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恋愛の先輩曰く


ベッドに横になりながら、どうして胸が痛かったとか泣き叫びたかったかとか、紅牙に会いたかったのかとか考えたけど、やっぱり分からなかった。


「…はぁ…」

考えてもしょうがないので、部屋を出て、ロビーに行ってみた。

ソファに座って本を読んでみたけど、内容が入ってこない。


「あ。燎ちゃん」

「ん、環」

「どうしたんですか?元気ないみたいですけど…」

「ちょっとね」

「…私に話してもらえませんか?もしかしたらお役に立てるかも」

「うーん…そうだね。話してみるだけ楽になりそうだし」


環に、さっき考えていたことを話してみた。


「えっと…それは…」

「それは?」

「燎ちゃん、紅牙さんのことが好きなんですね」

「ぶっ…」


好き…好き、だと…?

いや、確かに幼馴染としては好きだけど…え、そっち?


「言っておきますが、恋愛感情での好きですよ」

「え…」

「燎ちゃんはそういった感情と無縁そうで心配だったんですけど、やっぱり紅牙さんのことが好きだったんですね」

「や、やっぱりって?」

「だって、紅牙さんに対しては何と言うか、女の子になるんですよ、燎ちゃん」


誰に対しても態度を変えてないつもりだったけど、どういうことだろうか。


「逆に紅牙さんも燎ちゃんに対しては普通の男の子なんです」

「…えと…どういうこと?」

「燎ちゃん、紅牙さんと話したりしている時、表情が自然なんですよ。他の人といる時は表情を作ってるというか…しっかりしようって思ってるのが分かるんですけど、紅牙さんに対してはそれがなくて」

「そう、なのかな」

でも、考えてみればそうかもしれない。

同じ幼馴染とはいえ涙に対してはちょっとしっかりした自分を作っていたような気もする。

紅牙には取り繕ってもバレてしまうから、いつの間にか素に近い私で接していたのかもしれない。


「私、最初紅牙さんのこと、私たちと同い年なのに普段はもっと年上の人みたいだし、飄々としてるけど、目は冷め切ってて…本当は何考えてるのかよく分からない人だと思ってたんです」

環は驚くほど人を観察するのが上手い。

上手いけど、あの紅牙をそこまで見抜いてたんだ。

すごいな、環。


「だけど。燎ちゃんの前だと驚くほど表情も年相応で、目が優しかったんです。穏やかというか。全身全霊で好意を持ってるんだなって」

「…っ…」

好意、と言われて顔が熱くなるのを感じる。


「ふふ。恋愛感情に関しては私の方が教える立場になりましたね」

「…やばい…紅牙の顔、しばらく見れなさそう」

「私もしばらくそうでしたよ。満さんの身長が高いので、首が痛いって言って見ないようにしてましたけど」

「紅牙は…そこまで見上げないからその言い訳は使えないかな」


公式の身長だと、確か転生前の私と比べても20cmなかったと思う。

今の私の身長は分からないけど、見上げて首が痛くなるほどじゃない。


「私からできるアドバイスは、胸の痛みから逃げないこと、です」

分かるような分からないようなアドバイスをして、環は部屋に戻っていった。


私の顔はまだ、熱い。



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