犯人確保作戦 終了
あれ。
いつまで経っても痛みがこない。
死ぬ間際はさすがに術は解けるはずなんだけど。
「ぐぁあぁあ?!!」
犯人が、轟音の後に吹き飛んだ。
「な、に…?」
ゴォ、という音を立てた目の前の赤は、確実に血の赤ではない。
赤い色を感じた次に―少しだけ、熱さを感じた。
これ、術の炎だ…。
火の精霊も騒いではいるけど、暴走した炎はこんなに精霊が狙って撃ったようなものじゃないし、愛海はまだ動けない。
私も術を使ってない。
だったら、残りは紅牙しかいないけど…でも、操られているから狙うなら私を狙うんじゃ…。
「馬鹿な…一瞬とはいえ…呪縛を解いた…いや、無意識か…?!」
何はともあれ、と油断している間に、私が愛海に治癒の術をかける。
「…ありがとう、燎!一気にたたみかけよう!」
愛海が犯人に剣を振りかざすと同時に、私も片鎌槍を犯人に振るう。
もちろん、取り調べとかもあるから、殺してしまわないよう加減はしているけど。
「がは…っ」
胃液を吐いたあと、犯人は倒れて動かなくなった。
とはいえ、生きてるからいいだろう。
愛海が、持ってきていた捕縛の道具を使って拘束していく。
術も無効化する、満さんには珍しい、ごく普通の発明品だ。
「ぁ…はっ…」
操人業の術が解けると、息もできないほどの激痛に襲われて、立っていられなくなりそうだ。
「無理しなくていいから、オレによりかかって」
優しい声色で声をかけられて、つい体の力が抜ける。
「燎、大丈夫か?」
「お説教、と言いたいところですが、これでは何をしても可哀想ですね。犯人は愛海さんががっちりと捕縛してくれましたし、早いところ戻りましょうか」
涙はともかく玲夜さん、それはないよ…。
これ健康体に戻ったらお説教パターンだよね…ヤだなぁ…。
そんなことを思いながら、私は徐々に意識を溶かしていった。
―あ…また、前世の…学校にいる時の夢だ。
―「またあの乙女ゲームの話?」
バッドエンドまでやった彼女とは、別の親友がいた。
彼女もゲームは好きみたいだけどあまり乙女ゲームには手を出さない子だったと思う。
―「そうそう。あ、アンタもやってみる?」
―「いい。RPGっぽいんでしょ?ハマっちゃいたくないもん」
―「あー、RPG好きかー」
―「確か、紅牙の声優さん好きじゃなかった?」
―「マジ?しかも声フェチなのにやらないの?」
―「確かに私、声フェチだけど…」
―「ダメだよ、彼氏いるもん」
―「彼氏じゃないってばー」
私がからかったことで顔を赤らめた彼女は、無自覚ではあったけど恋をしていて、それがすごく可愛くて綺麗だと私の目には映ったのを思い出した。
―「私、恋とかよく分からないし」
―「私もよく分からないけど、人に迷惑かけない程度に諦めずがむしゃらに自分の好意を伝えてけばいいんじゃない?」
―「えぇ?!自分棚上げ?!」
そうつっこまれてしまうくらい、恋愛経験なかったくせに、アドバイスしたんだっけ、私。
…人には迷惑かけず、でも、諦めずがむしゃらに、自分の想いを伝える。
自分で言ったことなのに、忘れちゃってたな。
決めた。
私もどうにか、恋愛を頑張ってみよう。
燎がやられる前に動いたのは彼です。
無意識に守るとは彼の愛は恐ろしい(笑)
次か次の次辺りでゲームシナリオは終了予定。
今後は燎の恋愛を書いてみようかと考えてます。
…書けるかな…orz




