表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
あおい夢~キラメキDaughters~  作者: 千賢光太郎
14/44

張井と小野田、二人の英子

いつもお読みいただきありがとうございます

一滴の雨が落ち、俺も私も続けと地面へ向かいぬ。避難のためにドラッグストアに雨宿りし、受話器ボタンを押せば、


「もしもし」

「も、もしもし」


少しばかり高く、曇った声が聞こえる。


「あなたは誰」

「私は、小野田英子、(むらさき)の言うとおりだ、私の携帯電話にかければ、本当につくんだ。あなたが私の体をとった人でしょ。早く返して」


雨は激しく地に落ちぬ。


「私もあなたに肉体を返したい。あなたはどこにいるの」

「わからない。私は古い家にいる。一人の男性に助けられ、化け物から逃げている。私は早く帰りたい。あなた、名前は。年は」


あたふたする心、己の名と年齢を小声で言えば、


「あなたがこの世界に来る方法を紫が言っていた。夜、部屋に着いたらテレビの画面を見ろ。そしたら自然と入り口が開かれるって。私はそれで戻れる」

「本当にそれで戻れるの」


尋ねれば、向こうは高く叫びぬ。


「戻れるかどうかわからないよ、でも、私は早く体を戻したいの。こんな世界じゃなく、現実の世界で友達と話をしたい。好きな人をそばで想っていたい、お母さんのご飯をおいしくいただきたい、お父さんとくだらない話で盛り上がりたいの。あなたにわかる。私の体を乗っ取って、私として暮らしているあなたに。あなたにわかる。私がどれだけ」


「落ち着けよ。お前の甲高い声を聴くと、イライラしてくんだよ」


低い声で言えば、向こうは声を閉じる。


「ご、ごめん。月が現れる、夜になってから自室に行けば、あなたに出会えるのね」


電話を切れば雨がやみ、前髪をいじりけり。


「はあ、やってしまった。焦っている子にきつく言うなんて」

「ね、姉ちゃん、さっきの電話は誰だったの」

「小野田英子、あなたの本当のお姉さん」


店内から明るい音楽が流れ、日が石井を照らす。


「英子さん、そっちの世界に行くときは、あなたを狙うやつがいるから、時と場合によって相手を殺す覚悟でいたほうがいい。奴らは黒い影に染まっているが、一か所だけ紅い部分がある。そこを狙え」


指をさす石井。


「石井君、あなたは何者」

「俺は進の友達だよ」

次回、アルム御世界へ向かいます。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ