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朝鮮に落ちた女子大生、致命的な王に囚われる  作者: エモい姉さん
第二章 破局の始まり、そして深まる心
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散りゆく花





翌朝、朝鮮の悲惨な状況とは裏腹に、陽光は眩しく輝き、刃のような風が冷たく染み込んでいた。


便殿ピョンジョンは重苦しい雰囲気が続き、粛宗はついに離宮イグンを命じた。宮廷内の全王室メンバーが、疫病の危険から逃れるためだった。オクチョンにもその知らせが届いたが、キム尚宮サングンを通じて「片付けることが多いので、ゆっくり後から参ります」と伝言を送った。


粛宗の行列は、重く、悲壮だった。大妃殿テビジョンに立ち寄り、母の寝所の門前で挨拶を告げたが、病に疲れた大妃は応えることができなかった。


そうして粛宗と中殿チュンジョンが先に昌徳宮チャンドックンへ離宮している頃、淑儀ソギは静かに就善堂チュソンダンを出た。キム尚宮が必死に止め、前でひざまずいてさえも、彼女は考えを曲げなかった。


「大妃様が私に下さった恩を、せめてこのようにしてでもお返ししたいのです、キム尚宮。」


牛よりも頑固なオクチョンの意地に、キム尚宮と二人の女官はついに両手を上げて降参した。彼女が「危険だから先に離宮しなさい」と言った言葉を、最後まで聞こうとしなかった。


「生きていても一緒に生き、死んでも一緒に死にます、様。」

「私たちも淑儀様から受けた恩恵は、海のように深うございます。決して、お一人にさせることはできません。」


結局、彼らの意地も曲げることができず、皆で大妃殿へと向かった。


最初は内医院ネウィウォンが強く反対したが、ついに御医オウィは彼女の説得に折れた。御医の許可が下りるやいなや、彼女は大妃殿へと足を踏み入れた。悲痛さすら感じられる雰囲気の尚宮が、オクジョンを見て頭を下げた。


「お取次ぎください。」

「しゅ、淑儀様…」


戸惑った様子の尚宮はためらった。自分の部屋の女官たちでさえ入るのをためらう場所に、王の側室が入ると言うのだから、困惑するばかりの顔だった。


「御医殿の許しがあったわ。大妃様を直接お伺いしなければなりません。」


彼女の断固とした言葉に、尚宮はついにこぼれ落ちる涙を止めることができなかった。


尚宮の涙を後にし、慎重に足を踏み入れた大妃の寝所は、普段の雰囲気とは全く違っていた。濃い闇が広がり、もの寂しく重く沈み込んだような見慣れない空気に、息をするのも苦しいほどだった。


彼女は大妃のそばに近づいた。数日の間にひどくやつれた姿に、胸の奥底から何かがこみ上げ、熱い感情が込み上げてきた。オクジョンは首を振り、腕まくりをして、大妃の部屋の窓を開け、新鮮な空気が入るようにした。


そうして粛宗の代わりに彼の母のそばを守り、温かい濡れタオルで大妃の冷たくなっていく体を拭き、沸かした水を飲ませるなど、心から看病した。丸一日看病を終えた彼女の目元には疲労がくっきりと浮かんでいたが、大妃への憐憫と責任感、そして粛宗への想いを胸に、最後まで最善を尽くした。


彼女の真心が天に届いたのだろうか。


かすかに意識を取り戻した大妃の目に、額に玉のような汗を浮かべたオクチョンの献身的な姿が映った。濡れタオルを絞っていた彼女が、大妃と目が合った。オクジョンは急いで大妃のそばに近づいた。


「ま、様、お気づきになられましたか。」

「お前が…なぜ…」


今にも途切れそうな彼女の声が、オクチョンの胸をさらに痛めた。


「様、御医殿をお呼びします。すぐに快復されます。決して…決して意識を手放してはなりません。」


大妃はかろうじて震える腕を上げた。手が落ちそうになるのを、オクジョンはすぐに腕を上げてその手を取った。


「行…きな…王…室を…よろしく…頼む…チャン…淑儀…」


その手は冷たくなっていくが、その中に込められた最後の温もりは、オクチョンの心の奥深くに突き刺さり、痛みを伴う感情へと広がっていった。


大妃は知っていた。自分の最期が近づいていることを。そして彼女の心には、王室の安定と後嗣への心配、そしてオクチョンへの申し訳なさと感謝の気持ちが交錯した。


そんな大妃の気持ちを知ってか知らずか、オクジョンは大妃の手を握り、涙を流した。


「大妃様、必ず起き上がられます。どうか、気をしっかりとお持ちください。」


オクチョンの言葉に、大妃の目からポロリと涙が落ちた。


「わが…息子を…頼む…オク…チョンよ…」


握っていた手から、徐々に力が抜けていった。力が抜ける手を最後までしっかり握りしめ、オクジョンは戸惑ったように叫んだ。


「ま、様!大妃様!御医殿!御医殿!」


冷たい冬の夜明け、夜が明ける前に、宮廷全体を揺るがす悲痛な慟哭が響き渡った。疫病がピークに達した時、皆の心配の中、大妃はついに息を引き取った。


真白い花がポトリと落ちるように、

運命を全うした一世代の王妃が、その先代のもとへ帰っていった。


その知らせは昌徳宮の粛宗にまで伝えられ、粛宗は母の逝去の知らせに悲嘆に暮れた。疫病を防げなかった罪悪感と、母を失った悲しみ、そして中殿の安穏とした態度への怒りと、孝行を尽くせなかった自分への不満な気持ちが、彼の心の中で絡み合った。彼の目には、複雑に絡み合った影が暗く垂れ込めていた。

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