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005

 次の日も女の子に起こされた。食事を取り。もう1泊頼むと銀貨1枚と大銅貨2枚を渡す。


 ん?ちょっと待てよ。金貨の価値が20万円だとすると宿は1泊2万4千円になるぞ。どうなんだ?高く無いか?この宿は冒険者が多く利用しているし、大衆食堂も兼ねている。部屋はシングルだし、特にサービスも無い。多分、安宿だろう。そう考えると2万4千円は高い気がする。冒険者等は長期で利用する場合もあるだろうし。1か月30日止まったら72万だぞ。これは宿が高いのか?金貨の価値を高めに考えすぎた?


 この世界の物価が良く解らないのが問題だ。冒険者ギルドに行く道に屋台があったので覗いてみる。肉串を売っている。


「幾らだ?」


「1本銅貨2枚だよ。」


「2本貰おう。」


 そう言って銅貨を4枚渡す。金貨が20万なら銅貨4枚は800円。屋台が割高だと考えても高い気がする。


「ちなみにエール1杯って幾ら位が相場だ?」


 屋台のおやじに聞いてみると安い所で銅貨2枚。高級店だと銅貨3枚らしい。エールが日本のビールと同じ物だと仮定すると400円から600円か。コンビニなら200円位だよな。発泡酒なら100円位で買えるし。


 金貨1枚20万円説は修正が必要か?でもブラスマイヤーは金貨1枚で家族4人が生活できるって言ってたしな。そもそも日本の物価に合わせようと言う考えが駄目なのか?


 ギルドに着くと昨日と同じ窓口にならぶ、相変わらずここだけ列が短い。


 順番が回って来たので適当な依頼を受ける。


「なあ、なんでこの窓口だけ列が短いんだ?」


「ああ、それは私が結婚してるからですね。」


「ん?それは関係があるのか?」


「冒険者って女性との出会いが少ないんですよ。女冒険者は男性の4分の1と言われてますし、全員が冒険者と結婚しても、半分以上があぶれる訳です。」


「他の窓口の受付は未婚の女性って事か?」


「そうです。実際受付嬢と結婚する冒険者は多いんですよ。冒険者は稼ぎますし、受付嬢は冒険者の貯金を把握してますからね。」


「つまり稼げない冒険者は結婚できないと?」


「ん~、そこは想像にお任せします。ところでエイジさんは昇級試験にエントリーしないんですか?」


「昇級試験?」


「月に1回昇級試験があります、今月は6日後ですね。これに受かると冒険者ランクが上がります。幾ら稼いでも試験に受からないとランクは上がらないんですよ。」


「稼げればランクは関係ないのでは?」


「依頼にもランクがありますので、ランクが高い方が稼ぎやすいのも事実です。基本自分のランクの1個上のランクまでの依頼が受けられます。」


 なるほど、僕のランクがGランクだからFランクの依頼までは受けられるって事か、ならランクは上げて置いて損は無いな。


「エントリーはまだ受け付けているのか?」


「大丈夫ですよ。受けますか?」


「頼む。」


「では、6日後にギルドの裏手にある試験場にお越し下さい。」


「解った。助かったよ。」


 その日は鹿と狼、猿の魔物を15匹位狩って金貨62枚を手にした。受付嬢に寄るとAランクの冒険者並みの稼ぎだそうだ。


 宿に帰ってブラスマイヤーに尋ねる。


「なあ、物価がイマイチ判らないんだが、塩の値段って判るか?」


 塩は生活必需品なので物価の指標になる。


「塩は一袋銅貨5枚って所だな。」


「一袋ってどの位の量だ?」


「1キログラム位だ。」


 1キロが銅貨5枚か?日本なら100円位だぞ。ますます物価が解らなくなる。


「じゃあ、砂糖は?」


「1キロで金貨1枚位だ。」


「え?砂糖どんだけ高いんだ?」


「砂糖は贅沢品だからな。貴族位しか買わんぞ。」


「じゃあ卵はどうだ?」


「卵は2個で銅貨1枚位だな。」


 何だこの世界の物価、めちゃくちゃじゃん。


「服はどうだ?」


「服は基本古着を買う。新品はオーダーメイドになるぞ。」


「解った聞き方が悪かったな。そこそこ裕福な4人家族が1か月暮らすのに必要な金額って幾らだ?」


「金貨10枚位だな。」


 どうやら貧富の差が激しい様だ。そこそこ裕福って事は手取りで50万位かな税金も考えると70~80万位か、それで金貨10枚だと金貨1枚の価値が7~8万になる。


 この世界は基本物価が安いが、贅沢品は急激に高くなる。そう考えると金貨1枚の価値は10万円に設定して置くのが判り易いだろう。


 そう考えれば宿屋の料金も1泊1万2千円となる。泊まり続けると月に36万か、家を借りた方が安いかな?


「あ、もう一つ聞きたい事があった。神って普段どんな仕事してんの?」


「ん?神に仕事など無いぞ。基本世界を作ったら見守るだけだ。ネクタルと言う酒があってな、それを飲みながら下界を見ている。」


「見てるだけ?災害とか起きても放置?」


「そうだな、基本は見ているだけだ。極稀に魔神が生まれたりすると神託を発したり聖剣を数本投げたりする事はあるが、地上に降りる事は無い。」


 魔神が現れても動かないのか?本当に神って楽な仕事だな。


「多分、他の神は俺の事を羨ましがっているんじゃないかな?100年程度とは言え、地上に降りられるなんて滅多に無い事だ。天界は暇だからな、地上の様な刺激がある場所に居る俺を他の神は羨ましいと思って居るはずだ。」


「そう言うもんなのか?」


「そうだな。他に質問は無いのか?」


「いや、神が1人減ったら大変な事態が起こると思って居たんだが、杞憂だった様だな。」


「明日も狩に出るのか?」


「明日は家を借りようと思う。しばらくここで稼ぐなら拠点は必要だ。」


「宿屋じゃ駄目なのか?」


「金が掛かり過ぎる。」


 昇級試験があると言って居た。月に1回だから、5回受けるには最低5か月はこの町にとどまる必要がある。毎月36万は払って居られない。家を借りた方が経済的だろう。


「明日は家を借りられる所へ連れてってくれ。」


「となると商業ギルドだな。」


「って言うか。何気に詳し過ぎないか?」


「神は全知全能だからな。それに俺も昔は冒険者をやっていた。」


「ん?元は人間だったのか?」


「そうだ、2500年前に神になった最も新しく最も強い神、それが俺だ。」


 ブラスマイヤーさんどや顔ですか?


「2500年前?」


「うむ。この世界は3度栄えて3度滅亡した。今は4度目の文明だな。」


「ちなみに4度目の文明が始まって何年経つ?」


「1200年位かな。魔法があるから最初は発展が早いのだが、どうも魔法のせいで文明が停滞気味だな。」


「魔法も善し悪しって事か?」


「そうなるな。しかし、お前がここへ飛ばされて来たのにも何か意味があるのかもしれないな。」


「意味?」


「ああ、だが、誰が何を望んでいるのかは判らん。」


 いや、こっちはもっと判らないから。つーか、僕はこのまま流されて生きていて良いのだろうか?


 とりあえず食事をして今日は寝よう。






 翌朝、またしても女の子に起こされる。食事の時間は守りなさいと怒られた。しっかりした幼女だ。


 食事は謎な肉や野菜が多いが美味いので良しとする。そう言えば朝からエールが付いているが、エールってアルコール度数幾つ位なんだろう?


 ブラスマイヤーに頼んで商業ギルドへ連れて行ってもらう。途中商店街があったので覗いてみるが、やはり謎野菜が多い。日本でお馴染みの野菜は見かけなかった。商店街を抜け更に歩くと高級店が並ぶ一角に出る。その近くに商業ギルドはあった。


 中に入り受付に家を借りたいと言う話をすると、担当者と言う男性が現れた。


「どの様な物件をお探しでしょうか?」


「そうだな、冒険者ギルドに近くて安い所を頼む。」


「安いとは具体的にどの位の予算をお考えで?」


「相場が判らないから任せるよ。一人暮らしだから狭くても構わない。」


「だとすると、月に銀貨7枚程度の物件で宜しいでしょうか?」


 月に銀貨7枚って事は家賃7万円か、悪く無いね。僕が日本で住んでた1DKのアパートが月に9万円だったし。


「一人暮らしだとその位が相場なのか?」


「冒険者はあまり家に居ない事が多いので、この位の価格帯の家を借りる人が多いですね。」


「って言う事は物件数も多いと?」


「そうなります。」


「じゃあ、それで頼むよ。」


 では、と言って、担当者が席を立つ、どうやら幾つか部屋を見せてくれるらしいので着いて行く。



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