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勇者とは…

エピローグが短いので連続投稿です。

  ――遡る事3日前。

 少女に、召喚魔法の研究を認められて、遂にこの世界の教会勢力の総本山、『ヤクト聖教国』から託宣が下された。


  ヤクト聖教国の聖女のみが神の声を聞き、それを外部に伝えるのが託宣官だ。


  他の世なら勇者と云えば世界に1人かも知れないが、この世界では剣士や魔法使いなどと同じく職業である。

 

  簡単にはなれないが、一定以上の剣技と魔法が使え、神聖魔法への適性があれば勇者へと職併せ(ジョブフュージョン)出来る。基本職種への転職ジョブチェンジは都市にある各職業ギルドで審査が通れば可能だが、勇者職はヤクト聖教会に訪れての審査から職併せ《ジョブフュージョン》となる。

 


  少女は12歳から魔術師として冒険者を始め、剣士を経て、2年前の17歳で勇者となった。

 かなり若い年齢で勇者となったので周囲からは天才だと驚かれたが、少女には大した喜びも無かった。

 何故なら、さっき職業と言った様に、難職種とはいえ、この世界に勇者職は数多くいるからだ。

 

 一方、本物の勇者と云うべき者は、『託宣勇者ディバイン ブレイブ』、神の勇者と呼ぶ。

 

  それにはヤクト聖教会の神、ヤクト神からの神託《お告げ》による指名、つまり託宣が必要となる。


  (待ちに待ったソレが、私にやってきたのだ!!)


 突如、少女の元をヤクト聖教国からの先触れが訪れ、彼女に聖女が神から賜ったお言葉を託宣官が間もなく伝えに来ると告げた。

 

 5日後にやって来た託宣官は、ヤクト聖教国の貴族らしく、でっぷりとした身体つきと、妙にテカテカした肌の男だった。

 

  内乱で親を亡くした孤児で、特に貴族の地位を持たない平民である私に託宣を伝える事を嫌がる素振りは見せないが、汚い者を見る様な目をして入ってきたが、少女を見るなり、色を含んだ視線をぶつけて来た。


 少女自身、自分の身なりは汚くなければ良く、着飾るよりは装備や道具に回したいと思う程度の格好だが、いつもお世話になっている、道具屋さんのおばさんは何度も少女の髪を触れながら、


「ホンッットにいつ見ても、羨ましいわねぇ〜。流れる様な吸い付く薄い金髪に、輝く様な金眼。吸い付く様な白磁の肌とサクラ色の唇。そして、そのスタイルはおばさんでも振り返って見ちゃうわよ! あぁ〜、私も若ければ……」


  と、少女が返答に困った所でいつも通り、奥で薬草を調合している主人のドーンが、


「アイル、おめぇは若い頃からそんなだったよ。」


  とツッコミを入れつつ、店を出る時はいつも声を揃えて、


「「男には気を付けなよー。変な女にもね!」」


  と、送り出してくれるから、お世辞だとして割り引いても人並みにあるだろうと自分でも思うだけあってか、私が勇者職の冒険者だと分かっていても言い寄って来る男も多い。

  しつこくて、流石にガマンならない時は、翌朝、原因は不明だが、服を剣で切り裂かれたのか、下着のみで道端に倒れている男が何故か発見されているーー


 そんな男共と同じ様にしてやりたいと一瞬だけ、考えたが、相手が託宣官だと思い返し、グッと拳を握りしめることで、気持ちを抑え、神妙な面持ちで片膝をつき、頭を垂れて託宣を伝えられるのを待つ――

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