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006

 暫く歩くと1軒目の家に着いた様だ。宿屋から結構近い。これなら宿屋に食事に行くのにも便利だな。って言うか家でかくない?石造りだし。


 周りを見ると石造りの家が多い。宿屋は木造だったよな?


「この辺って石造りの家が多いんですか?」


 判らない時は担当者に聞くのが早い。


「そうですね。基本平屋は石造りです。2階以上の建物は強度の問題で木造になりますね。」


「と言う事は、今日紹介してくれる家は全部石造り?」


「そうなります。何か問題でも?」


「いや。石造りのメリットって何かなと思って。」


「火事になりにくいと言う事と夏涼しいって事ですかね。」


「夏涼しいって事は冬は寒いと?」


「まあ、そうなります。魔法が使えれば問題にはなりませんがね。」


 なるほど、暖房の魔法があるのか?とりあえず家を見せて貰おう。家は平屋だが1LDKでLDKがかなりでかい。12畳位はあるだろう。寝室も大きく8畳はある。つーかLDKにベッドを置いたら前世の僕の部屋より広いし。十分じゃん。異世界不動産安っ!地方都市だと考えても1軒家で家賃7万はなかなか無いぞ。


「他の物件も似たようなもんか?」


「基本作りは似た様な感じになりますね。違いは立地ですかね。」


「なら、ここに決める。」


「よろしいので?」


「家賃は銀貨7枚だったな?」


 5か月分の金貨3枚と銀貨5枚を渡し、鍵を受け取る。サインをして完了だ。


「中にある家具は自由に使って構いません。気に入らなければ捨てても大丈夫です。それから、延長の時はギルドへお越し下さい。」


 そう言えば、気が付かなかったが家具が付いていたな。宿屋の癖で当然だと思って居た。それによく見ると庭が広いな。剣術の練習や魔法の練習が出来そうだ。


 これだけ揃っていると買う物が少なくて助かる。基本食事は外食だから、購入するのは毛布と洋服位だな。明るい内に買い物を済ませよう。


 商店街に向かう。毛布は安かった。銅貨5枚だ。日本円で500円だな。洋服が高い。古着なのに平気で銀貨2~3枚する。3万の古着ってビンテージじゃん。とりあえず着れそうなシャツとズボンを2着ずつ下着を3枚買った。これだけで金貨が1枚飛んだ。古着屋で10万円って、日本ではありえん。


 そう言えばこの世界は食事が2食らしい。朝と晩で昼が無い。理由は朝日が昇ると起きて日が沈むと寝るからだ。起きている時間が短いので食事が2回でも問題無いらしい。しかし、現代日本人にはちと問題がある。生活魔法で明かりが使えると言う事は夜も行動できると言う事だ。流石に夕方の6時や7時には眠れない。そうなると必然的に夕食が遅くなり、昼飯が必要になる。あるいは夜食と言う手もあるが、いずれにせよ3食食べたい。


 人通りが少ない所を見計らいブラスマイヤーに尋ねる。


「なぁ、この世界で昼飯食う奴っていないのか?」


「職人なんかは昼に軽い食事をする者も居るぞ。軽食屋や喫茶店で軽い食事が取れるぞ。」


 ほう?軽食屋に喫茶店か?気になるから行ってみよう。


 ブラスマイヤーに矢印を出して貰い軽食屋とやらに行ってみる。


 軽食屋は食堂より小さめの店舗で、そこで食べると言うよりはテイクアウトが基本らしい。サンドウィッチやスープ類が数種類並んでいる。日本のピザ屋の様な感じかな?適当に購入してストレージにぶち込む。


 次に食堂に向かい夕食を食べる。宿屋の食事も美味かったが、ここの食事も美味い。美味いので3食分テイクアウトしたいと店員に頼む。こちらもストレージにぶち込んで置く。


 家に戻ると既に日が暮れていた。ライトで明かりを灯す。このライトと言う生活魔法、通常は30分位で消えるらしいが、僕が点けると2時間は持つ。これも神様補正なのだろうか?


 魔法と言えば、魔法が覚えたい。


「なあ、ブラスマイヤー。魔法って誰でも使えるんだよな?」


「そうだな。基本魔法は誰でも使える。ただし、使うにはイメージが大切だ。イメージ出来ないと魔法の威力が落ちる。」


「6日後に冒険者の試験がある。それまでに魔法を覚えたい。」


「自分が無茶を言ってるのを理解しているか?」


「まあな、無理なら1か月で攻撃魔法を3つ覚えたい。これならどうだ?」


「魔法の基礎は教えただろう?魔力を流す事は出来る。だが、それを外へ向けるのはかなり難しい。普通は3年位かけてじっくり学ぶ物だ。」


「まあ、無理なら無理で良い。明日の朝、教えてくれ。」


「解った。理論だけは教えてやろう。」


 翌朝、広い庭に出て周りを確認する。ここなら隣の家まで結構距離もあるし、ブラスマイヤーと会話していても問題無いだろう。


「早速だが魔法を教えてくれ。」


「魔法を使うにはまず空気中の魔素を集める必要がある。前にカードに魔力を流すのに体の中から魔素を集めただろう?今度は空気中から魔素を集めて掌に集中させてみろ。」


 イメージは空気中の魔素を掌に集める。こんな感じかな?どの位集めれば良いのだろうか?


「魔素の操作はなかなかだ。次はそれを火に変換してみろ。火が何故燃えるか知っているか?」


「酸素があるからだろ?」


「ほう?正解を出す者がこの世に居るとは思わなかったぞ。お前の世界は余程化学が進んでいる様だ。」


 魔素を火に変換する?魔素を可燃性のガスに変換して着火すれば良いのか?


 そう考えたら掌から1瞬だけ大きな火が出た。


「うわっ!吃驚した。」


「ほう?なかなか筋が良いな。初めてでそれが出来るなら次は炎を安定して出せる様にイメージしてみろ。」


 炎を安定して?って言うとガスバーナーかな?魔素を可燃性のガスに変換してそれを小さな穴から噴射するイメージをしてから着火。それから、安定供給のイメージだな。


 掌から青白い炎が噴き出す。火は小さいが安定している。


「普通はそれを覚えるのに3か月は掛かるぞ。」


「そう言う物なのか?」


「次は火の玉を作ってみろ。」


 火の玉?いきなりハードル上がったな。イメージは、可燃性の物質いや、布にガソリンを含ませる感じかな?そうイメージすると。轟々と燃える火の玉が出来た。


「ちょっと威力があり過ぎるが、まあ合格だ。今度はそれを飛ばしてみろ。直線で10メートルだ。」


 飛ばす?10メートルって投げちゃだめだよね?となるとイメージは弓か銃だな。弓の先に火が付いている『火矢』のイメージ。それを飛ばす。


「それはファイヤーアローだな。俺が望んだのはファイヤーボールだ。」


「ん?違うのか?」


「普通はファイヤーアローの方が難易度が高い。」


 あら?呆れられてる?ファイヤーボールならそう言ってくれればイメージ出来るのに。そう言ってファイヤーボールを撃ってみる。


「やれば出来るでは無いか。」


「いや、これって攻撃魔法としてはどの位の威力があるんだ?」


「ゴブリン程度なら即死だな。だが、ここの所お前が狩っている魔物には通用しない。精々威嚇に使えるくらいだ。」


「魔力切れって無いんだろう?だったらもっと実用的な魔法を教えてくれよ。」


「そうだな。かまいたちって知ってるか?」


「ああ、真空で物を切る空気の現象だな。」


「知っているなら、そのイメージで空気魔法を使ってみろ。」


 かまいたちか、理論は知っているが実際に見た事は無い。イメージし切れるか?かまいたちをイメージしながら魔素を空気に変換させ、飛ばしてみる。


 魔法は発動したが切る対象が無いので何も起こらない。失敗か?


「悪く無いな。ちゃんとウインドカッターが発動したぞ。」


「成功してたのか?」


「威力は低かったが成功はしていた。今度は地面に木でも置いて練習するんだな。」


「解った。で、僕の魔法の腕前ってどうなんだ?」


「そうだな。イメージがしっかり出来ているので、あとは威力を上げれば1人前になるな。狩りに出るなら実践でどんどん使ってみろ。それが上達の早道だ。」


 そう言われたので午後は狩りに出た。魔法は実践では殆ど役に立たなかったが金貨は40枚程稼げた。


「戦闘中でもイメージをしっかり持たないと駄目だな。その辺が課題だ。」


「いや、動きながら攻撃魔法ってどうなの?」


「ソロなら当たり前だ。出来なければ死ぬぞ。」


 いやいや、難易度上げ過ぎだよ。初心者だって忘れてない?


 その日から毎日狩りに出て実践訓練を続けたが、流石に試験までには間に合いそうに無い。明日が試験だし。


 ちなみに4日で金貨200枚は稼いだ。


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