交流会のお知らせ。
そういえば、今週末に月に一度の交流会があるんじゃなかったっけ。
「あ、やっぱりそうだ」
掲示板に貼られた和紙に書かれたお知らせを見て、思わず独り言がでた。
やだなー…十六夜班はともかく月光班の男性陣って顔が整ってる方だから他の女性騎士とかの黄色い声が耳に響くんだよね…。
交流会、と言っても、軽いノリの立食パーティー的な感じ。
その代わり、体調不良や夜勤でない限りは強制参加だけど。
ゲーム中のイベントにも個別のものがあった気がする。
十六夜班と月光班はその時は誰も不参加はいなかったと思う。
その時に一番好感度の高い人のイベントが来るはずだ。
それで、誰のイベントなら改変しなくていいか、分かるようになる…と思う。
狙っている人が決まっていない段階だった場合、私が手を出していいかは悩みどころだし。
逆ハーや股がけという非常に気まずい展開にしなければいいんだから、誰と恋愛しようが自由だ。
「何見てんの?」
「歩。これ。今週末の交流会。今回はうちの班全員参加だよ。夜勤誰も入ってない」
「…えー…」
「歩?それに燎。何を見上げているんだ?」
「交流会のお知らせ、よ。今週末だから」
「そうか、もうそんな時期か…俺たちの班は今回は誰も夜勤がいないから、全員参加することになるな」
「何であんな面倒な行事を強制参加にするんだっての」
「それは…仕方ないだろう。普段交流する機会がない者たちを交流させて結束を固くするという他にも、反逆の徒がいないかを見張る場でもあるのだから」
「それって結構腹立つわよね」
「こちらに反逆の意志がなければ大丈夫だろう」
「ま、そうなんだけどね。こっちは常に疑われてる闇の精霊使いだから」
「たまに思うが、闇精霊のことになるとお前は途端に卑屈になるな」
「アンタだって知ってるでしょ、街の強盗事件」
「それは…知っているが。お前達が疑われるわけがないだろう」
「分からないわよ。どんなことでも因縁つけてくるやつらだっているわ」
歩は、そういうことに関しては臆病になるというか、怖がりになるというか。
自分の気が強すぎる性格を気に病んでるところがあるから、誤解されたりするのが一番嫌らしい。
「心配するな。なんなら交流会の間、一緒にいるか?言い返してやるくらいなら俺でも出来るからな」
「いい…アンタ酒入ると口うるさいんだもの」
とは言ってるが、浅葱さんのことを心配しているんだろう。
歩を庇うことで、彼の立場が悪くなることを。
「うるさいとは何だうるさいとは」
「言葉通りの意味だけど?」
「お前は…っ少しは可愛げのあることを言えないのか」
「私に可愛げがあるなんて思ってたわけ?」
売り言葉に買い言葉。
お互いを思いやる気持ちはすごくあるのに…似た者同士だからなぁ…。
それが良いっていう歩と浅葱さんのカップル推しのファンもいたけどね。
…交流会は、誰のイベントが出るんだろう。




