表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
18/46

予知能力も万能じゃない

「…はぁ…」


寮に戻ってきた棗の様子がおかしい。

そう涙に言われてロビーに行くと、確かに、無表情がデフォルトな彼女には珍しく、眉間にしわを寄せてため息をついていた。


「…何で、燎?」

「棗殿の体調が優れないようだったから…一応燎の班だからと、思って…」

誰か連れてくる、と言ったのだろう。

私や紅牙ならつきあいが長いから涙の思惑なんてすぐ分かるけど、体調の悪い棗にそれを汲み取れと言うのも酷だ。


「棗…寝てないんじゃない?」

「……」

沈黙は肯定かな。


「予知夢、始まったの?」

「…うん」

「時折予知能力が勝手に働いてしまう、という、そのことだろうか…?」

「…そう。でも、その夢の内容は滅多なことじゃ覆せない」

覆したら、棗は代償と言わんばかりに激しい頭痛に襲われる。


「…だから、見ないようにしてたら…眠れなくて」

「そっか…」

「だが…眠らないというのはかなり…ストレスになるのではないだろうか…。昔、玲夜殿に眠らせないという拷問があると聞いたことが…」


玲夜さん涙に何教えてんの?!


「……でも、寝たくない」

「仕方ないなぁ…涙、棗といてくれる?」

「ああ…燎は何を…」

「ちょっとね~」


寮に備え付けてある簡易キッチンで簡単にミルクティーとカフェオレとココアを作ってまたロビーに戻る。


「棗、ミルクティーでいい?」

「…うん。ありがとう、燎」

「はい、涙はココアね」

「ああ。ありがとう、燎」

3人で飲み物を飲む。

物静かな二人といるのもあって、落ち着くなぁ。


「そういえば棗、術を試そうとは思わなかったの?」

「…私、夢で干渉する術は出来ても、精神に干渉する術は苦手だから…考えたけど、無理だった…」

「闇の精霊術の系統だから、他の人にも言い出しにくかったんだね」

「…うん」

「ミルクティーでちょっと落ち着いたら術も効きやすくなるし、私がかけるよ」

「目覚めなくなったりしないのか…?」

「涙、しばくよ?ちゃんと加減くらいするっての」

「そうか。棗殿、しっかり眠れると良いな」

「…うん。ありがと、涙」


飲み物を全員が飲み終わって、ちょっと雑談してから、私は棗の部屋で、棗に睡眠用の術をかけた。


術で眠ると夢をいっさい見ない、熟睡状態になる。


でも、本当なら良い夢を見てほしいんだけど。

…そう言う術があれば使えるようになりたいよなぁ…。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ