絶対零度の作戦会議
絶対零度にも感じられるミーティングルーム。
再度口を開いたのは、玲夜さんだった。
「闇の精霊術は万能ではなく、身体に多大な負荷がかかるものだと…僕は昔、闇の精霊と契約したての君に言い聞かせた記憶があるのですが…気のせいでしたか」
「言い聞かせられはしましたし、忘れてはいません。ですが、班の長となった時、人には適材適所があるということを教えてくれたのも玲夜さんです」
「…あくまでもその作戦を推す、と?」
「はい。穴の多い作戦ではありますが…私だけで考えるにはこれが精一杯ですから」
言い切ると、玲夜さんはため息を吐いた。
「君は誰に似たのだか…分かりました。君がこだわるのなら、その作戦をベースに別な作戦を立てましょう。全員が納得しないと、作戦というのは上手く行きませんから。いいですか、愛海班長」
「えっ、あ、はい!お願いします!」
急に話をふられたものだから、愛海も驚いたんだろう。
しどろもどろになりつつ返事をしていた。
とりあえず、別な班にいたこともあって、作戦を立てることに慣れている玲夜さん、浅葱さん、満さんが作戦を考えてくれることになった。
よいものが立てられ次第、またミーティングを行って実行する日取りを決めることになる。
「はぁ~…にしても、燎っち…玲夜さん超怒ってたじゃないっすかぁ~…」
「まぁ、私は玲夜さんにとって妹みたいなものらしいから。身体張りすぎ自重しろ、ってことなんでしょ」
「確か…紅牙のお父さんの弟…なんだっけ?」
「そうそう。本人たちは何で血縁なんだろうとか言ってるけどね。でも、玲夜さんは紅牙のことをかわいがってたし、紅牙だって玲夜さんのこと、尊敬してるんだと思う」
「…そうは、見えないけど」
「あっ、でも分かるかも。玲夜さん、燎っちと紅牙をほほえましそうに見てることあったっすから」
「そうなの?」
「うん、生温か~く」
「……」
想像つくなぁ…っていうか、それ玲夜さんのイベントだよ、薊。
確か昔のことを振り返る話だったと思うし。
その中で私と紅牙と涙の話が出てきたはずだ。
っていうか…本格的に誰ルートなのか分からなくなってきた。
あ、でも…過去のことを教えてもらうのって必須イベントだから、玲夜さんは攻略されてないのか。
いや、逆ハールートやノーマルルートならあのイベントはいらないはず。
…ルートによって犯人違うんだからどうせなら早く知って対策立てたいのに。




