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朝鮮に落ちた女子大生、致命的な王に囚われる  作者: エモい姉さん
第二章 破局の始まり、そして深まる心
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筆先に留まる名




傾いた陽射しが便殿ピョンジョンの手すりに横たわっていた。

木目もくめに沿って差し込む光は、まるで遥か昔からその場にあったかのように、

何も言わず留まっていた。

机の上、幾重にも折り畳まれた書簡が一つ。

上膳サンソンが直々に上げた書簡であった。

指先に触れた紙の感触が、妙に冷たかった。

慎重に広げると、見慣れた筆跡が目に飛び込んできた。

淡々としていて端正な──

お母様の筆跡であった。

長く息を整えた後、ゆっくりと体を起こした。


淑儀スグィか。


王室の法度。

中宮チュングンの体面。

内命婦の位階。

朝廷の視線。

その全てが頭に浮かんだ。

頭ではなく、

胸の底に冷たく沈んだまま。


彼女は

その全ての枠の外で、

私が初めて手放さないと心に決めた人だった。


とても眩しい人。

まっすぐで堂々とした姿。

最も美しい名前。

彼女が私のそばに立つならば、

この国の春までも、彼女の後に染まろう。


「…玉貞オクチョンよ。」


唇の端からこぼれ落ちた名前。

声に出して呼ばなくても、常に胸の中に留まっていた。

静かに窓の外を眺めた。

彼女と分かち合った時間。

軽やかな風にもスカートの裾を揺らして笑っていた顔。

その全てが夢だったとしたら、

いっそ二度と目を覚ましたくないと思うほど、

彼女は私にとって特別な人だった。


筆を執った。

墨の香りがかすかに広がるその中に、心を乗せた。

一文字、一文字。

私の心の決意を込めて書いた。


「お母様にお伝えせよ。」


上膳が書簡を受け取って出て行くと、

便殿は再び静かになった。

しかし依然として、その場に座ったまま動くことができなかった。

記憶がふと、

彼女と向き合った初日に流れていった。

陽の光の下で輝いていた薄紅色のスカートの裾。

その裾の向こう、まっすぐに私を見つめていた澄んだ瞳。

その時からだった。

私の視線が、

私の心が、

彼女に留まり始めたのは。


窓の外を見ると、夕焼けが殿閣の端にかかっていた。

赤い光が瓦の上を滑るように染み込んでいった。

その光の下、

今、彼女は何をしているだろうか。

指先が震えた。

彼女にもう一度会いたかった。


ひどく愛おしい

一瞬たりとも手放すことができないほどそばに置きたい

かけがえのない私の女…


今夜も私は、やはり彼女の元へ行くだろう。

そして言うだろう。

私はお前を手放さないと。

世間が背を向けても、

朝廷が退いても、

私が最後まで守り抜く名、

それが「玉貞」であることを。

その言葉が、

彼女の胸に刻み込まれるように。

何があっても忘れられないように。

毎晩、彼女の胸をいっぱいに満たすだろう。

永遠に──


お帰りなさいませ。


再充電して戻ってまいりました。

再び心を込めて執筆に励んでいきたいと思います。

多くの読者の皆様からのご関心とご声援に心より感謝申し上げます。

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