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第一話 巣

ゴブリンスレイヤーが面白いなあと思って自分も書いてみました。けど、内容は笑ゥせぇるすまんです。

※なろう運営からの警告によって一部分黒塗り措置を施しています。

「こんな場所に、不動産屋があるとはギャ」

 ——一人。

 いや、一匹のゴブリンが呟いた。


 此処はアーエール王国。

 豊かな海をたたえ、人々の生活を支える湾を持つ。王国を囲う山々は、雄大な景色を作り出すと同時に、自然の城壁としても機能する。ふもとには広大な平野があり産業の発展は目覚しいものがある。恵まれた環境があればこそ。王国は平和に、そして強大に栄えた。


 王が城を構えるかたわらの城下町は、魔物からの襲撃を防ぐため、ぐるりと高い塀で守られている。とはいえ周囲のモンスターはそれほど強くなく、アーエール王国は古くから冒険者にとって『旅立ちの国』と親しまれていた。

 ゴブリンがたどり着いたのは、そんな賑やかな場所とは程遠い仄暗ほのぐらい森の中。

 ポツンと建つ一軒の屋敷だった。


 ギギギ……不愉快な音を鳴らしながら扉が開く。それはこの建物がそう新しくないことを物語る証明のようでもあった。


「あら、いらっしゃい。待ってたわ」


 薄暗い部屋の奥から出てきた声の主を見て、ゴブリンは驚いた。出てきたのは彼と同じ魔物ではなく、人間の女だったからだ。

 ——人間が魔物へ物件の紹介をするなんて、それも女が……。

 女は金色の長い髪と、ここに似つかわぬ豪華なドレスを着ていた。

 胸元に入る青薔薇あおばらの紋章は、アーエール王家の証。然程さほど良くないゴブリンの頭でも、彼女が高貴な身分の令嬢であると、直ぐに分かった。

 しかしゴブリンはそれよりも、██████████████に目がいった。

 ゴブリンが専ら襲う農奴のうどは、ガリガリで痩せっぽち。栄養が体に行き渡らねばこうはならない。

 肥えた女の体はゴブリンの子を███のに最適で、出産までの期間も早い。

 いや、何より█████。



「ギャハハ。女、███をしているギャ。そうだ、俺の██(ようたい)にしてやろう」

 女の悲鳴を聞きながら、手足を抑えつけ、強引に████のがゴブリンの習性である。恐怖に震える程よく███。

「開口一番頭の悪い発言で恐れ入るわ。その粗末な██████を閉まってくださるかしら? 身の程をわきまえて頂戴」

 ゴブリンは人間の子供程度の小柄な体格にも関わらず、███████████を持っている。大抵の女ならむき出しの██████、██してしまうだろう。しかしこの令嬢は態度を微塵も変えない。

 

 つまらんな、とゴブリンは思った。それに、今日は女を██にきたのでは無い。

 物件を探しに来たのだ。

 ゴブリンは令嬢の前に据えられた椅子にドンと腰掛け、テーブルに片腕をつき、グイと体を乗り出した。

「良い物件があると聞いたギャ」

「当然。ここは訪れた者へ最適な物件を紹介するところ。例え貴方のような醜い魔物でもね。私は差別が嫌いなの。ここは世界一平等な不動産屋」

 

 仮にも不動産屋を名乗るなら、例えゴブリンでも客となろう。

 しかし令嬢はその客に対して媚びることなく、むしろさげすみの表情を浮かべながら商談を切り出すのだ。

 

「そうか、では聞こう。俺は巣を構え、子を作りたい。良い物件を頼むギャ」

「ご予算は?」

「予算? そんなものは無ぇ。さっさと用意するギャ」

「……やっぱり貴方、頭悪いわ。所詮ゴブリンね」

 ゴブリンはカチンときた。予定は変更だ。

 物件など最早どうでもいい。

 この女を██、██(ようたい)にしてやろう。と、そう思った。


「予算が無いなんて、ひょっとしてそれで交渉のつもりかしら。だとしたら100万年早いですわ」

 ゴブリンは令嬢の言葉を待たずテーブルの上に飛び乗り素早く腕を伸ばした。長く美しい金髪を無造作に掴み、手繰たぐり寄せ、そして顔を殴る。立て続けにテーブルに勢いよくぶつけ、上から抑える。その後、逃げられないように足を短剣で刺す。

 いつもならゴブリンが女を襲うこの定石に当てはまろう。

 だが気づくとゴブリンは、逆に顔を殴られ、テーブルに抑え込まれていた。

「ギャァアアアア!」

 足に激痛が走る。

 ——違う、聞きたかったのは女の悲鳴だ!

 ゴブリンが描いていた青写真は、そのまま自分に降りかかった。

 

「お怪我はございませんか? ゼティア様」

 ゴブリンを拘束する男は令嬢に声をかける。

「ご苦労様、フォルグ。私は平気よ」 

 フォルグと呼ばれた男は、令嬢の近衛兵このえへい。勿論、ただの近衛兵では無い。竜の意匠を基調とした鎧を身に纏う。王国では彼らを竜騎士りゅうきしと呼んだ。通常、竜騎士といえば黒い竜鎧りゅうがいと王国規律で決まっている。しかしフォルグのそれは白く輝く。

 凛とした顔立ちを引き立たせるように。白銀の竜鎧は、王国筆頭竜騎士のみ着用を許されるのだ。

 

 ——ぬかった。

 ゴブリンは後悔した。この屋敷にはゼティア以外に居ないものと思い込んでいたのだ。冷たいテーブルに顔を押し付けられ、足に刺された短剣の激痛に耐えながら、反撃の機をうかがう。ゴブリン如きが到底(かな)う相手では無いこととも知らずに。

 

「このゴブリンの財産は全て差し押さえました」

 フォルグはゴブリンへの拘束を緩めずに、ゼティアへ報告する。

 どこまでも放漫で、自己都合の良いように考えるのもゴブリンの習性である。良く言えば楽天家だが、詰まる所、馬鹿なのだ。

 この状況でもゴブリンは——あり得ない。財産は全て巣の奥深くに隠した。人間どもに見つかる訳がない——とでも思っている事だろう。

 ゼティアはフォルグの報告書に目を通す。

「人骨で出来た悪趣味な椅子、農民から奪った安物の宝石、効きの悪い毒が入った壺、使い古した棍棒、儀式用の呪術具一式……」

 報告書に書かれた差し押さえの品々を読み上げると、予想していた通りだと言わんばかりの溜息とともに、パタンと書類を閉じた。

「ふー……ゴミね」

 

 ゼティアにとってはガラクタかもしれないが、ゴブリンからすれば人間を襲いながらコツコツと貯めていった貴重な財産だった。

「わ……わかった。降参だ。財産の半分をやるギャ。それで良いだろ?」 

「私と交渉するのは100万年早いと言った筈よ? 貴方の財産は全て頂くわ」

「そりゃ……ぼったくりだギャ」

「あ、そう。では今すぐに殺されたい? どちらか好きな方を選びなさい」 

 実のところ、ゼティアははなからゴブリンの財産には興味がなかった。ゴブリンはガラクタを集める習性がある事を知っていたし、そのガラクタに市場価値など全く無いことも知っていた。

 それよりも、ゼティアは依頼主の大切なものを奪う事の方が重要であった。 

 

「ぐぐぐ……卑怯だギャ」

 ゼティアはゴブリンの言葉に耳を貸さない。

 フォルグは短剣をもう一度握り直す。握り直した手の筋肉の動きは、押し付けられた腕を通してゴブリンに伝わった。今度は足ではなく確実に心臓を刺される。そう予感した。

 

「う……わかった。全財産をお前にやるギャ」

 ゴブリンのあきらめの言葉とともに、フォルグは拘束の力をほどいた。

「イヒヒ、商談成立ですわね」

 ゼティアの含みを残す不気味な笑い方……。性格を示す特徴ある笑い方だ。

「何が商談成立だ。それじゃあ脅しだギャ。貴様にすればガラクタかも知れねえが、オレにとっちゃあ全財産だギャ。良い物件を頼むぞ」 

「心配ご無用。ゴミみたいな予算に最適な物件があるの。ご案内いたしますわ」

 そう言うと、ゼティアは緑に輝くクリスタルを取り出した。

 地面にバンと叩きつけると、クリスタルは砕け、代わりに魔法陣が現れる。

 この不思議なクリスタルは転移魔法を封じ込めた『テレポ』というアイテムだ。


「さあ、魔法陣に入って。内見ないけんに行きますわよ」

「ま、待ってくれ。足が……」

 ゴブリンは刺された足を引きずる。

「これを飲め」

 フォルグはゴブリンにポーションを渡す。ゴブリンは遠慮なしにゴクゴクとポーションを飲み干した。すると傷はたちどころに消えていく。

 ポーションは液体を瓶に詰めたアイテムであり、水薬みずぐすりとも呼ばれる。ハチミツや漢方などを混ぜているため、基本的な滋養強壮の成分は入っているものの、効果や即効性に関しては『テレポ』と同じく魔法によるものである。ポーションは液体を媒介として魔法を封じ込めているのだ。


 この世界にとって、魔法は決して珍しいものではない。

 寧ろ魔法をアイテム化し、魔力が無い者でも容易に扱えるようになるほど、魔法が浸透している世界である。


なろうの縦書きPDFではレイアウトなどが気に入らないので以下で配ります。無修正です。

https://ayano-narou.blogspot.com/2019/02/blog-post.html

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