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十六夜班の本領


私と涙の競り合いは、陽による風の術で幕を閉じた。


切り裂くような術じゃなく、吹き飛ばすだけの術。

陽も考えて術を放つようになったんだね。

入りたての頃は危険な“風の刃”を容赦なく使ってたのに。

これは確か“空気の拳”だったはずだし。


涙と打ち合いしている間に、棗が咲を仕留めたらしい。


この御前試合、心臓の部分にはバッジを付けて、首には布を巻く。

致命傷に当たるところに武器による攻撃を食らったら、その時点で致命傷を負った、ということになり、フィールドから外される。


私が嵐を吹き飛ばした時は術だったので彼は生き残っている、というわけだ。


「棗に狙われたら終わりだよな…」


どんな小さな的でも射抜いちゃうんだから。

まぁ、それは彼女の弟である梓にも言えるんだけど…。


「くっ…これも幻影…!」


いやに彼の矢が見当違いなところに飛んでいくと思ったら、環の幻影に惑わされているらしい。


環の作り出す幻影は本物に限りなく近いリアル感がある。

分身を作れば、影の色だってその場にあわせて調節出来る。


うん、戦略としては凄くいいけど、凄くえげつない。


「あ」

幻影に惑わされているうちに、棗の矢が梓のバッジを直撃する。


色々と今見回して見ると、浅葱さんと歩は相打ちで首の布が切れ、薊は玲夜さんと拮抗状態だったところを紅牙に仕留められてすでに場外だ。


そんなこんなで、こっちは接近戦担当が私だけ。


戦法と、頭を切り替える。


浅葱さんと嵐の正統派剣士二人が私に攻撃を仕掛けてくる。

愛海は班長なので突貫はしないと決めていたらしい。


「“風の跳躍”」

攻撃を避けて、そのまま跳ぶ。

ぐ、と片鎌槍に力を込めて、そのまま振る。


それは列記とした攻撃で、空振りなんてせず、巨大な衝撃波を生み出した。


「しまった…!」

「げっ?!」

「あ、あ~…」

浅葱さん、嵐、ついでに満さんの首の布が切れる。

そりゃ、衝撃波だから当たり前なんだけど。


角度的に、背の高い人に当たりやすい角度だったから、比較的平均かそれ以下な玲夜さん、紅牙、涙には当たらなかったらしい。


その上で、私の攻撃の特徴を知っているから、彼らはみんな身体を低くしていた。


「…そこっ!」

涙のバッジが棗の矢で傷つく。

つまり、涙もアウト。


あっという間に相手は紅牙と玲夜さんと愛海だけ。


この中で狙わなければならないのは、戦場で考えたら玲夜さん。

治癒術を使えるし、一番の熟練者だ。


だからこそ、隙がない。


「君も、僕に構っている暇がありますか?薊さんのようにどこかから紅牙が狙っているかも知れないですよ?」

「……」


私の片鎌槍と玲夜さんの大薙刀が拮抗し合う。


「それをいうなら…」

突然その拮抗を解いて、後ろに下がる。


いきなりのことでさすがにバランスを崩した玲夜さんのバッジを、カンッという音を立てて棗の矢が射抜いた。


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