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012

 翌朝朝食を食べてから、幼女にもう一泊頼むと言って銀貨1枚と大銅貨2枚を渡す。まだ、8時前なので王城へ行くのは失礼だと思い。町をぶらついて時間を潰す。


「なぁ、ブラスマイヤー。王城へ行ったら作法とかあるのか?」


「ああ、一応あるが王様に会えるとは限らんぞ。」


「あ、それもそうか。でも、もし会う事になったらどうする?」


「その時は俺が小声で指示してやる。」


「頼むぞ。」


 2時間程あちこち回ってみたがやはり王都は広い。多分、全部見るには丸1日以上かかるだろう。10時の鐘が鳴ったので王城へと向かう。10時を過ぎれば流石に失礼では無いだろう。20分程で王城へ着いた。かなりの大きさだ。正面の門も4メートル位の高さがあり。幅も馬車が2台並んで通れる位ある。両端に門番が立っているが向かって右の門番の横には何やら小屋の様な物が付いている。


 とりあえず、向かって右の門番に声を掛ける。


「済みません。これを上の方に渡して欲しいのですが。」


「これは冒険者ギルドのマスターからの手紙か?」


「はい、ここで渡すように言われました。」


「ちょっと待ってろ隊長の指示を仰いでくる。」


 そう言って小屋の中のベンチみたいな物を指さした。ここに座って待てと言う事らしい。どうやら、ここで待つのは普通らしく。ベンチは6~7人座れるようになっている。


 少し待つと騎士の格好をした人が現れ。突いて来る様に言われるので付いて行く。


 なんか結婚式場の控室みたいな場所へ通された。


「ここで暫く待っていたまえ。」


 解りましたと答え。ソファに恐る恐る座った。フカフカだ。2分ほどするとノックと共にメイドらしき人が入って来た。紅茶と焼き菓子の様な物を出してくれる。


 ありがとうございます。と礼を言い。紅茶を飲む。喉がカラカラだ。良く解らないが上等な茶葉なのだろう。


 それから5分程待っていると今度は執事の様な格好の初老の紳士が現れた。


「エイジ様ですね。こちらへどうぞ。」


 そう言われて何処かへ連れていかれる。今度は応接室の様だ。中央の椅子に誰かが座っている。かなりの威厳がある。もしかして王様?


「君がエイジ君かね?私はミーレン公爵だ。」


「公爵様ですか?私が冒険者のエイジです。」


「娘のセレスティアを助けて貰って感謝している。」


「いや、あれは本当に偶然で。感謝されるような物ではありません。」


「謙虚なのだな。だが実際、君があの場に居なければ娘は死んでいただろう。偶然だとしても神の導きだろう。」


「はぁ。」


「この話を兄にしたらな、兄からも其方に褒美を与えたいと言う話になってな。大げさなのは好まんかもしれんが、受けてやってくれ。」


「えーと、お兄さんと言うのは?」


「兄は、この国の国王をしている。兄の子は男ばかりでな、セレスティアを可愛がってくれているのだ。」


「なるほど、お話は理解しました。」


「では行こうか。」


 ん?何処へ?


 公爵が席を立って歩いて行くので付いて行く。これって王様に会いに行くんじゃね?公爵が部屋をノックして返事を待たずにドアを開ける。先程の応接室に似ている。どうやら謁見場では無さそうだ。


「おう、その子が例の冒険者か?」


「はい、エイジ殿と申します。」


「うむ、セレスティアを助けた件、誠に大儀じゃ。」


「ありがとうございます。」


 王様出ちゃったよどうすんの?助けてブラスマイヤー。


「まあ、畏まらなくても良い。ここは非公式の場じゃ、くつろぐが良い。」


 って、公爵と並んで座るの?くつろげないよ。


「冒険者故礼儀を知りません。ご配慮感謝します。」


「ドラゴンを退治したのだな?」


「はい、ドラゴンの反応を追って居たら偶然、公爵家の騎士たちと戦って居る場に居合わせました。」


「そのドラゴンは何処へ?」


「今は冒険者ギルドに預けてあります。」


「ふむ、そのドラゴンは王家が買い取ろう。それから、セレスティアを助けた褒美として男爵の爵位と白金貨50枚をそちに遣わす。」


「ありがたき幸せ。」


 ブラスマイヤー役に立たないじゃん。


「で、ここからが本題なのだが、そちは今幾つじゃ?」


「15歳ですが?」


「まだ、成人したてで冒険者ランクがAと言うのもおかしいが、ドラゴンを倒すのもおかしい。」


 ん?なんかヤバい雰囲気?


「兄上、その言い方ではエイジ殿が誤解します。」


「そうか?まあ、お主には見込みがあると言う事だ。でな、なるべく早く爵位を上げたいとは思わんか?」


 あら?話が変な方向へ行ってないか?


「どう言う事でしょう?」


「兄上はな、エイジ殿をセレスティアの婿にしたいそうだ。」


 なんですと~


「婿と決めた訳では無い、あくまでも候補だ。最低でも伯爵位にはなって貰わないと釣り合わんしな。」


「それで、爵位を上げろと?」


「ああ、お主はミスリルリザードを退治したそうだが、本当か?」


「はい、それもギルドに預けてますが。」


「ならば、未発掘のミスリル鉱山または鉱脈を見つけてこい。」


 ん?難しい事なのかな?ブラスマイヤーが居れば30分位で見つかりそうだけど?


「爵位を貰ってすぐには動けんだろうから半年時間をやる。見つけてくれば子爵にしてやるぞ。」


「そんな約束しちゃって良いんですか?」


「心配するな、王家と言う物は常に余分な爵位を幾つか持ってる物だ。」


 そういう物なの?でも、くれるなら貰って置いて損は無いよね?貴族になればスローライフに近づくし、爵位は上の方が良いに決まってる。


「解りました。その挑戦受けましょう。」


「ほう?それは私の娘が欲しいと言う事かね?」


 あれ?そこで公爵様が出て来るの?


「いや、娘さんには娘さんの思いがあるでしょう、それを優先してやって下さい。」


「まあ、良いでは無いか。子爵程度ではまだまだ嫁にやる訳には行かんからな。エイジとやらの実力を見せて貰おうじゃないか。」


 公爵は何やら考え込んでいる。


「おい、家名を貰え。」


 突然ブラスマイヤーが耳元で囁いた


「あ、陛下。私は平民なので家名が無いのですが、どうすれば良いのでしょう?」


「そうであったな。すまん忘れておった。」


 王様は何やらベルの様な物をならした。すると後方から、悪い魔法使いの様な男がヌッと現れる。


「こ奴は宰相のベルザークじゃ。家名や今後の事はこ奴に聞くが良い。」


 ん?これは、ここでお開きって事かな?


「では別室に。」


 そう言って宰相に連行される。


 宰相の執務室と言う場所に連れて来られた。かなり広い部屋なのだが兎に角物が多い。特に書類が山になっている。この世界には紙があるんだなと変な所に感心していると。宰相が薄い名簿の様な物を見せてくれる。


「これが現在王家の手持ちの家名だ。好きな物を選ぶと良い。」


「どれでも良いんですか?」


「構わん。」


「じゃあ、この『ゼルマキア』って奴でお願いします。」


「解った、今日から『エイジ・フォン・ゼルマキア』を名乗るが良い。」


 そう言って何やら表彰状の様な物に今の名前とサインを書いて渡してくれた。


「これは貴族の証となる。失くさない様に。それとこの短剣を何時も身に着けている事。この短剣も身分証になる。」


「で、この後は何をすれば良いのですか?」


「王都に貴族街と言うのがある。そこに家を構えなさい。」


「家ですか?」


「君は領地を持たない法衣貴族となる。なので王都に家を持つのは義務だ。そして、国から年間白金貨15枚が生活費として与えられる。多分足りないだろう。大抵の貴族は何らかの仕事をするものだ。君はそのまま冒険者でも良いし、商売をしても構わない。」


「年間白金貨15枚貰っても足りないんですか?あとどんな家を借りれば良いのでしょう?」


「貴族と言うのは経済を回すため金を使う、人を雇うのもその一環だ。男爵なら15人は使用人を使え。家は商業ギルドに行けば色々と教えてくれる。」


「解りました。」


「それから、今後何か用事がある時は門番にその短剣を見せて私を呼びたまえ。」


「はい、解りました。今日はこれで失礼してよろしいのですか?」


「そうだな、商業ギルドに急ぐと良い。行きたまえ。」


「ありがとうございます。」


 宰相の執務室を辞し外へと向かう。門番に挨拶して、ついでに商業ギルドの場所を聞く。


 商業ギルドは町の中心部にあるので歩いて30分くらい掛かるらしい。そう言えば、こう言う場合謁見場で叙爵式とかするんじゃないの?


「なぁ、ブラスマイヤー、普通叙爵ってあんな感じなの?」


「いや、俺も良くは知らんが、叙爵ってのは他の貴族も集まり大々的にするのが普通のはずだ。」


「だよな?今日のアレなんかおかしいよな?」


「国王と公爵には何か思惑があるのかもしれんな。」


「とにかく貴族になったんだから、スローライフ行けるよな?」


「ドラゴンの値段次第だな。」


 商業ギルドに着き、家を借りたい旨を話すとサブギルドマスターと言うのが出て来た。


「どの様な物件をご希望ですか?」


「男爵に叙されたので貴族街に家が欲しい。どの位の規模の家を買えばよいか判らないのでアドバイスを頼む。」


 サブギルドマスターは棚から書類を引っ張り出し。開いて見せる。


「男爵でしたら、20人規模の家を貴族街の端の方に賃貸で借りるのが良いでしょう。相場は月に金貨5枚ですね。」

 

 家賃50万円って豪邸か?


「ちなみに人はどうやって雇えばよい?」


「執事を一人雇って下さい。後は執事の仕事になります。」


「ほう?ちなみに執事の賃金って相場は?」


「月に金貨3枚位ですね。募集掛けますか?」


「ここで出来るの?」


「はい。お任せください。」


「じゃあ、家を決めてしまいましょう。条件に合う物件は何件あります?」


「4件ほどありますね。」


「お勧めは?」


「これですかね。」


「じゃあ、それで。」


「見ずに決めて良いのですか?」


 見ずに決めた事に驚いている様だ。だってお勧めなんでしょ? 


「とりあえず、5か月分の金貨25枚を渡して置くよ。」


 そう言って麻袋に金貨を25枚入れた物を渡す。中身を確認したサブギルドマスターは鍵と地図をくれた。


「じゃあ、執事の募集頼むよ。暫くは『止まり木亭』に居るからよろしく!」


「解りました。お任せください。」


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