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朝鮮に落ちた女子大生、致命的な王に囚われる  作者: エモい姉さん
第二章 破局の始まり、そして深まる心
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名前を呼ばなくても




応香閣ウンヒャンガクの夜は、不思議なほどに静かだった。

風さえも息を殺したかのように静まり返り、

灯火の光さえも、その場に釘付けにされたかのように揺らぎがなかった。

四方はこれほど平穏なのに、

胸の奥深くでは、絶えず得体の知れない騒がしさが湧き上がっていた。

静かな空間は、むしろ私の内なる混乱をより鮮明に露わにしていた。


冷たい床板に触れたつま先は冷たかった。上着を羽織ったが、

背筋のどこかには、いまだに冷気が細く染み込んでいた。

その瞬間、

背後に微かな気配が触れた。

何の音も、動きもなかったが、

戸の隙間のどこか、月明かりさえも差し込めない影の中。

彼が来たことを本能的に悟った。

ゆっくりと体を起こした。

膝にそっと力を入れ、

息遣いさえ殺したまま、そっと近づいた。

息を吸い込むと、

木の香りと共に冷たい夜の空気が、スウーッと

肺の奥深くまで染み渡った。

戸に触れた時──

スルスルと戸が開いた。


彼がそこにいた。

闇の中でも彼の存在はあまりにも鮮明だった。

黒い龍袍ヨンポの裾、それと極明な対比をなす白い肌、

そして、私をじっと見つめる奥ゆかしい眼差しまで、

全てがくっきりとしていた。


「夜が更けました。」


得体の知れない妙な既視感が

込み上げてくる雰囲気に、唇が先に反応した。

彼は頭をわずかに頷かせた。

不思議なことに、なぜか今日は彼の小さな動作がよそよそしく感じられた。


「…しばらく、一緒に歩いてくれないか。」


何かが深く宿っているその言葉に、どこか異質なものを感じた。

最近はこのような姿を見せることはほとんどなかったのに、

なぜか無言の彼の姿に、言葉を控えた。

まるで私に何か話したいことがあるようだった。

私はただ黙って頷き、彼の後を追った。


夜の宮は非現実的なほどに静かだった。

ただ、二人の足音だけが響く。

風は音もなく裂かれ、彼の服の裾が細く擦れる。

言葉はなかった。だが、その沈黙こそが雄弁だった。

彼が今夜、きっと何かを言おうとしていること。

そして、私がその言葉を受け入れる準備ができているか、確かめていることを。


黙々と彼の後について歩いていくと、道が少し見慣れなくなった。

慣れ親しんだ殿閣が視界から遠ざかり、

一度も行ったことのない方向に深く入っていった。

月明かりを受けて青白く輝く彼の顔が、どこかさらに遠く感じられた。

彼が歩みを止めた。


「…玉貞オクチョンよ。」


名前が呼ばれた瞬間、空気が止まるような感覚が音もなく巻き付いた。


「もうすぐ、教旨きょうしが下されるだろう。」


後宮。

その言葉に、胸の奥のどこかが少し沈み込んだ。

もう運命を避けられないという、宿命的な宣言。

彼を愛する私の心を嘲笑うかのように、

運命は私を道理のままに導いていた。


彼が手を差し出した。

何も言わずに、慎重に。

まるで長い間、心に秘めていた本心を取り出して見せようとする人のように。

その手を見つめながら、ふと抑えつけていた考えが込み上げてきた。


(…もし拒否したら運命は変わるだろうか? はあ…でも…なぜ心臓が先に騒ぎ出すのよ。)


指先が細く震えた。

息をゆっくりと吐き出し、彼の手にそっと手を重ねた。

その瞬間──

彼の暖かい体温がそのまま伝わってきた。


彼と並んで歩く道。

風さえも止まってしまった今、

何の言葉も交わされないのに、

何か熱いものが、絶えず胸の中でこみ上げてきた。


これから何が待ち受けているか分からない。

何も知ることはできなかった。

しかし不思議なことに、

彼が導く方向が自分のための道だと本能的に分かった。


彼が立ち止まった。

固く閉ざされた門、

その前で私は息を整えていた。

彼のつま先に沿って歩いてきた私は、

糸のように絡み合った思考のせいで、胸が苦しかった。

私の心はすでに彼のものだということを否定することはできなかった。

確信はないのに。

この感情だけは、その場に揺らぎなく行き届いていた。

そして不思議なことに──

それが少しも怖くなかった。

執筆活動が遅れてしまい、誠に申し訳ございません。


休暇後に無理がたたったのか、熱が39度まで上がり、ほとんど昏睡状態で過ごしておりました。今後は体調管理により一層万全を期す所存でございます。


お待ちくださった読者の皆様に、心よりお詫び申し上げます。

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