表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

117/121

第一一六話 孤島の遠吠え、潮騒の詩 番外 解説編

解説編です。色んな箇条書きを、寄せ集めした感じに、なってしまいましたが、解答編です。

 ‐----------------- 金を使って、何かを作成させるのを阻止について -----------


 翌朝。朝食を終え、龍也は皆を食堂に集めた。

 テーブルの上には、島の地図が広げられている。


「……皆、よく、聞いてくれ」

 龍也は、そう切り出すと、皆の顔を、一人、一人、見渡した。


「……今回の、敵は、グラドゥーン。そして、その目的は、島の、炭鉱にある『金』だ」


 龍也の、言葉が、続くにつれて、皆の顔色が、真剣なものに、変わっていく。


「……恐らく、グラドゥーンは、その『金』を、利用して、何か、不気味な、儀式を、行っている。……もしくは、金そのものが、魔力を、帯びており、それを、利用しているか」

 龍也は、地図上の、炭鉱の場所を、指差した。


「……俺は、考えた……グラドゥーンの、目的が、金ならば、その、金を、利用させなければ、いい」

 龍也の、その言葉に、皆が、首を傾げる。


「……どういう、ことだ、タツヤ」

 じんたが、尋ねる。


「……金は、魔力を、帯びる……そして、それを利用して、何かを、行っている、と、仮定する。……ならば、その『金』が、魔力や、他の、金属と、接触できないように、覆ってしまえば、どうだろうか」


 龍也は、そう言うと、一枚のメモを、テーブルに、置いた。

 そこに、書かれているのは、彼が夜通し、考えていた、作戦に必要な、物品の、リストだった。


【金脈を断つ作戦:必要物品リスト】


 タール / 防水塗料 / 海用ノリ(マリンシーラント)

 用途:金塊・金の板に厚く塗り、外気や他の金属との接触を遮断する。

 厚手のゴムシート / タイヤ(古タイヤ) / 発泡ウレタン板

 用途:タールなどで覆った金をさらにくるみ、物理的な衝撃と外部との絶縁を強化する。

 布(帆布)

 用途:上記で包んだものをさらに縛り、固定する。

 エポキシ系接着剤

 用途:硬化すると絶縁性が上がるため、封印の際の固定と強化に使う。


「……やり方は、こうだ」

 龍也は、図を描きながら、説明を、始めた。


「……金塊や、金の板を、見つけたら、まず、タールや、海用シーラントを、厚く塗る。……その上から、ゴムシートで、くるんで、帆布で、しっかりと縛る。……こうすると『金が、魔力や、他の金属と、接触できなくなり、魔力が外へ、流れにくくなる』……魔導回路としての、"端点"を絶つ、イメージだ」


 龍也の、説明に、皆が驚きと、感嘆の声を、上げた。

「なるほどねぇ……ほいじゃ、金そのもんを壊さんでも、奴らの力を、封じ込められるっちゅうことか!」

「ぶち、賢いな、タツヤ!……わしらには、思いつかんわい!」

 ゆうこが、目を、輝かせている。


「すげえべ!……これなら、おら、活躍できるべ!」

 じんたも、やる気に、満ちている。


「……ただし、この作戦には、長所と、短所がある」

 龍也は、冷静に、続けた。


「手軽で、即効性がある。……しかし、恒久的な、破壊は、できない。覆いを、剥がせば、復活する。……魔術的に、強固な、封印には、弱い、可能性もある」



 ------------------------ 漁業関係者に作戦説明 -----------------------


 漁港組合事務所には、呼びかけに応じて集まった、十数名の漁師たちと、組合の役員たちが、重苦しい顔で座っていた。

 彼らの前に、簡易的な島の地図と、準備した物資のリストを広げる。

 その場の空気は、緊張と、不信感が、入り混じっていた。


「……皆さん、貴重な時間を割いていただき、ありがとうございます」

 龍也は、深く頭を下げた。そして、ゆっくりと、しかし、力強く、語り始めた。


「今回の作戦は、島に巣食う魔物、そして、その背後にいる『闇の王ゼノス』の企みを、阻止するためです。……我々は、島の炭鉱で掘り出されている『魔導用の金』を、現場で即座に無力化し、魔力の供給を断ちます。これにより、魔物の勢力を削ぎ、この柏崎、ひいては、この越後の海を守る。そして、被害を最小限に抑え、陸上での、本格的な対抗準備へとつなげる」


 その言葉に、漁師たちの間に、ざわめきが起こる。


「無力化?金ば、どうするって言うんだい?」

 一人の漁師が、不満げに声を上げた。


 龍也は、メモに書かれた内容を、一つ一つ、指差しながら、説明を続ける。


「我々がターゲットにするのは、掘り出された金塊や金の板です……それを、まず、タールや海用シーラントを厚く塗り、ゴムシートでくるんで帆布で縛る。これは、魔力が外へ流れにくくするための処置です」

「そうすると、金が外気や他の金属と接触できなくなり、魔導回路としての“端点”が絶たれる……恒久的な破壊はできないが、現場での魔力供給を一時的に、そして確実に断ち切るには、この方法が最も有効だと判断しました」


 その、常識離れした、説明に、漁師たちは、戸惑いを隠せない。


「……そんなことして、本当に、魔物が、弱くなるのかい?」

「信用できるんかい、その話は?」

 龍也は、漁師たちの、不安な眼差しを、一人一人、見つめた。


「……保証はできません……しかし、これまでの経験と、我々の分析では、これが、最も効果的な手段です……そして、この作戦には、皆さんの、力が、必要不可欠です」

 龍也は、作戦の、スケジュールを、説明し始めた。


「作戦は、夜間の奇襲を想定しています……まず、偵察班が小舟一隻で接近し、魔物の配置を確認する……その後、漁師チームには、小舟で現場周囲に待機していただきます。組合の方々には、岸から物資を順次渡していただきたい」

「そして、作戦の鍵となるのが『封鎖』漁師チームには、漁網とチェーンで搬出桟橋や、小舟の泊地を縛り固め、撤去不能にしてもらいたい。搬出路を断つのが目的です。小舟は海へ沈めてもらって構いません」

「陸路の主要搬出路へは、我々討伐隊がロープとトゲ状の木杭を設置し、通行を阻止します」


「『被覆』では、シーフが金塊へ接近し、タールやゴムシートで金塊を覆い、魔力を封じます。その間、討伐隊が音や光で魔物の視線を引きつけ、シーフの作業をカバーします」

「『魔力干渉』では、賢者(サポート役)が、被覆した金塊周囲に塩の円を描き、銀片・小鏡を配置。賢者の短い詠唱で魔導陣の位相を不安定にし、金塊を一時的に『魔導触媒』としての機能を失わせます」


 龍也は、最後に、厳しい表情で、言った。


「……全て完了したら、全員速やかに撤退路へ。討伐隊が最後尾で抑え、船で帰還します……この作戦には、危険が伴います。しかし、皆さんの協力がなければ、この計画は、成功しません」


「……この柏崎の海、そして、島の島を、闇の支配から、救うため……どうか、俺たちに力を、貸してください」


 龍也の、その、真摯な、眼差しと、リーダーとしての、覚悟に、漁師たちは、互いに、顔を見合わせた。

 その、瞳の奥に、不信感は、まだ残っている。しかし、それ以上に、この、海の平和を、願う、熱い、想いが、静かに、燃え上がっていた。

 重い、沈黙が、流れた、後。

 一人の、ベテラン漁師が、ゆっくりと、立ち上がった。


「……分かった……乗った……あんたたちの、言うこと、聞いてやる……だが、俺たちも、海の男だ……決して、無茶は、させねえ……覚悟しとけよ」


 その、言葉に深く、頭を下げた。

 こうして、柏崎の、海の男たちが、この、無謀とも思える、作戦に、力を、貸してくれることになったのだ。


 -------------------- 魔道金脈炉について --------------------------------


 かすみが、そっと、龍也の隣に座った。

「……龍也さん……あの、リヴァル、金について、何か言っていたような……」

「……金だ」

 龍也が、ぽつりと、呟くと、じんたとシンジ、そしてレンが、こちらを、見た。

「……どういうことだ、タツヤ」じんたが、尋ねる。


 龍也は、ゆっくりと、語り始めた。


「……この世界では、金(純金)は、電線のように、魔力を、通しやすい、伝導体らしい……奴らは、炭鉱で、掘り出した、金を『回路(リング、線、板)』として、繋げ、そこに、魔力を、スムーズに、流し、増幅させたり、転送させたり、していたのだろう」


 シンジが、静かに、頷く。

「……つまり、金そのものが、『魔法の導線』になっている、ということか」


「ああ、そうだ。それだけではない。金は、魔力を蓄える、性質も持っている。少量ずつでも、集めて、精錬し、結合すれば、強力な魔力源に、なる……いわば『蓄電池』だ」

 龍也の脳裏に、あの、野沢温泉の、風花勾玉と、龍玉の光が、蘇る。


「……そして、金で作られた、器や、配線を、特定の配置(=陣)に、置くと、魔力が、そこで、"共鳴"して、大きな効果(障壁、召喚、封印解除など)を、生む、触媒にもなる」

「……つまり、金そのものが、奴らにとって『魔法の導線』であり『蓄電池』であり『触媒』でもあった、ということですね」

 レンが、破城剣の柄を、強く握りしめる。


「……そうだな……ゼノス側は、その、金を、器具に組み込み、自分たちの力を、増幅させていたんだ」


 その、龍也の、説明に皆が、黙り込んだ。

 巨大な金脈。そして、それを利用する、ゼノスの陰謀。

 それは、彼らが、想像していたよりも、遥かに、深く、そして、広範囲に、及ぶものだった。


今回、二つの話に、途中からなってしまって、作者、大混乱でした。

布団の上でのたうち回りながら、形に何とか出来たと思います。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ