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017

 食事を終え、一旦屋敷に帰る。


 僕がここに居ても邪魔なだけだよね?何処に行こうか?


「ブラスマイヤー、何か面白い事ない?」


「俺に聞かれても困るぞ。スローライフはどうなったのだ?」


「まだ、準備が終わって無いんだよ。僕がここに居ても邪魔だろうからさ。何処かに行こうと思ってね。」


「折角魔法が上手くなったのだから狩りに出れば良いのでは無いか?」


「それも、1案だけどさ、なんか貴族ってのは商売をするらしいぞ。何か商売になる物って取れないのか?」


「商売になると言えば、宝石とか鉱石か?」


「そう言えば、アダマンタイトとかオリハルコンって無いの?」


「いや、あるぞ。」


「あるの?なんか伝説上の金属って言われてるらしいけど?」


「伝説は知らんが、俺が人間だった頃は普通に使ってたぞ。」


「魔鉱石とどっちが上なの?」


「優劣は付けがたいな。一番固いのはアダマンタイトだ。魔法が通り易いのがオリハルコンだな。折れにくいのが魔鉱石だ。」


「それぞれに特性がある訳だ。これから採りに行けない?」


「アダマンタイトとオリハルコンなら可能だな。」


「魔鉱石は難しいの?」


「魔鉱石は大山脈にあると言って居たろう?事前調査が必要だな。」


「じゃあ、簡単なのから行きましょう!」


「じゃあ、オリハルコンから行こうか。」


 ブラスマイヤーからイメージが送られてくる。この感覚にもだいぶ慣れたな。映像が鮮明になった所で転移発動。


 どうやらここは湖らしい。


「まさか、湖の底って事は無いよね?」


「お?良く解ったな。」


 おいおい。やっぱりか。これのどこが簡単なんだよ。


「どうするんだよ?湖の水を全部抜くとか無しにしてよ。」


「そんな事はせん。体の周りに障壁を張れ。」


 障壁?防御魔法か?イメージは檻か?いや、それだと水が入るな。ガラスは割れるし、ビニールかな?そんなイメージで障壁を張ってみる。


「弱いな。もう少し厚くしてみろ。」


「厚く厚く。こんな感じか?」


「まあ、良いだろう。そのまま湖の中央まで飛べ。」


 フライで湖の中央へ行く。


「少し微調整するぞ。矢印を出すからその通りに動け。」


 頭の中に矢印が出るのでそれに従う。暫くすると赤い点滅。


「よし、そこで止まって下降しろ。」


 下降って潜るのかい。どんどん下降して行く。かなり深く透明度が低い。何メートル下がったのが全然分からないが、30分位降りてる気がする。


「そろそろ湖底に着くぞ。」


 下降が止まる。ほぼ視界ゼロだ。


「何処にオリハルコンがあるんだ?」


「右に半歩ズレてみろ。」


 言われた通りにずれると何かが足に当たった。岩か?


「それがオリハルコンだ。手で触れて地上に転移しろ。」


 言われた通りに転移すると、地上に戻って来れた。って隣にでかい岩が?


「もしかして、このでかいのが?」


「そうだ、オリハルコンの原石だ。」


 急いでストレージに仕舞う。


「ちなみにオリハルコンって加工できるの?」


「普通の鍛冶屋では無理だな。ストレージを使えば問題無い。」


 おおストレージ凄げぇ!


「じゃあ、次はアダマンタイト行こう!!」


「楽しそうだな。」


「え?なんかこう言うの楽しくない?」


「俺は神だからな、そう言う感情は無いぞ。」


 頭の中に違う景色が流れ込んで来る、今度は山の様だ。イメージが鮮明になるのを待って飛ぶ。


「ほう?ここにアダマンタイトがあるのか?」


 どうやら山の山頂の様だ。特に何かがある感じはしない。


「で、どうするんだ?」


「少し下ったところに祠がある。まずはそこへ行け。」


 よく見ると道の様になっている。多分近くに村があるのだろう。少し下ると小さな祠が見える。


「この祠をどうするんだ?」


「祠の裏へ回ってみろ。」


 言われた通りに祠の裏に回ってみると、そこには剣が刺さっていた。


「これって勇者だけが抜けるとか言う奴か?」


「まあ、そんな奴だな。抜いてみろ。」


 え?そんな簡単に言うけど、僕勇者じゃありませんけど?って、スッと抜けた。


「簡単に抜けたけど、どう言う事?」


「勇者じゃ無ければ抜けないと言うのはステータスの腕力の値だろう。お前の体は一応神の体だからな。勇者よりステータスが高い。当然抜けるだろう。」


「って言うか、このボロボロの両手剣がアダマンタイトなの?」


「鑑定してみろ。」


「ほ、本物だ。」


 ボロボロだが、ストレージに入れて修復すれば元に戻る。


「って言うか、鉱石は無かったの?」


「この大陸には無かったな。他の大陸にはある様だが、近くが良いと言ったのでここにした。」


 それから屋敷に転移し自室に籠り。ストレージでオリハルコンの剣を作ったり。アダマンタイトの剣を修理したりした。


 オリハルコンは剣を30本位作れる位の量があるらしい。そこでふと思いついたことをやってみた。オリハルコンのナイフを作ってみたのだ。今度これを王様に見せてみようどんな反応をするだろうか。


 こうなると魔鉱石も気になるな。事前調査が必要だと言って居たが。


「ブラスマイヤー。魔鉱石の事前調査って何をするんだ?」


「俺の力を持ってしても、あの大山脈の何処に魔鉱石があるか、正確な位置が判らない。だいたいの場所は見当がついているので、実際に近くに行って、正確な位置を把握したい。」


「ほう?ブラスマイヤーでも不可能な事ってあるんだね。」


「我も完全体なら不可能は無いのだが、何せ体が無いからな。」


 申し訳ないっす。


「じゃあ、明日にでも事前調査に行ってみるか?」


「スローライフは構わんのか?」


「スローライフは逃げないさ。」


「では、行ってみよう。あそこは何か気になるのでな。行ってみたかったのだ。」


「ほう?ブラスマイヤーがそう言う事を言うのは初めてじゃ無いか?」


「そうか?体を無くしたのが原因か、地上に降りたのが原因か判らんが人間っぽくなったのかもしれんな。」


 その日は貴族街の食堂へ行ってみた。やはり値段は高かったが、味は悪く無かった。この世界、飯が美味いのだけが救いだな。


「なぁ、この世界に発酵食品って無いのか?」


「発酵食品か?ヨーグルトはあるな。あとチーズもある。酒も発酵食品だな。」


「なるほど、じゃあ、発酵させた調味料ってあるか?」


「調味料で発酵した物?ビネガーだな。他は知らん。」


「ライスってあるのか?」


「ああ、雑穀扱いだが、存在するぞ。」


「雑穀扱いなのか?米で酒を造ったりしないのか?」


「聞いた事は無いな。」


「ちなみにアルコール度数の高い酒って言うと何だ?」


「サトウキビの酒だな。高価だが酒精が強い。」


 サトウキビと言えばウォッカかな?


「蒸留酒と言う概念はあるか?」


「あるぞ。庶民は呑まないが貴族が呑んでるな。」


「だいたい分かった。助かるよ。」


「何が知りたいんだ?」


「商売をしようと思ってね。スローライフの為に。」


「ほう?冒険者は辞めるのか?」


「辞めないよ。冒険者をやりながらでも商売が出来る様に色々と知識を仕入れたんだよ。」


「まあ、俺には関係ないな。お前の数十年。俺にとっては1瞬だ。」


「悠久を生きるってどんな気持ちなんだ?」


「神に気持ちは無い。しいて言うなら時の流れに身をゆだねるのみかな。」


「ブラスマイヤーって意外と詩人だな。」


 一晩寝て起きてすぐに、買って置いた食事を取り。大山脈へと向かう。


 まずは大山脈の北東部分に転移する。そこに魔鉱石の反応があるらしい。高地らしく寒い。


「暖房の魔法って無いのか?」


「魔法の洋服を着るイメージで温度調節してみろ。」


 コートをイメージして魔法を着てみる。寒さが止まった。


「で、どの辺から反応がするんだ。」


「あそこに洞窟の様な崩れた個所があるだろう?」


 頭の中に矢印が浮かぶ。


「ほう、あそこか?」


「とりあえず、あそこに転移してくれ。」


 転移すると。結構な大きさが崩落した後の様だ。


「この左奥だな。距離は300メートル位だ。」


「ほう?行くのか?」

 

「何時でも転移で逃げられる様に準備してから進め。」


「解った。」


 そう言うと僕はゆっくりと奥へと進んで行く。何故か明るい。


「なあ、おかしく無いか?妙に明るいぞ。」


「魔鉱石は緑色に淡く発光する。それだけ埋蔵量が多いと言う事では無いか?」


 更に進むと確かに緑色に光っている。


「どうやら、何処かに穴が開いている様だ。そこから太陽の光が入って反射してるらしい。」


「なるほどね、それでこの明るさか。」


「いや、待て、何か居るぞ。」


「魔物か?」


「この感じはロックタートルのはずなのだが。」


「はずなのだが?」


「妙に魔力を感じる。」


 と、それの姿が目に入った。緑色に輝く亀。でかいミドリガメ?


「あのロックタートル魔鉱石を食いやがった。」


「何?ミスリルリザートと同じ現象か?」


「そうだ。だが、普通の魔物に魔鉱石は食えないはずなんだが。」


「水に溶けだしたのを飲んでたんじゃないか?そして長い時間をかけて魔鉱石を食える程に成長したとか?」


「あり得んが筋は通ってるな。」


「倒せるのか?」


「亀だからな。甲羅は魔鉱石だが、他は違うだろう。」


「亀ならひっくり返せば何とかなるんじゃね?」


 試しにロックパイルを下から突き上げてみる。お、上手くひっくり返った。


「ひっくり返したのは良いが、首と手足を引っ込めたぞ。どう攻撃する?」


「確か、腹の甲羅は柔らかいはず。」


「柔らかいと言っても並の剣では刃が立たないぞ。」


「並の剣ならね。」


 そう言って僕はアダマンタイトの両手剣を装備し、真上から突き刺した。


 亀はなんか吠えながら悶えている。今度はオリハルコンの剣を装備し、首を刈った。


「なんかあっけないね。」


 どうやら、この亀の甲羅も魔鉱石らしいので全部ストレージに仕舞う。


「ところで、この壁一面全部魔鉱石?」


「そうだ、かなりの埋蔵量だな。」


「剣一振り分あれば良いって言われたんだけどどうしよう?」


「まず1メートル四方の四角をイメージして壁に触れ。」


 1メートル四方ってこの位かな?


「そのまま、さっき亀が居た所に転移させてみろ。」


 ん?こうか?お、四角が飛んだ。


「そうだ、そんな感じで10個も持って行けば良いだろう。」


「じゃあ、王様の分1個と僕の分10個で11個だな。」


 全部ストレージにぶち込んで終わりだ。って言うか、まだ1万倍位残ってるんですけど、どうしましょう?


「必要になったらまた来ればよい。」


「それもそっか。」



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