二話 マッチを売る少女
「マッチ、マッチはいかがですか~」
あたしは、いまマッチを売っています。
いわば、マッチ売りの少女です。
日本から異世界に迷い込んだあたしが、なぜマッチを売っているのか?
あれから、あたしは森を抜けて村に着きました。
そこで一人ぼっちでいたあたしを手厚く保護してくれた親切な村人さんが孤児院を紹介してくれました。
あたしは孤児院で暮らすようになり、こうしてマッチを売っているのです。
今の所、マッチはまったく売れていません。
マッチを売るのも根性と忍耐が必要です。
寒い空の下、季節は冬。もう二月になります。
こうして、マッチを売りながら暮らして三ヶ月が過ぎてしまいました。
この生活にも慣れて、この世界にも少しずつ知ることができました。
あたしがいるこの国の名前は、エストランダ。大きな国です。
あたしはそのエストランダの城下町の孤児院に住んでいます。
あたしが迷い込んだ世界で英語のように言葉通じないのかなと最初、心配していましたが言葉は通じました。しかし、文字は分かりません。
よくお話に出てくる展開では、こちらに来て家族が恋しくなってホームシックにかかるみたいですが、
あたしは養護施設にいたので両親はいません。
あたしの両親は、父はあたしが母のお腹にいるときにいなくなって、母はあたしが六歳の時に病気で亡くなりました。
兄が一人いますが、あたしが十歳の時に行方不明になったのであたし一人といっていいかもしれません。
逆に、ずっと養護施設にいたのでここでの孤児院での暮らしとあまり変わりは無いかなと思います。
「マッチ、マッチはいかがですか~」
この言葉を本日、何回言ったでしょうか……。
もう、日も暮れてきました。
冬の明るい時間は短いです。
今日はとうとう一個も売れません。
ここでのお約束、マッチに火を点けてみたいと思います。
シュッ……
ぼうっとマッチに火が点きました。
物語だと食べ物がパァッと目の前に広がるんですけどね。
……変なのが出てきました。
一寸サイズの炎で出来たマッチョな美中年があたしの前に現れたのです。




