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剣山~丸亀

 11月下旬の連休、四国、剣山の頂上に敷き詰められた板の上で、修三と陽介は寝転がっていた。快晴、微風。素晴らしく見晴らしが良い。紅葉はほとんど終わりだが今日はアタリだ。

 陽介が言った「もうこのまま昼寝して帰っても良いなあ」

 「良いね、この時間に下りたら丸亀に5時には着く。これワンチャン(ワンチャンス)あるんじゃね?」

 「無いよ」

 「今日も中段チェリー(魔法少女スロット)引かないとね」

 「カスが」

 弁当食べて読書してゴロゴロタイムを満喫した後、結局、二人は隣のジロウギュウまで歩いた。快晴の稜線歩きは本当にすがすがしい。熊笹が太陽光にキラキラと輝いていた。


 下山後、二人は陽介の車で丸亀市内まで戻るとしばらくさまようことになる。連休中のビジネスホテルを当日予約するのは無理だったからだ。高級ホテルの宿代を稼ぐべく、スロット勝負に挑み、そして負けた。それでも腹は減るから焼肉食べてさらに金欠。仕方なく丸亀のネットカフェに寝床を確保した。

 二人でお勧めマンガを言い合う。修三は王道ラブコメを推奨した。

 「アニメエリートのお眼鏡にも、これならかなうよ」

 「うーん、カスが」

 「え、駄目?どうして?どうしてなの?(魔法少女)君の大好きな美少女ものだよ?」

 「ふん、あまり好きじゃないかな」と言いながらも、陽介がその王道ラブコメを読んでいたことが翌朝発覚する。

 寝床が狭くて修三は熟睡できなかった。

 全く、自分たちの計画性の無さを笑うしかない。翌日の山も決めてない。適当なのはいつものことだが、明日は広島の友人宅まで行かなければならない。


 翌朝。

 天気予報は曇だったが雨の気配は無い。これならいける。修三は登山アプリの情報だけを頼りに目標を決めた。瀬戸内しまなみ海道の途中、大三島の鷲ヶ頭山だ。他の登山者の記録を閲覧したところ、鎖場が面白そうだった。急斜面に鎖が渡してあり手掛かりとする。近隣では石鎚山のものが有名である。

 修三が目標を話すと、陽介は「了解~」とのんきに言った。最初は陽介が運転する。

 修三はぽつりと言った。「いたいよ♪(時空要塞アニメソング、昨日陽介の車のオーディオに記録されているのを発見、今回のキーワード、修三は何度もこのネタで陽介をからかう)」

 「ああ、いたいな。最初から高いところに泊まれば良かったな」

 「そうだなあ、こりゃ今日あたり、リベンジ?(スロット)」

 「カスが」

 「昨日占いの本読んだけど、君、今日は生涯最高の日らしいよ」

 「はっはっは、君は嘘しか言わないな」

 「嘘じゃないもん♪」

 しまなみ海道はサイクリングが有名だというが、確かに自転車が多かった。島々を眺めながら巨大な吊り橋を走るのは車でも気持ち良い。自転車なら尚更だろう。

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