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ブキヨウ

今話からは燎の恋愛の話になります。

タイトル通り、恋愛未経験者の燎は恋愛には不器用です。

他は結構器用なのに。

打ち上げパーティーも終わって、片付けも済んだから、それぞれ部屋に戻った。


明日一日で、きっとそれぞれ告白をして、結ばれる。


私はというと、愛海のこともあって、告白をするまでは罪悪感がある。

まずは他の人にも分かりやすいような好意のアピールをして、フェアにいこうと考えている。

いや、愛海に私が紅牙を好きなこと、先に言った方がいいのかなぁ…。


それはともかくとして、だ。

私は明日一日、どうしよう。

さすがに告白の現場には居合わせたくないしなぁ…。


あとは眠るだけだけど、予定が決まらず、ベッドに寝転がりながら考える。


「…あ。そうだ」


バレたら怒られるだろうけど…ちょっとだし大丈夫だよね。


部屋を抜け出して、音を立てないように歩く。

ロビーを通り過ぎて、男部屋の棟に続く階段の前で深呼吸。


愛海がとった方法は、一般的に見れば想いが暴走しすぎて間違った方法かもしれないけど、紅牙が好きだと正面きって私に牽制してきた彼女はあくまで真っ直ぐだった。

そんな彼女に対してフェアじゃない行動を、私は今からとろうとしている。


…抜け駆けになるかもしれない。


そう考えると、階段を昇るための一歩がなかなか出ない。


「…っ」

やっぱり、紅牙が好きなことを愛海にきちんと言って、それで、対等にした方がいいのかな…。


「うぅ…」

落ち着こうとすると逆に落ち着かなくなって、階段の前をうろうろしてしまう。


「燎?」

「っ?!」

肩、というか全身が大きくビクつきはしたけれど、声にならない悲鳴をあげてしまう前に、口を手で勢いよく塞いだ。


「そんなに勢いよくやったら、赤くなるよ」

階段を降りてきた紅牙が笑いながら、私が口に当てた手を外した。


「うん、綺麗なままだ。それにしても、こんな時間にロビーにいるなんて…もしかして、まだ痛みで眠れないとか?」

「違うよ、違うけど…」

心配そうな顔になる紅牙の言葉を慌てて否定する。


い、言えない。


紅牙の部屋に行っていいかどうか迷った末にうろうろしてたなんて。

って時間のことも考えたらそんなのただの変態発言だよ…。


いや、説明が足りないのが悪いんだろうけど。


ええい、女は度胸。今言おう。


「あの、」

「そういえば」

「…え?」

出鼻を思い切り紅牙にへし折られた。

挫かれたじゃなく、へし折られた。


「明日、出かけないかって愛海に言われたんだ」

「…そ、うなの?」

「ああ。そんな嘘吐かないよ」

「…そっか」


行動早いなぁ、愛海。


…紅牙は、約束…忘れてるんだろうなぁ…。



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