玉座の裏
あけましておめでとうございます
1階正面入り口よりまっすぐ歩くと、階段があり、上ると玉座あり。
「玉座、すごい。宝石だらけだ」
大二郎が適当に宝石をなでると、あたりが揺れる。
(石井さん、本当にここへ武器を隠したの)
エレベーターのごとく、闇へと落ちていく。少し揺れて止まれば、茶色く枯れた草があたり一面に広がり、空は青く、光はあり、歩くと「くしゃり」音を立て、へこみ、キリで腹を刺されたごとくこぼるる水、踏まずに飛び越え、レンガが置かれた階段を昇れば、たくさんの家があり。
「ここは、私の家」
「小野田さんの家、ここなの」
大二郎が尋ねれば、
「この人は姉ちゃんの体を借りた、誰かなんだ、大二郎さん」
「なんだって、そんなばかなこと、あ、あるか」
当たりを見回す彼。
「否定しないんだ、大二郎さん」
「そりゃ玉座を降りたら、知らないところにいるんだ。何があっても不思議じゃない」
彼の手は震えたり。ロロナ、足元で体をこすり合わせれば、
「お、可愛いな」
「アンアン」
ひょうっと風が音を立て、ナツリはある一軒の植木鉢に触れる。
「えいこ、何か光っている」
「家の鍵よ。私の家」
鍵を開け、扉を開ければ、誰もおらず。コンロなく、ストーブもなく、カーテンやテーブル、目の前にテーブルとペン、一枚のA4用紙あり。
「これは。
おかあさん きえて、 はりいたけひこ
おかあさんがおにになった
ぼくはおかあさんになにもいえなくなった
おかあさんはおとうさんがしんでから、おにになった
ぼくは はしった にげた
おかあさんはぼくをおいかけてきた
ぼくがにげたさきにとびらがあった
おかあさんがやってくる、はやくなんきんじょうをあけないと
なんきんじょうのかぎはおかあさんがしっている
そういえばおかあさん、まえにいってたっけ
わたしが ぶんしょうのあいだを あけた かいすうをかぞえるの
おかあさん、うえから4つのことばをかぞえてみて
ただし、おかあさんはきえなくちゃいみがないの
そうだ ぼくは このやりかたを きいていたんだ だから あける
おかあさん、どうしておにになったのか、このとびらがしっているとぼくはおもうんだ
にせもののおかあさんがあんごうにきづいたら、ぼくはおかあさんにころされる
ほんもののおかあさんはあたまがいいから、わかるよね
ひとつ、ひんと。おかあさんのいないところをかぞえてみて。
ぼくはふろばにいるよ、ほんとうのおかあさん。たけひこ。
これはいったい」
「またなぞなぞですか」
カーテンが乱れ、映像が映る。
「あのおばさん、あの子を殺そうとしている」
見ると、張井英子が大きな包丁を握り、息子に一歩ずつ歩もうとしている。顔に血の気なく、ただ目の前を凝視す。
「えいこ、扉がある。鍵がかかっている」
ナツリが吠えて、ある扉(張井いわく、風呂場へつながる道)に南京錠がかかっている。
「この文章から問題を解かないと」
「あ、愛良」
大二郎が叫べば、
「あの子供、さっき女に追い詰められていたはずなのに、こっちの画面では、彼が愛良たちを追い詰めている」
画面の向こう、白い顔の張井英子が息子を襲わんとす。
もう一つ、武彦が太り醜くなり、明日谷大和扮するキラナデシコをはじめとするドーターズを言葉で縛り、愛良の顔を踏みつける。
「この二人は同じ人間なのか」
「たぶん、違う」
首を横に振れど、確証はなし。
「違う」
ナツリもいえば、
「うん、たぶん、違う」
ロロナも吠える。
「えいこ、早く解いてその扉を開けるの。そしたらわかるの」
先日の答え 34521
1 青き闇
2 かすかな紫空
3 赤き大地
4 黄道12星座
5 たなびく緑の木々
HSV:H(色彩)について0が赤 180が青となる。
赤 黄 緑 シアン 青 紫 桃 赤