日曜日がやってきた
おはようございます、12月も半ばを過ぎて、いよいよ2017年が訪れようとしています。
日曜日が来た。
「行ってくる」
かごにロロナとナツリを載せ、自転車をこげば、
「風が気持ちいいの」
「怖い」
「ナツリ、走りな」
首を横に振る猫。
「だったら我慢して」
登坂、下り坂、上坂、大阪、欅坂、乃木坂、古坂ピコ二郎を通り抜け、夢路市立図書館につきぬ。
自転車を入り口前に止め、自動ドアを潜り抜けると、一回は右側に新聞立ち読み、左側に児童館、二階に登れば、たくさんの本あり。犬猫をカバンに隠し、あたりを見ると、坊主頭の青年が本を読む。
(大二郎、いた。彼に話しかけて、小説のタイトルを聞くところから、物語が動く。ここは私が実際にいる場所ではない。小野田英子という少女の体を借りて、張井英子が息子、武彦を助けるために彼女になっているだけ。忘れてはならない、私は張井英子、小野田英子ではない)
「大二郎君」
声をかけると、
「小野田さん」
ごくり、つばを飲み、拳を握り、そわそわするカバン、
「何を読んでいるの」
「なんかわからない小説」
「わからないってどういうこと」
ブーン、音を立てる蛍光灯。
「自分でも気づかないうちに、この本を手に取っていた。引き込まれるんだ。少年が解剖されている。解剖した人間は言うんだ。『僕は解剖されても何度も生き返る。痛いけれど、痛みもない。僕は原子、僕は神、ただ一つ。お母さんもお父さんもどこにもいない。お母さん、お父さん、どこにいるの」
「武彦」
声から息子の名を漏らせば、
「武彦、あ、ここにあった」
彼が本を指させば、
「武彦は食べられた。痛いと思った瞬間、武彦は絵の中にいた。絵の外に怪物がいる。怪物は彼を食べては蘇生させ、また食べては蘇生を繰り返す。怪物は御免なさいと言いながら食べている。怪物は」
胸に痛みを覚えぬ。
「だ、大丈夫、小野田さん」
少しよろければ、彼が肩をつかむ。体が温かくなる。
「え、ええ、ありがとう」
パラパラめくれる本の声に耳を傾ければ、
「姉ちゃん」
「進」
本を二冊ほど持つ弟あり。じろりと男を見て、
「邪魔してごめん」
「いやいや」
首を横に振る彼。太陽から漏れる光に痛みを覚えぬ。
「姉ちゃん、カバンが動いている、ま、まさか」
「そのまさか」
大きなリュックを開ければ、中からひょっこりロロナとナツリ。ナツリはロロナの口をふさぐ。
「ばれたら怒られるよ」
ちらりとあたりを見渡せば、誰もおらず。
「あれ、誰もいない。さっきまで人がいたのに」
「え」
「えいこ、えいこ、感じる」
大二郎はまばたきをし、あたりを見渡すと、窓から画面が現れる。
「な、なんと」
大二郎と進、立ち上がる。不細工な男に胸をもまれる12歳ほどの少女、泣き叫べぶ彼女の涙と頬を男は舌でぬぐう。
「なんでエッチな動画が」
「これはエッチな動画ではなく」
「あ、愛良」
愛良は胸を暴かれる。桃色の小山が見えたとき、
「この野郎」
画面を叩く大二郎、壁よりぬめりとした触手が彼をつかむ。
「危ない」
姉弟は彼の手をつかみ、触手を払う。
「ありがとう、小野田さん」
「えいこ、これ」
ナツリ、大二郎が読みし小説をパンパン叩く。
「えっと、
私たちは閉じ込められた。ただ一つ、ドアがあるだけ。ドアにはかぎがかかっている。鍵を開けるには4つの数字。ただ、数字を化け物が知ると、永久に出られない。そこで数字を以下の形でごまかす。
宇宙より神が現れた。
神は空に手を振った。
次に地にたどり着き、教えを広めた
神は地球なり、地球より生まれし存在は神なり。
神の誕生に従い、子に道を示せ
1 虹はなぜ現れるのか
2 地底から怪物モグラが現れた
3 火星に宇宙人が存在した
4 湖に潜む宇宙恐竜
5 人類はどうやって地球から月へたどり着いた
これは、一体」
「アンアン、ここに扉と電卓があるの」
ロロナが吠えて、適当に数字を押せど、反応せず。
「姉ちゃん、この文章」
「ちょっと待って、進。おそらくこれは」
<回答は後日>
彼らは答え、扉を開けた。