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朝鮮に落ちた女子大生、致命的な王に囚われる  作者: エモい姉さん
第二章 破局の始まり、そして深まる心
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岐路に立つ宮廷





朝鮮を襲った疫病の影は、日ごとに濃くなっていた。


王室の権威の象徴である中宮殿。しかし、そこは今、傲慢と無知に包まれた孤立した島のようだった。内命婦ネミョンブのトップである中殿チュンジョンは、疫病の蔓延という危機を前にしても、己の体面と権威ばかりを気にしていた。


一方、就善堂チュソンダンは小さな灯りのようにかすかな光を放っていた。彼女の部屋に病人が少ないという噂は、宮廷の内外に静かに広がり、その声はついに、王室の安寧を誰よりも重んじる大妃テビの耳にも届いた。


大妃は、中殿の無能で無責任な態度、そして就善堂に向けられた密かな牽制をすべて見抜いていた。深く息を吐き、重い言葉を口にした。


淑儀ソギチャン氏の部屋は病人が少ないそうなので、その方法を見習い、他の部屋にも広く知らせなさい。」


これは、オクチョンの行動に対する暗黙の支持であり、中殿への無言の警告だった。中殿が果たせない役割を、側室であるオクチョンが担っているという事実を、大妃は誰よりもよく理解していた。この指示により、オクチョンの肩に重圧がのしかかる一方で、彼女の行動を後押しする強固な盾ともなった。


しかし、この均衡も長くは続かなかった。


宮廷全体を締め付ける黒い影は、ついに大妃の部屋にまで忍び寄った。数日前から微熱があった大妃は、ついに床に伏せてしまった。便殿ピョンジョンに慌ててサンソン(尚膳)が駆け込んできた。


「殿下!だ、大妃様が…!倒れられたと…!」


知らせを聞くやいなや、粛宗の顔色が変わった。サンソンの制止も聞かず、大妃の部屋へと走っていった。だが、御医オウィ内医院ネウィウォンの者たちが、必死に彼を止めにかかる。


「お母様にお会いする。今すぐどかぬか!」


「殿下、どうかお考え直しください。もし殿下の玉体ギョクチェが傷つけば、国全体がさらなる混乱に陥ります!命令をお取り消しください!」


彼らの言葉は至って冷静だった。だが、王室の後継が定まらない今、粛宗に何かあれば、国は破滅する。頭では理解しても、心はついてこない。母のそばにさえ行けない無力感に、粛宗の瞳は絶望と悲しみで染まった。


同じ頃、中宮殿の王妃の部屋では

「何ですって?お母様が?!」


尚宮サングンから話を聞いた中殿は、不快そうな様子とともに、ひどく葛藤する姿を見せた。震える手は、彼女の心の恐怖を物語っていた。


本来ならば、自分が駆けつけるべきだった。それが中殿の道理であり、嫁としての孝行だ。しかし、彼女は恐れに勝てなかった。


「誰も…誰も大妃殿に出入りさせてはなりません。そして内医院に、お母様を極めて丁寧にお世話しなさいと伝えなさい。」


それが、怯えた彼女にできるすべてだった。尚宮の眼差しには、当惑と混乱が浮かんでいた。


(私は…私は後継を繋がなければならない中殿ではないか。私に何かあったら、一族も無事ではいられない…)


彼女は、自分の情けない姿を正当化しようと、必死に心を固くした。中宮殿から一歩も出ず、自分の安否だけを考えた。


大妃が危篤だという知らせは、キム尚宮を通じて就善堂にも伝えられた。


オクチョンの眼差しが深く沈んだ。確かに、冷酷で厳しかった姑だった。だが、自分を宮廷の外へ追い出したとき、そして自分を見るたびににじみ出るかすかな微笑み、最後に粛宗と重なって見えたお茶目な微笑みが、頭から離れなかった。


そこまで思いが及ぶと、もうじっと座っていることはできなかった。


「キム尚宮、準備しなさい。大妃殿へ行くわ。」


「い、いけません、淑儀様!今回の疫病は…非常にひどいと…!」


絶叫に近いキム尚宮の声を聞き、オクチョンは一瞬ためらった。だが、宿種が気にかかった。何日も食事もとらず、苦しんでいる彼の姿が目に浮かんだ。


どうせ自分は死ぬ覚悟でいる。恐れるものはなかった。何よりも、彼の笑顔を失いたくなかった。彼女は、ただ、必死に懇願し、頭を地面から上げられないキム尚宮を、静かに見つめるだけだった。

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