扉の向こうにいる張井英子と武彦
おはようございます。
扉を開ければ、白い顔の張井英子がおり。
「ひ、怪物」
相手は震え、話ひとつなく、見て、ゆっくり、どしん、どすん、刃を持てば、
「危ない」
大二郎、ワインを怪物にぶつけたり。
「早く、その子を」
体、動かず。痛い。重たい何かをぶつけられた。進が子供を抱きかかえれば、
「小野田さん」
「ご、ごめん、体が痛くて、う、動かない」
大二郎、手を握り扉の向こう側へ行き、武彦を抱えた進も扉の向こうへ戻れば、すぐに閉めぬ。
「ふう、お、襲ってこない」
扉、反応なし。武彦、眠りにつきぬ。
「起きて、起きて」
体を揺さぶれど、寝息一つなき人形なり。
「うわ」
テレビ画面からキラメキドーターズ、武彦の体を借りた化け物を浄化す。すると電話がかかり、相手は広なり。
「広、で、電話、つながっている」
「英ちゃん、どうしたの。まさかそこは」
「う、うん、変な世界にいるの」
うーんとつぶやけば、
「今、俺が見ている絵があるんだ。そこに英ちゃんの子供らしき子が校長室の椅子に座っているんだ」
「校長室の椅子。ということは学校」
「うん、俺も今から学校に向かってみるよ」
切ろうとしたとき、
「広、大和たちにお礼を言っておいて」
「なんていえばいいんだい」
「適当に言っておいて」
電話を切れば、
「みんな、行先は学校だよ」
「小野田さん、外へ出るのは危険だ」
大二郎が声を出せば、得体のしれぬ黒い影が徘徊す。
「さっきまでいなかったのに」
「みんな、こっち」
ナツリ叫べば、和室より地下へと下るはしごあり。
「ここって仏壇を置くところだよね」
「うん、仏壇を置いている場所よ。あなた」
写真に英子が夫、優しく微笑む。
「行きましょ」
ドンドン、怪物が強くドアを叩けば、急いで地下へと下る。
「何がなんだかわけがわからん」
地下へ下れば、等間隔にあり光、時折闇に染まる廊下、あまたの扉、されど開かぬ。
「怪物はいないな」
「降りてこないね、あいつら」
ナツリが先頭、次にロロナ、大二郎、進に英子と続く。
武彦をおんぶし、大二郎の足音、ナツリの吐く息、ロロナの舌を出す音、耳の奥に入りぬ。
「姉ちゃん、重たくないの」
「重たいけれど、辛くはない」
「なんだそれ、代わってあげようか」
首を横に振れば、
「進、後ろを見て」
後ろに怪物はなし。
「お、はしごがある」
何とか登れば、男おり。
先日の答え 3146
おかあさん きえて、 はりいたけひこ
→文章から「おかあさん」を消してみると、残る言葉はこれら
ぼくは はしった にげた
ぼくがにげたさきにとびらがあった
わたしが ぶんしょうのあいだを あけた かいすうをかぞえるの
そうだ ぼくは このやりかたを きいていたんだ だから あける
後は文字の数を数えて3146