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あおい夢~キラメキDaughters~  作者: 千賢光太郎
28/44

風邪を引いた須田愛良と刺された大和

おはようございます、今日もよろしくお願いします

翌朝、空は灰、しずくが地面に落ち、アスファルトは炭、傘をさして学校に向かえば、


「愛良、今日は休みかしら」

「そうみたい」


(この子は誰)


髪の毛は短くツンツン、瞳は細く、頬はほんのり赤く、もちもちとした肌の少女。


「どうしたの、英子」

「あ、いや、なんでも」


大和はふうっとため息をはき、広はゲームの話を彼とする。


「英子、知ってる。愛良ね、好きな男の子がいるんだって」


隣の青年は友と話をし、笑うものの、目はこちらに向けたり。

名前も知らぬ女に対し、どういうべきなりか。


・知っているよ

・知らない、教えて


決断――。


「知らない、教えて」


青年に聞こえるよう、大きな声を上げれば、


「愛良の好きな子はね、耳を貸して、英子。そこにいる大和なんだって」

「あ、そう」

「え、驚かないの」


強く降りぬ雨。


「愛良、あいつのことになったらムキになるもの。気づかないほうがおかしいでしょ」

「なーんだ、英子も気づいていたか」


ふと、張井英子として「中学生」時代を思い出しぬ。

友達は黒く焼けた肌の女の子、今思えば外国人と日本人のハーフかもしれない。

「あいつ嫌いだよね、気に入らないよね」な話ばかりなり。かわいいという話もしたけれど、

「●●娘の踊りみた、あのやる気ない踊り、だらしないよね」いちゃもんをつけばかりだった。


「英子、どうしたの、一人で笑って」

「あ、いや、なんでもない」


恋の話をする、芸能人ならよくしたけれど、友達に関する恋話は一度もしておらず。


「私は年を取ったのね」

「ど、どうしたの、英子」


雨は小降りになりぬ。


「あ、なんでもない。昨日、お父さんとシンジラレインダナを見ていて」


チャイムがなれば、


「ああ、もう1時間目が始まるの。早い」

「うん、そ、そうだね」


彼女は手を振り、前の席へ向かいぬ。


「あの子は保科由美っていうんだよ、英ちゃん」


小声で広が伝えれば、


「ありがとう、広」


ホームルームが始まる。須田愛良は風邪をひいて休みなり。


(小説によれば、愛良は風邪でなく別の病気らしい。問題は明日谷大和が浮気して刺されるそうだけど、今のこいつにその心は働かないよね、たぶん)


大和は刺されず、帰宅して自室に入り、テレビ画面に触れれど、変化はなし。夕食になり、テレビをつければ、ある男性芸能人が浮気したとばれ、記者会見を開きぬ。


「浮気の原因は妻に女としての魅力を感じなくなったからだな」


父が納豆をかき混ぜる。


「でも浮気する奴は最低でしょ」


進は肉をほおばり、


「当人にはわからないんだ。自分がやっている行為が悪だとわからない。わかっても自分だけは特別だから、まあいいやと思ってしまう。進は恋人、いるのか。お前、モテるだろ」

「い、いない」


じろりと目線が合えば、


「英子、お前に彼氏がいてもいいけれど、浮かれるな。女は大きな目標より、その場の感情を優先する生き物だ。浮かれると、熱が冷めるまで些細なことは気にしなくなる。それでできちゃった結婚して悔やむ人をいくら見たことか」

「熱しやすいのは女だけじゃないでしょ、お父さん」


母がお味噌汁の具を食べる。


「アンアン」

「ほら、ロロナもそうだと言っているわ」


ナツリはむしゃむしゃご飯を食べている。

夕ご飯を食べ終え、部屋に戻ると、画面から血が流れる。


「な」

「アンアンアン」


血の先を見ると、明日谷大和なり。真っ白い顔を浮かべた怪物、大和の心臓にナイフを刺しぬ。


「大和がこちらを向いている。えいこ」

「わかっている。浮気したから、浮気相手にでも刺されたのね」


心臓が音を立てて笑いたり。


「えいこ、怖い」


ナツリの一言に悪魔の心、消え失せぬ。


「大和は死んでいないよね、ナツリ」

「わからない」


進が来れば、


「姉ちゃん、ど、どうしたの、ち、血」

「進、今からあの男を助けに行ってくる」


画面に触れ、向こうの世界へ入りぬ。

当初、抱いていた張井英子の姿がどんどんかい離しています。

初めは良い子だったはずなのに、どんどん悪い部分を出している。


人間はこんなもの。

時事として、米国大統領選挙が終わった後、

「平和・人類愛」を叫ぶ人たちが己を振り返らずに暴動を繰り広げています。


一部は「どこかの手先」が動かしているのでしょうけれど、

動かされている時点で、人が持つ「良い、悪い、情けない、美しい……」

いろんな仮面が透けて見えますね。

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