創造主の知的生命体育成日記
この世界は、一つの巨大な存在から始まった。
‘その存在‘は多くのものを生み出した、世界の形を決め、宇宙を創り、物質を創り、法則を定義し、様々な星を造り、そして生命を創り出した。
‘その存在‘は何億年もの間、その生命体の進化を見守り続けた。
様々な生命が生まれ、進化していき、様々な要因で絶滅していく様を。
そんな様子を何億年もの間見てきて、ふと、‘その存在‘は思った。
生命に、自分と同じように知能を与えたらどうなるのだろう…と。
最初に創った知的生命体は我を模して創り、あまり干渉せずにどんな行動をするか観察してみた。
するとその生命体は直ぐに同じ種族同士で争いはじめ絶滅してしまった。星のサイズに対して大きすぎたようだ。
次は中途半端な存在ではなく、一つの命で自己完結できる生命体を複数体創ってみた。
すると今度は二百年ほど生き延びたものの、二つの陣営を勝手に作って、戦争をはじめ、片方は封印され、もう片方は我という上位の存在に気付き、力を奪おうと我の元までやってきたので、滅ぼしてやった。
‘その存在‘は前回、前々回の反省を生かして、ある程度文明が育つまで積極的に干渉し、かつ、小さく、多くの種族を創り、それぞれでバランスがとれるようにすることにした。
そこで‘その存在‘は、まず我の代理的存在として、強力な力を持つ種族を創り「神」と名付けた。そして、それぞれ正と負の魔法的指向性エネルギーを有し、「神」の僕的種族として、「使徒」と「魔族」を創り、地上へ降ろし文明の経過を観察したり、アドバイスを出していると、「神」たちが、我のことを「創造主」と呼び始め、積極的にアプローチをとるようになってきた。
しばらくすると「主よ、もっと崇高なる同志が欲しいです」だの、「主よ、数が少なくて仕事が効率的に行えません」だの、文句を言ってくるようになったので、暇つぶしがてら他にも、色々と増やしていこうと思う。
まず、労働力として「巨人族」を創った、そして、魔法の補助のために「精霊族」を創り、そこから派生して、土精霊から「ドワーフ族」を、光の精霊から「エルフ族」を、闇の精霊から「魔人族」を、動物の精霊から「獣人族」を、そして力の精霊から「人族」を創った。
これで労働力は足りるだろう…さて、多くの者が集まると自然と争いも多くなる。実際、多くの種族同士で覇権争いが起こるようになってきた。そして、我自身、それを観察するのが結構楽しかったりする。ここでもし、全種族の精神的支柱である、我がいなくなるとこの世界の趨勢はどうなるんだろうか…
少し試したくなってきた。この世界の運命を。
※この小説は友人たちとプレイしていたオリジナル戦略TRPGを小説化したものです。
初めて投稿するので、誤字脱字等あるかもしれませんし、変な表現が混じるかもしれませんがご容赦ください…