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朝鮮に落ちた女子大生、致命的な王に囚われる  作者: エモい姉さん
第二章 破局の始まり、そして深まる心
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嵐の中の一筋の光




冷たくなった体、眠るように目を閉じている大妃様の姿。


私は、大妃様の冷たい手を最後まで離すことができず、握りしめていた。私の目の前で消えていった大妃様の最後の息遣いと、宙をさまようその眼差しは、悲しみに濡れた私の心に深い傷跡を残した。


全身から力が抜けたかのように、泣いている尚宮たちと女官たちのそばを、私はそっと通り過ぎた。


待っていたキム尚宮と女官たちでさえ、私の姿を見て、簡単に涙を見せることができなかった。


その時、近くから聞き覚えのある足音が聞こえてきた。


殿下だった。


彼は、まるで道に迷った魂のように、ぼろぼろになりながら大妃殿の門を越えてきた。光一筋もない夜明け、そこで私は殿下と向かい合った。彼の顔はやつれ、空虚な瞳は絶望の深さを物語っていた。


「なぜ、ここにいるのだ…」


悲しむように吐き出された彼の声が震えた。


互いの視線がぶつかった瞬間、こらえていたすべての悲しみが爆発した。殿下は何も言わずに私に駆け寄り、強く抱きしめた。そして、ほとばしる彼の熱い涙は、私を崩れさせた。私もまた、こらえにこらえていた嗚咽を吐き出し、彼の胸に顔を埋めた。


彼の涙は、王のものではなかった。母を失った息子の、切ない叫びであり、民を守れなかった君主の、痛切な嘆きだった。


周りにいたキム尚宮と女官たち、そしてサンソン(尚膳)まで、皆がその場に座り込み、慟哭し始めた。大妃様の昇遐スンハに対する悲しみ、疫病の恐怖、そして殿下の崩れ落ちた姿が、一つになって全身を包み込むようだった。


床に座り込んだ殿下を、私はしっかりと抱きしめた。彼の震える肩を抱きながら、ただこの時間を、そしてこの悲しみを、共に耐え抜きたかった。


いつかこの悲劇を乗り越えられるだろうという、漠然とした信頼が私の心に芽生えた。


殿下は長い間、そうして私に寄りかかって泣いた。冷たい夜明けの空気の中、熱い涙と嗚咽だけが流れていた。


「お母様は…どうやって…逝かれたのだ…」


どれだけ泣いたのか、低く重厚だった彼の声は、勝手に震えていた。


「最後まで殿下を…気にかけていらっしゃいました。私に殿下を託して逝かれました。」


彼を押しつぶすようにまとわりついていた悲しみが、少しは軽くなったのだろうか。彼はさらに力を込めて私を抱きしめ、言葉を続けた。


「ありがとう、オクチョン。本当に…ありがとう。」


水気に濡れた彼の声に、私は彼をさらに強く抱きしめた。


そうしてしばらく時間が流れただろうか。床から伝わる冷気に体が縮こまるのを感じたのか、彼は私を抱きかかえて立ち上がらせた。向き合った彼の瞳は、真っ赤に染まっていた。


そうして互いをなぐさめ合っていたその時、


慎重に近づいてくる人の気配がした。


殿下の腕の中からそっと離れて振り返ると、御医殿が慎重に私たちに近づいてきていた。ひどく緊張した顔で、殿下と私を交互に見ては、すぐに礼を尽くし、口を開いた。


「わ、このような状況で申し上げにくいのですが…淑儀様に、お尋ねしたいことがございます。」


ためらう彼の態度に何か意味深なものを感じた殿下は、御医殿に向かって頷いた。


「淑儀様の部屋では、疫病で倒れる者が著しく少なく、様も病気にかかっておられないと聞きました…。一体、どのような方法で管理されているのか、この者が恐れながらお尋ねしたいのです。」


御医殿の問いに、私はしばらく考え込んだ。朝鮮時代の医術では理解し難い、現代の衛生観念をどう説明すればよいだろうか。最大限、彼らが理解できる方法で答えなければならない。


「特別な方法はありません、御医殿。ただ私の浅い見識で申し上げますと、病は見えない不潔な環境から来ると考えております。ゆえに、基本的なことだけ守れば予防できると思いました。常に手をきれいにし、沸かした水を飲み、部屋の換気をおろそかにしなかっただけです。そして…ヨモギのような清浄な薬草を燃やして、空気をきれいに保つように指示しました。」


私の言葉が終わるか終わらないかのうちに、


粛宗の視線が私に向いた。彼の濡れた瞳には、単なる好奇心を超えた深い感情が宿っていた。御医は頷きながら、しきりに何かを書き留めた。


殿下は長い間、私を見つめた。向き合った彼の目から、これまで見てきた眼差しとはまた違う、


計り知れない空気が感じられた。


冷たい冬の風が冷たく吹き抜けていったが、私を見つめる殿下の目は、燃え上がるように熱かった。

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