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第四話

コンビニの中は薄暗く、床には割れたガラスが散らばっていて、歩きづらかった。

商品棚に置かれていたであろう商品は床に落ち、中身が飛び出していた。いろいろな商品の臭いが混ざり、コンビニ内の空気は悪かった。

「あーー、まいったねこの臭い。鼻がおかしくなるぜ。」

袖で鼻を塞ぎながら、デモは奥へと進んでいった。マックはしゃがみこみ、中身が無事な商品を探していた。

「おいデモ。あんま奥行くなよ。」

「大丈夫だって。」

手をひらひらさせながら歩いていく。

ぐにゃ

ふとデモの足がガラスではないものを踏んだ。お?っといいながら、デモは自分の足元を見る。

薄暗いせいかよく見えない。ガラスを足で掃い、しゃがみこんでその物体を見てみた。

細長い物体。落ちていたのは、人間の腕だった。

「うぉぁぁぁ!!」

驚いたデモは後ろにさがった。勢いよく後ろに後ずさったせいで、後頭部を商品棚にぶつけてしまった。

「いっつぅぅ・・・」

後頭部を抑えながら、デモはマックのとこに駆け寄った。

「お前、何してんだ?」

「腕!!人間の腕が!!」

「腕?虫の食いかけじゃないのか?」

「食いかけって・・・。」

デモはちらちらと腕があった場所に目をやる。

「もうやだ。早く出ようぜ。」

「馬鹿なこと言うな。こんなに食料があるんだぜ?見過ごせないだろ。」

「どれもこれも中身がでてるじゃん・・・。」

「よくみろ。缶詰のやつは無事だ。」

見ると、マックが持っていたバックの中には既に缶詰が10個以上入っていた。

「お前は飲み物のとこみてこい。案外残ってるもんだぜ?」

「ちぇ。わかったよ。」

デモはしぶしぶとドリンクコーナーのほうへ向かった。

ドリンクコーナーのほうの床は濡れていた。破裂した缶からジュースが流れ出たのだろう。

「缶のやつはビールばっかだな・・・。ボトルのほうはないのかな?」

デモは手探りで棚に手を突っ込んだ。棚の奥の方に入っていたものは無事なものが多かった。

「やりぃ。ファンタゲットだぜ!!」

デモは適当にボトルを抱えると、マックのほうに行った。

「飲み物も結構無事なんだな。」

「だろ?ファンタオレンジはなかったのか?」

「ないな。在っても持ってこねぇよ。時代はグレープ。」

「あんな甘ったるいの飲めるかっつの。」

「は?オレンジこそ薬みたいな味だろが。」

「おい。俺のオレンジを馬鹿にするな。」

「グレープこそすべて。」

「せめてマスカットにしろ。」

「お前こそ、グレープフルーツにしろよ。」

他愛のない会話が続く。

40分ほど探索しただろうか。マックのカバンの中には、缶詰やボトル、ワックスやウェットティッシュまで入っていた。

「ワックスいらないだろ・・・。」

「前髪がうざいんだ。」

「なら切れよ・・・。」

「ざけんな。俺のチャームポイントだ。」

「わけわかんね。」

二人はいったん外に出た。外はまだ焦げ臭い。

二人はボトルのふたを開け、ジュースを飲んだ。

「それよりお前、さっき腕があったとか言ってたな?」

「そうなんだよ。こうばっさりと切られたような感じでさ。」

「食いかけにしてはきれいなんだな。」

「ほんとに食いかけか?もう一度見てみたくなった。」

「あんなにびびってたのに、またびびりたいのか?」

「うるせ、お前もこい。」

飲みかけのジュースを地面に置き、二人は再び中に入っていった。

腕があった所に着くと、デモはマックの後ろに隠れた。

「どのへんだ?」

「そこらへんだよ。ガラスがない部分あるだろ?」

「これか?」

マックがデモのほうを振り向いた。その手にさっきの腕を持って。

「バカ!!ふざけんな!!」

デモは一気に入り口まで逃げる。マックはその場でニヤついていた。

「お前、ほんと耐性ないんだな。」

マックが笑いながら言った。コンビニの外に出たデモは、怒った口調でマックの悪口を言っている。

マックはげらげらと笑いながら、腕を放り投げ、コンビニの外に出てきた。

「これくらいでびびりやがって。笑いが止まらんわ。」

マックがずっと笑い続けているので、デモは腹が立ってきた。飲みかけのジュースを手に取り、マックに投げつけた。前髪からジュースが滴り落ちる。

「・・・おい。なにすんだよ。」

マックは笑いを止めた。デモが反論する。

「俺がああいうの苦手なの知ってるくせに!!」

「だからって飲み物投げんなよ。もったいない。」

マックは袖で髪を拭き、ため息まじりに悪態をついた。

デモはそんなマックを見ていると、誰かの視線を感じた。

キョロキョロと周りを見渡す。しかし周りには誰もいない。

コンビニの中をみた。目を凝らしてみる。レジの奥にある事務所のドア。壊れて崩れかかったそのドアから、一人の人間が二人を見ていた。

デモと目が合う。瞬間、そいつは事務所の中に入っていった。

「あ!!おい!!」

デモがいきなり叫んだので、マックは驚いた。

「なんだいきな・・」

マックの言葉を遮るように、デモが言った。

「人だ!!人がいた!!追うぞ!!」

「え?は?どこに?」

「いいからカバン持て!!」

デモに急かされるままカバンを持ったマックは、コンビニの中に入っていったデモの後についていった。

デモは事務所のドアを開いた。というより壊した。ドアの奥には机などが散乱している部屋があった。その奥に大きな穴が見えた。

穴はコンビニの裏に続いているようだった。デモが穴から飛び出す。続いてマックがでてきた。

コンビニの裏は林だった。金網が壊れていて、林の中にいけるようだ。土の上に足跡が残っている。

デモとマックはお互いを見て、林の中に入っていった。


林の土は湿っていた。ところどころ根っこが出ていて、デモは何度もこけそうになった。

しばらく林の中を走る。広い場所に出ると、二人は止まった。そこは木が茂っていなく、空が望めた。

「あいつ、どこいったんだ?」

デモが息を整えながらつぶやいた。

「お前、ほんとに見たのか?」

カバンを担ぎながら走っていたマックは、カバンを下ろし、その上に座った。

「本当だって。たしかに目が合った。」

「ならそいつは、ずっと俺らのこと見てたのか?」

「そうなのかな?でも何で話しかけてこなかったんだろ。」

「お前のアホ面みて悟ったんだろ。『こいつはだめだ』ってな。」

「うっせえな。さっさと行くぞ。」

息を整え終わり、二人はまた駆け出した。

林は奥に進むほど、木が茂っていた。日の光が少し入ってくる程度の薄暗い場所にでた。

デモは立ち止まった。人の気配がする。

デモがマックのほうを振り返った。

「引き返すか?あんま奥に行くのも危なそうだし。」

「さすがにこの先は危ないだろ?いつ虫が出るのかもわからんし。」

「そうしようぜ。まったくあいつはなんだったんだ。」

デモが両手を上に上げて伸びをした。デモが腕を下げた瞬間、林の奥から矢が飛んできた。

「デモ!!」

マックがとっさに木刀で防ぐ。矢が木刀に突き刺さった。

「あんたたち!!さっさとここから出て行きなさい!!」

林の奥から声が聞こえる。しかし、どこから言っているのかわからない。声もくぐもっている。

「あ?誰だてめぇ!!姿みせろ!!」

デモが叫ぶ。同時に木刀を構えた。

「さっさと出て行きなさい!!殺すよ!!」

そういうと、また矢が飛んできた。

デモが木刀で叩き落す。瞬間、矢が飛んできたところに向かって駆け出した。

「そこか!!」

デモが木の後ろに飛び込んだ。

「ちょっと!!触るな!!」

悲鳴に近い叫び声が聞こえた。マックはカバンの上に腰を下ろし、成り行きを見ていた。

「おまえか!!俺らを見てたのは!!矢も撃ってきやがって!!」

デモがそいつに飛び掛った。体勢を崩し、二人は倒れた。

後ろは坂になっていた。二人は絡み合ったまま坂を転げ落ちる。

「お、おい!!デモ!!」

マックが立ち上がり、二人の方へ向かった。

会話多いな・・・

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