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朝鮮に落ちた女子大生、致命的な王に囚われる  作者: エモい姉さん
第二章 破局の始まり、そして深まる心
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二人の女の座





風は静かに向きを変えていた。

澄んだ空はいつの間にかぼんやりとした金色に染まり、

木の葉の縁には季節がぴたりと息を殺したまま染み込んでいた。

応香閣ウンヒャンガクの窓の前に座り、移り変わる季節の空を見ていた。

秋だった。

夏の残滓が肩にそっと寄りかかっては通り過ぎ、

私の視線はかすかに染まる夕焼けの中に、あの人を描いた。


私が今こうしてのんびりと秋の空を眺めていることなど、分かっていたのだろうか。

いや、それよりも宮に再び入ることができるとは思いもしなかった。

いつからか彼の優しい声は風に乗って、窓の隙間から私の心を叩いていた。

その声に、私も知らずにふわりと笑みがこぼれた。


その時だった。


「ママ様、中殿チュンジョンママ様がお見えになりました。」


キム尚宮サングンの声は平穏であったが、その中には明らかに警戒が込められていた。

私の唇から微かな息が漏れた。


(中殿が直接、ここへ?)


大したことないと思っていたドラマの場面が、すっと頭の中を通り過ぎていった。

(『あのシーンは誇張がひどいと思っていたけど…』しまった。現実だった。)

心臓が鼓動を失ったかのようにしばらく空白を作り出したかと思えば、すぐに弦を弾くように速く鼓動した。

そして、何かに導かれるように体が立ち上がった。


「お通しなさい。」


その言葉が私の口から出るまでに、ちょうど三回息を吸い込まなければならなかった。

きちんと整えられた格子の戸が開き、その隙間から清楚な紫色の長衫チャンサムが先に見えた。

定められたように優雅な足取り、乱れ一つない威厳。

中殿 閔氏が応香閣に足を踏み入れた。

私を見つめる中殿の眼差しは、決して柔らかではなかった。


自然と体を低くした。

彼女が上座に座る前に、

席を空け、床に座った。

中殿は席に着くやいなや、周囲をざっと見回した。

応香閣の調度品一つ一つ、庭の植木鉢の配置に至るまで──

彼女の目は、ほのめかす刀のように動いた。


「宮での暮らしがどうであるか、何か足りないものはないかと思って立ち寄った。」


心一つ込められていない冷ややかな口調、

彼女の指先は膝の上に置いたスカートの裾をぎゅっと握りしめていた。

私が知らない間に、中殿はその感情を押し込めるために、多くのものを飲み込んでいたようだった。


「もったいないお言葉にございます。中殿ママ様。」


少しも乱れることなく頭を下げたが、

胸は休むことなくドキドキと打ち、動揺していた。

これは政治でも、単純な権力争いでもなかった。

今この場は、一人の男を間に挟んだ本妻と愛妾の対峙であった。


(…これを不倫ドラマとでも言えばいいのか、それともドロドロのロマンスとでも言うべきか。)


心の中では呆れて笑っていたが、表情はこれ以上ないほど穏やかに保った。

中殿の眼差しが、私を刀で斬りつけるように鋭かった。

淡々とした姿勢で応じるという気持ちで、

震えることも、顔を背けることもなかった。

平静な笑顔一つで、最後まで品位を守り抜くと心に決めた。


「まことに美しい佇まいだな、張尚宮。」


彼女の口元にかかったものは微笑みと呼ぶにはあまりに不自然で、嘲笑と呼ぶにはあまりに痛ましいものであった。

その言葉の中には、本心も、ある程度の逆説も込められているように見えた。

中殿は再び私をまっすぐに見つめた。

その眼差しは、もはや笑っていなかった。


「殿下が毎晩、ここへおいでになるとか。」


彼女は、その言葉が痛ましく感じられた。

その一言が、もしかすると、私に一番言いたかった言葉だったのかもしれない。

少し頭を下げたまま、沈黙を守った。

彼女の感情に巻き込まれないために。

彼女の怒りに反応しないために。

何かに動揺したかのような、不安げな動きが感じられた。

その瞬間、私は分かった。

彼女は今、

乱れぬ姿に崩れ落ちているのだと。

彼女は私を崩すためにこの場に来たが、

実際、揺れ動いているのは彼女自身であった。


その時だった。


戸が再び開いた。

無言の緊張が流れていた刹那を横切り、

しっかりとした足取りが応香閣の床板を踏んで入ってきた。


「殿下…!」


キム尚宮の短い息をのんだ叫び声が、遅れて漏れた。

身なりを整える間もなく戸を押し開けて入ってきたのは、粛宗スクチョンであった。

いつもと変わらず何の予告もなく、ただ──‘彼のやり方’で。

そしてその目には闇が宿っており、

表情と眉間はひどく険しくなっていた。

彼の視線が部屋の中をさっと一瞥すると、まっすぐ私に突き刺さった。

凍りついた私の肩越しに、中殿ママ様と向き合って座る私の姿が…


(ああ、おそらく殿下の目には、『これは、本妻の修羅場しゅらばか』のように見えたのかもしれない。)


中殿はすぐに席から立ち上がった。

言葉の終わりを慎重に選びながら、唇をぐっと押さえた。


「まもなく後宮冊封さくほう教旨きょうしが下されるとのこと…何か手配するものがあるかと思い、立ち寄りました、殿下。」


後宮…冊封…?


私の口が小さく開いた。

頭がほんの少し傾いた。

心臓が瞬間「ドクン」と沈み込むような感覚だった。


(いや、それは今、何の話…

じゃあ、殿下が以前言ったことが本当なの?)


目が本能的に見開かれた。

まさに「ウサギの目のようだ」とは、こういう時に使う言葉なのだろう。

何も言えず息をのんだ私は、粛宗の口だけを見つめた。


粛宗は眉をほんの少し上げた。

中殿の口から飛び出した「後宮冊封」という言葉に、妙に不機嫌だった気配が少し和らいだ。


「私は少し、張尚宮と話したいことがあって立ち寄った。中殿。」


その言葉はこれ以上ないほど簡潔だったが、その意図は明確であった──

立ち去れ、ということであった。


中殿の眉が微かに揺れた。

彼女の手がスカートの裾の上でしばらく止まり、

その震えを隠そうとするかのように、指先をピンと立てて美しい絹のスカートの裾を固く握りしめた。

彼女は感情の波を悟られまいとしたが、

その指先から崩れ落ちる自尊心は、薄い絹のようにありのままに露わになった。

粛宗はそれを見ていた。

応香閣の中にしばらくかすめた緊張、

怒りと体面が絡み合った抑圧された沈黙を、彼は誰よりも早く察知した。


「それでは、失礼いたします。殿下。」


中殿は静かに頭を下げ、立ち去った。

作法は乱れなく、足取りもきちんとしていた。

しかし彼女の唇は固く閉じられており、

戸を出る際にスカートの裾が敷居をかすめる音は、抑えられた感情の結末のようにかすかに聞こえた。

まるで何もなかったかのように唇を固く結んだ表情であったが、

その中には崩れゆく自尊心とほろ苦い感情がぎゅっと押し込められていた。


戸が閉まると、部屋の中には静寂が降り立った。

ついさっきまで二人の女の息遣いがぶつかり合っていた空間に、

今は二人だけ、

冷たい空気がしばらく流れた。


粛宗は何も言わなかった。

その沈黙は、堅く押された石の塊のように重くはっきりとしていた。

彼の足元には、依然として大殿の影がちらついており、

その残された感情がそのまま応香閣の空気を包み込んでいた。


しかし彼の視線がゆっくりと玉貞に留まり始めると、

堅く閉ざされていた眉間のしわが、ごく微かに解けた。

やがて空気が慎重に揺れ動いた。

言葉はなかったが、表情が少しずつ和らいでいくのを、誰よりも近くで感じることができた。

その静寂は、不快だったり張りつめたものではなく、

時間を計るようにゆっくりと整えられていた。

そしてその中で、

彼の瞳もついに落ち着きを取り戻しつつあった。

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