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緑の瞳


あの後。

モンスターを全部駆除して、完全に闇の精霊使いが犯人だと見当がついた。

今後は闇の精霊使いを調べる方面で今日の件を報告書に記した。

私にとったら時間外労働なので、報告書は明日の朝に提出しても良いことになっている。


寮のロビーで本を読んでいたら、浅葱さんや満さんの叫び声が聞こえた。


「…薬湯、かな」

「だろうね」


独り言のつもりで呟いた言葉が会話になってしまった。


「紅牙」

「あのマズイ薬湯を飲まされるなんてゴメンだね」

べぇ、と舌を出す紅牙。

つまり、逃げてきた、と。


今さっき舌を出した、と言ったけれど、紅牙が子供のような仕草をするのは、余程心を許している相手ではないとしない。


ゲームでも愛海の前ではしていなかった仕草を見られるのは、幼馴染の特権だとでも言っておこう。


「効果はあるんだけどね」

「そうだろうけどさ」

「効果だけは実証済みだもんね。って重い…」

紅牙はスキンシップが激しいから、昔から抱きついてきたり、のしかかられることが多かった。


「涙のやつがいないから暇なんだ。構ってくれてもいいだろ?」

「棗のことみてくれてるんだっけ」

予知をするためには精神力を結構使う。

それでぐったりしてしまう棗を、彼女と気が合うらしい涙はよく介抱してくれている。

我が幼馴染ながら、見た目によらず男前というか…。

そういうところがモテポイントだと思う。

いつもは自分に自信がないからか、かなり控えめなんだけど。

無口と控えめ…確かに歩み寄るのはゆっくりになるだろうけど、相性はいいよね。


「いいんじゃねぇの?アイツも一緒にいて気が楽なんだろうし」

「そうだね」

私にのしかかったまま喋るものだから、正直息が首筋にかかってくすぐったい。


「あれ。紅牙君に燎、まだ起きてたんだ」

階段を降りてきた愛海。

しまった、これは紅牙の絆上昇イベントだったんだ。

それを幼馴染の世間話に変えてしまって申し訳ない。


「愛海こそ。眠れないのかい?」

私から離れて、愛海に話しかける紅牙。

まぁ、普通異性に抱きついたまま別の異性に声をかけようなんて思う人はいないか。

いるとしたらどんなバカップルだっての。


「……うん、そんな感じ」


紅牙に笑顔で答えた彼女が私を見る。

その目に、少しだけ暗い何かがみえた気がした。



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