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魔法使い達へ  作者: 春鏡
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  ゆっくりと目を開ける。何か夢を見たような気がするけど、頭に靄がかかったようにどうにも思い出せない。体を起こし頭を振る。枕もとの目覚まし時計に目を遣ると、画面には6:25と表示されていた。セットしていた時間より五分早い・・・・・・夢見が悪かったからかな。すっきりしない頭をもう一度振り僕は布団から抜け出した。


  居間に続く扉を開けるとテーブルの上にラップのかかったおにぎりが置かれていた。帰りの遅い兄さんのために作ったものだったが、テーブルの上を見る限り兄さんはまだ帰っていないようだ。

  大学生の兄さんは夜にバイトに出かけることが多いのでこうして夕食兼夜食を作っているが、最近は朝になっても帰っていないことが多い。兄さんの夕食兼夜食が僕の朝食になっている。

 両親は仕事が忙しく中々家に帰ってこられないので僕を兄さんのところに預けたのだが、その兄さんも帰ってこないんじゃ、本末転倒もいいところだと思う。まあ、仕方ないのかもしれないけど・・・・・・。


  洗面所に行き顔を洗う。冷水のおかげで頭は大分すっきりした。居間に向かいながら頭の中でこれからの行動予定を組み立てていく。

  まずは牛乳を飲もう、これはとても大事な習慣だ。信じる者は救われる。朝食はあのおにぎりを食べよう。味噌汁は昨日の残りがある。弁当には昨日の夕食のハンバーグを詰めて・・・・・・野菜は確かほうれん草のおひたしがまだあったはずだ。あとは冷凍食品を一、二品詰めればいいかな。あ、そうだ。兄さんが帰ってきた時のために、おにぎりを作っておこう。それから・・・・・・

  僕の頭の中からは、あの靄のかかったような感覚はすっかり消え失せていた。


  冷蔵庫の中から牛乳を取り出してコップに注ぎ、一気に飲み干す。味噌汁を持ってテーブルにつくとラップを取って冷め切ったおにぎりを口に運ぶ。空いている手でリモコンを操作するとちょうどよく天気予報をやっていた。気象予報士の女性が日本地図を指しながら梅雨前線がどうたらと話していた。細部は聞き逃したけど、今日も雨が降るので出かける際には傘の準備を忘れないように、ということだった。僕は窓に近づき空を見上げる。今はまだ降っていないが空はどんよりとした雲に覆われている。雨が降ってくる前に家を出よう。

  おにぎりを食べ終え、一息。両手で頬を叩くと、僕は朝の支度を開始した。

  まずはさっさと弁当を作り終え、兄さんの分のおにぎりを二個作る。使った食器を洗って片付けた後、兄さんに書き置きを残しておく。制服に着替え時計を見ると、時刻は七時十分だった。家中の戸締りのチェックをして、玄関に向かう。家の中に「行ってきます」と言ってドアに鍵をかけた。

  僕は最後まで、外からこちらを伺い続けていた人物に気付くことはなかった。


「見つけましたわ、生緒様・・・・・・」

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