エピローグ:漫画の続き
おはようございます。
「おかあさん」
あちらこちらで騒ぐ声、耳の痛いロックBGM、立ち読み、座り読み斜め読みする人々、光に当たる壁にわずかな影、大きな陰、目を開ければ、一冊の本「ウオラン」あり。
「おかあさん」
隣に武彦おり。
「武彦」
「おかあさん、早く帰ろうよ」
手を握られれば、
「う、うん」
家へ帰りぬ。
「英子、おかえり」
英子が父、ドアを開けて武彦の頭を撫でれば、パトカーが家の前に泊まりぬ。
「どうしたの」
「強盗が入ったんだ。お金は取られていないけれど、室内が荒らされている」
あたりを見れば、仏壇の間が特に汚れている。
「誰がこんな罰当たりを」
「ぼくたちだよ」
武彦、指をさせば、
「ここに地下へ通じる階段があったんだよ、おかあさん。覚えていない」
「え、覚えてって」
ぞくり、心臓が揺らぎ、
「ぼくたちはここから地下へ逃げて学校へ行き、怪物を倒して戻ってきた」
「武彦、あれは、あれは夢じゃないのね」
尋ねれば、うなずく息子。
「広たちは、どうなったのかしら」
「大丈夫だと思う。だってあの漫画にお兄ちゃんたちが普通にいるもん」
位牌を見つめる息子。亡き夫は微笑みぬ。
「おかあさん、怪物はもう、現れないよね」
息子が尋ねれば、灰色に染まりし雲を見て、
「うん」
―一方、真っ白な雲を見つめる小野田英子。
「張井英子さん、じゃないんだよね、英ちゃん」
「そうだって、広君。やっと、私の体、私の……」
「大丈夫か、小野田、広。後、みんな」
目の前に明日谷大和がおり。
「大丈夫、それより愛良、あんた、大和と付き合ったんだって」
英子が愛良へたずねれば、
「うん」
「じゃあ、時々邪魔してあげる」
「邪魔って何だよ、小野田」
みんなで明るく笑えば、
「俺は、一体」
「大二郎、ど、どうした? ま、まさか」
大二郎がつぶやきぬ。
次回はこの物語を通して気づいたことを