殿下の刃
中宮殿の大広間を包み込む、冷たくも断固たる声。
粛宗の音声に、淑儀の顔は真っ白になった。
慌てて立ち上がり礼を尽くしたが、固く結んだ唇に見えるかすかな震えは隠せなかった。
彼の瞳に一瞬かすめた軽蔑の眼差しに、彼女の心もまた微かにひびが入った。
大広間に座って息を潜めていた内命婦の尚宮たちもまた、一斉に凍りついたように身動き一つしなかった。
その沈黙の中で、張玉貞は自分の息を吸い込む音が大きく聞こえるのではないかと、気を付けていた。
静かに顔を上げて彼を見つめた。
彼の顔は落ち着いていたが、眼差しはすでにすべてを見抜いているかのように冷ややかに輝いていた。
いつも彼女に限りなく優しく、お茶目だった姿とは違う、冷たく厳格な君主の顔だった。
彼の視線は中殿に向かっていた。
「殿下…どうしてこのお時間に…。」
中殿の声には、微かな震えが宿っていた。
普段の端正な気品は跡形もなく消え去り、
冷たい静寂だけが広間の端に残って漂っていた。
粛宗は一歩一歩、大広間の中へ入ってきた。
龍袍の裾が床板を擦るたびに、冷たい気が広がるように大広間を包んだ。
彼は何も言わず、
頭を下げていた玉貞のそばを通り過ぎ、中殿の前に立ち止まった。
彼の瞳に宿る怒りは、音もなくすべてを切り裂いていた。
「まったくでございます。
どうしてこの時間に、私をお世話しに来ていた淑儀を呼び出したのか…」
粛宗の声は低く抑えられ、ぞっとするような感覚さえ抱かせた。
彼の言葉に込められた重みは、淑儀の心臓を押しつぶすような恐怖を感じさせた。
彼女は戸惑ったように頭を下げたまま、言葉を続けた。
「も…申し訳ございません、殿下。殿下にお仕えしておられたとは存じ上げず…」
粛宗はしばらく彼女を見つめてから、大広間に座っている尚宮たちをざっと見渡した。
彼女たちの顔は恐怖に怯えていた。
王妃の座と内命婦の秩序を守るためには、彼女たちを帰らせて中殿と二人で話すべきだったが、
玉貞が経験したことによって、すでに彼の思考回路は停止していた。
しばらく静かに周りを見回していた粛宗が、再び口を開いた。
「内命婦の紀律は、王妃の徳と統治から生まれるものです。
しかし、このように夜が更けた時間に、内命婦の女性たちを呼び集めて礼法を論じるとは、
果たしてこのような前例が、国母の道理にふさわしいでしょうか。」
彼の言葉は刃物のように鋭かった。
中殿の体がびくりと震えた。
「私が望んだ王妃の姿勢は、
厳格な法度で下の者を抑えつけることではありませんでした。
包容と寛容さで内命婦を抱きしめ、
万民の母として自ら模範となることでした。」
粛宗の声は、普段よりも何倍も冷たく厳格だった。
彼の言葉の中に、中殿に対する失望と冷たい嘲笑が感じられると同時に、
玉貞を庇おうとする一人の男の気持ちが同時に感じられた。
粛宗は、王妃の権威と品位を損なう行為ではなく、
彼女が内在する「徳」の欠如を指摘していた。
淑儀は唇を噛みしめた。
彼女の瞳が揺れているのが見えた。
周りの尚宮たちは、恐れて顔すら上げることができなかった。
粛宗はしばらく頭を押さえてから、ため息をつくように言葉を続けた。
「夜が更けた。皆、それぞれの居所に戻り休むがよい。」
彼の言葉が落ちるやいなや、
尚宮たちは約束でもしたかのように一斉に立ち上がり、慌ててその場を後にした。
中宮殿の大広間には、粛宗と中殿、
そして張玉貞、この三人が残った。
冷たい静寂だけが彼らを包み込み、空気さえ凍りつくようだった。
粛宗の視線が、ついに玉貞の方へ向かった。
彼女を見つめる眼差しには、心配と気の毒さがかすめていくようだった。
「淑儀は、就善堂に戻るがよい。」
彼の声は低く抑えられていたが、
その中には中殿に対する冷遇と、
彼女に対する配慮が込められていた。
玉貞は再度深く頭を下げた後、
ゆっくりとその場を退いた。
背後から、
中殿の視線が冷ややかに突き刺さるのを感じた。
刃物のように伸びてきたその視線を感じながら、
彼女は足が進まないながらも急ぎ足になった。
粛宗の存在が、この上なく頼もしい盾のように感じられた。
中宮殿を出る彼女の心は、複雑でしかなかった。
粛宗の懐で守られているという安堵感と同時に、
より深まってしまった淑儀との亀裂が、
心の中で絡み合い、嵐のように荒れ狂っていた。
外見は静かな宮廷だったが、
その中には見えない亀裂が徐々に広がっていた。
彼女は静かに息を吸い込んだ。
冷たい空気の中で熱く燃え上がっていた心も、冷やかに落ち着いていた。