがデモの頭を叩く。

「いぃぃって!!」

デモの叫び声がコンビニに響く。

「なにやってんだよ。」

呆れながらマックが言った。


坂が下り坂になるところで、三人は止まった。

「ここまでくれば大丈夫だろ。」

デモが息を整えながら言った。

「ほら。」

マックがデモとアンリにペットボトルを渡す。

「サンキュ。」

「ありがとう。」

二人は蓋をあけ、中の飲み物を飲んだ。

太陽がほぼ真上にきた。今日も日差しが強い。

ひとしきり休憩した後、デモが立ち上がって言った。

「さってと、小学校に向かうか。」

「え?なんで小学校に行くのよ?」

デモが言った言葉に、アンリが質問した。

「なんでっていってもな。マックが行こうとしてんだし。」

「そうなの?」

二人はマックのほうを向いた。ワックスで前髪を整えてたマックが、二人を見る。

「当たり前だろ。」

「え?どうして?」

「聞くな。」

マックはそういうと、立ち上がり、歩いていった。

アンリがデモに聞く。

「どうしたのあいつ?」

「お前の言ったことに腹が立っているんだよ。」

「私が何言ったって言うのよ!!」

「林の中で言ってただろ?不良たちがどうたらって。」

「だからなによ?」

「ぶっ飛ばしに行くんだよ。ああいう奴らが嫌いなんだ、あいつは。」

「そうなの?」

立ち上がったデモがアンリのほうを向く。

「もちろんお前も来るだろ?」

「何であたしまで。」

「もうコンビニには使えるものは残ってないぜ?あいつが全部持っていったから。ここに残るわけにゃいかないだろ?」

「それもそうだけど。それにしても、あのカバン、重くないのかしら?」

「おれにもわからん。」

デモが伸びをする。すでに下り坂の中ほどまで歩いていったマックが叫んだ。

「おーい、早く来いよ。」

「おー、今行く。」

そういうと二人は歩き出した。

アンリが思い出したように言う。

「さっきはその、ありがとね。」

そう言ったアンリは少し照れくさそうだった。それをみてデモがにやりと笑う。

「ああ。そういえばそうだったな。」

そういうとデモはアンリに顔を近づけた。

「え?なによ?」

アンリが言う。

「感謝するなら言葉より行動で、だ。」

そういうとデモはアンリにキスをした。いきなりのことでアンリは驚いて動けなかった。唇が離れた瞬間、アンリがデモを殴った。

「な、なにすんのよ!!」

「いってぇな。いいじゃねぇかキスぐらい。」

「よくなぁぁぁい!!」

アンリの声が響き渡る。マックが遠くから口笛を鳴らしていた。

照りつける日差しよりこいつのほうがきつい、デモはそう思いながら、殴られた頬を擦っていた。

ベタな展開があったかな?w

最後はほとんど妄想です・・・

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