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朝鮮に落ちた女子大生、致命的な王に囚われる  作者: エモい姉さん
第二章 破局の始まり、そして深まる心
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影のダンス





宮廷の夜は更けていたが、尚宮や女官たちの口コミは熱を帯びるばかりだった。殿下が中宮殿で張淑儀を庇い、中殿を叱責したという噂は、瞬く間に宮廷全体に広まった。もの寂しい夜風が軒先の風鈴を揺らし、小さな音を立てたが、その音は闇の中をさまよう影たちにとって、この上なく甘い餌食となった。かすかな月明かりの下、静かな宮廷の瓦は秘密を抱いたように冷たく輝いた。


そして、その知らせは宮廷の塀を越えて、張希載にも伝わった。夜も更けた頃、茶碗から立ち上る湯気が彼の眼差しのように冷ややかに見えた。彼の隣には、忠実な部下が黙って立っていた。


「妹の気概はたいしたものだ。あまりにもか弱くて折れてしまうかと思ったが、むしろ中殿の自尊心をへし折ってしまったな。」


そうだな…我らのオクチョンが、そう簡単に侮られるはずがない。幼い頃から本を手放さず、一つ一つ理詰めで問い詰めていた、博識で生真面目な妹ではなかったか。


張希載の口元には薄い微笑みが浮かんでいた。それは単純な笑みではなかった。彼の微笑みの中には、複雑な満足感が混ざり合っていた。中殿・閔氏が妹を軽んじれば軽んじるほど、粛宗の心はますます固く妹に向かうだろう。彼はこのすべての状況が、自分が長い間描いてきた絵の一部であることを知っていた。


「ホ・ジョク(許積)大監に送った書状は届いたか?」


「はい、大監。部下を通じてお伝えいたしました。」


部下の言葉に、張希載は頷いた。今こそ動くべき時だった。王室の寵愛を受ける妹と、朝廷の南人勢力が手を組めば、権力の構図は完全にひっくり返るだろうという考えの上で、彼はさらに大きな絵を描いていた。妹を単なる側室に留めておくつもりはなかった。


粛宗もそう考えるだろうという思いに、小さく苦笑が漏れた。


王室の後継は結局、オクチョンの懐から生まれるだろう…備えなければならない。


茶碗を包み込んだ彼の手が微かに震えた。その震えの中に、彼の抑えられていた野心と欲望が煮えたぎっているようだった。彼はかつて蔑まれていた一族の影を払い、新しい時代を切り開こうとしていた。張玉貞という火種は、すでに宮廷を越え、朝廷の深いところにまで染み込み始めていた。その火種は冷たくも猛烈に燃え上がり、すべてを飲み込む勢いだった。


同じ頃、大妃殿では静かな沈黙が流れていた。


灯火さえかすかな暗闇の中で、大妃は静かに座り、瞑想にふけっているようだった。彼女の顔は微動だにしなかったが、深さを知ることができない眼差しは、静かな水面の下で渦巻く波のようだった。大妃が深い思索に沈んでいることを、そばを守る尚宮は知ることができた。中宮殿で起こった騒動と粛宗の行動は、すでに彼女の耳にすべて入っていたからだ。


「…張淑儀の気概はたいしたものだ。昔、私に対してもそうだったからな…

しばらく大人しいと思っていたが、あえて中殿の前でそんなに大胆な言葉を吐いたというのか。」


大妃の声はいつものように落ち着いていたが、その中には妙な違和感が感じられる気配が宿っていた。尚宮は慎重に頭を下げた。


「はい、様。下女も淑儀様の大胆さに驚きました。」


「だが…その気概が行き過ぎると毒になるものだ。内命婦の法度は決して軽んじてはならない。たとえ主上の寵愛を受けるとはいえ、王室の紀律を勝手に乱してはならない。」


大妃の言葉は厳格だった。尚宮は頷いた。


「しかし…主上が直接中宮殿に来て、あの子を庇ったというのか?中殿の体面はひどいものだっただろう。」


大妃の声には、一見同情心がこもっているようだったが、すぐに冷ややかに沈んだ。彼女の視線は遠く、闇に沈んだ宮廷の屋根を向いていた。


「中殿がこれほど未熟では…王室の後嗣が危うくなるかと、非常に心配だ。内命婦の女たちは、どうして皆これほど不足しているのだ。」


大妃の言葉に、尚宮は顔を上げて彼女を見つめた。それは明らかに中殿に向けられた叱責だった。大妃の眼差しは虚空を見つめた。彼女にとっては、王室の存立と後継を繋ぐ問題が最も大きな話題だった。中殿にはまだ子供がおらず、主上は淑儀に深く夢中になっていた。大妃も表向きは玉貞を不満に思っているように見えたが、現実的な大妃の目には、玉貞の強靭さと聡明さが違って見え始めていた。過去にはそれが気に障るだけだったが、彼女の変わった姿とともにもう一度見てみると、むしろ王室の血筋を繋ぎ、王権を強化する上で、張淑儀が重要な道具になり得ることを計算し始めたのだ。


「明日の朝、張淑儀を大妃殿に呼ぶように。私が直接、内命婦の法度を厳しく教えねばなるまい。このままでは王室の紀律が揺らぐだろう。」


大妃の声は再び厳格になったが、尚宮は彼女の真心を読み取ることができた。大妃様は玉貞を単に叱ろうとしているのではなかった。もしかしたら、彼女に本当に必要なものが何なのか、そして彼女を通して得られるものが何なのか、天秤にかけているのかもしれないと思った。大妃殿の静かな沈黙の下、目に見えない宮廷の風がさらに強くなっていた。

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