作戦会議中
このミーティングルームに集まったのは事件の説明じゃなく事件解決のための話し合いをするためだ。
だから責任者である愛海に進めてもらおうとしたんだけども。
「事件解決のためにも、作戦を練ろうと思うんだけど…」
「班長には、何か考えがあるのか?」
「それは…私もまだいい考えがなくて。だからみんなと一緒に考えていこうと思っているんだけれど…」
「じゃあ、燎はどうやって調べようとしてるの?」
「私?」
「そうね。アンタが何も考えてないわけないと思うんだけど」
「一応いくつかは浮かんでるけど…」
みんなの視線が私にくる。
うん、分かってた。分かってたよ…。
「まずは登録されている闇の精霊使いを絞り込もうか、とは思ったけど…最近契約したから未登録状態だとか、以前から闇の精霊と契約していたけどあえて登録していない人だっているわけだ」
「そうですね。闇精霊との契約者を厭う人もいますから。登録してなおかつ騎士団である十六夜班のみなさんのような方は少数派です」
「はい。だからそれは却下の方向で…残りは……」
…一時期でも医師を目指していたから玲夜さんのいる前で言ったら私シメられるんじゃないだろうか。
「…実現が無理でも話して」
「そうしますか。もう一つは…スパイ、と言えばいいのかな」
「スパイ?どういうこと?」
「あえてもう一件事件を起こさせます。棗には負担を強いてしまうけど…予知をしてもらって、まずはその現場に張り込んでおきます」
予知をされているとは思っていない犯人はモンスターに強盗を実行させる。
「私たちのような闇の精霊使いはモンスターを使役することが出来ますが、もう一つ、完全に操ることも出来ます。それを使って、気づかれないようにモンスターの意識を乗っ取る」
「……」
「そして、他のモンスターについていって、犯人の居場所を探る。何らかのマーキングをしておけば場所が分かりにくい場所でも見つけやすい。もちろん犯人の顔は見られたら見たいけど、そこまでしてしまうとこちらが逆にバレて警戒されてしまいかねないし、直前でモンスターの意識を切り離す」
「…リスクは伴うけど、作戦としては良いと思うよ」
「そう思うでしょうが満。この作戦には大きすぎる欠点があるんです」
「欠点?」
「誰が、それをやるか。ですよ。十六夜班は確かにみなさんハイレベルな精霊使いですが…人形のように魂のないものならともかく、魂のあるモンスターの意識を乗っ取るとなると……」
「それにその作戦ならば、ただでさえ棗殿は…」
「その作戦だと、棗は十分予知で働いてくれてるからね。待機組で考えてるよ。モンスターの意識乗っ取りは元々私がやるつもりだったし」
「やはり、ですか」
やばい、気温が下がった気がする。




