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短編集 冬花火

ウィスパー

作者: 春風 月葉

 私の耳は少しばかり故障しているようだ。

 悪魔の囁きとか、天使の囁きとか、そんなものがあるだろう?

 私の耳はどうやらそれを聞き取ってしまうようなのだよ。

 壊れているのは頭の方だって?まぁそう言うな。

 この壊れた耳は意外にも面倒なものでな…。

 例えば私がこの耳を切り落とそうと考えるだろう。

 すると彼らは現れる。

 ダメです自分を大切にしてください!と天使は言い、悪魔は景気良くバッサリ切ってしまえと言う。

 こんな風に彼らは私にニ択を押し付けてくるのだ。

 実際に非があるのも利があるのも私だというのに、勝手なものだ。

 その夜も私は選択を迫られていた。

 悪魔と天使はニ択を用意する。

 …お前はどうしたい?

 聞き覚えのない三人目の囁きが私に問いかけた。

 この退屈なニ択を止め、私が選択肢になりたい。

 そう思った時、彼らの声はスッと聞こえなくなった。

 以来、天使と悪魔の声は聞こえなくなった。

 あの声の主は誰なのだろうか?

 私は今日も無限の選択肢を手探りで試す。

 たまに聞こえる囁きは何一つ問いかけることなく、ただただ私の背中を押したのだ。

 どうだ、不思議な話だろう?

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― 新着の感想 ―
[良い点] 短い中でしっかり帰結している。 [気になる点] 言い回しが少し [一言] なんか、文章表現を凝って、もっと長くしても良さそうな作品だなと思いました。 天使の囁きとか 悪魔の囁きとか …
[一言] どこか詩のような雰囲気を持つ文章でとても興味深いものでした。 私自身二択に誘導するような問答は正しくないなと思うことが多々あって、その考えに合致するような内容だったのが良かったです。 自分が…
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