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朝鮮に落ちた女子大生、致命的な王に囚われる  作者: エモい姉さん
第二章 破局の始まり、そして深まる心
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王の宣戦布告





「なりませぬ、殿下!!」


便殿ピョンジョンの中を満たした声。朝廷の臣下たちが一斉に頭を下げた。

文武百官が一斉に立ち上がり、道袍トポの裾をひるがえして丁重に両膝をついた。

まっすぐ長く垂れた黒い紗帽サモの紐が板張りの床に引きずられ、

それぞれ異なる色の紺色の団領ダンリョンと、その上に付けられた胸背ヒュンベが静かに揺れた。

空気を覆う重い緊張の中、官帽の下から流れた汗の粒が、何人かの頬を伝い落ちた。


「殿下──どうか我々の忠誠をお汲み取りくださいませ。」

張尚宮チャンサングンを宮へ迎え入れられたことで、宮の内外の風聞が日増しにひどくなっております。」


静かに彼らの目を見つめた。

骨の髄まで隠していた怒りが燃え上がった瞬間であった。

朝鮮の王。

私の前で頭を下げる者たち。

しかし今日だけは──

まるで私が彼らの手のひらに閉じ込められた案山子かかしでもあるかのように、惨めな気持ちさえした。

喉の奥まで熱いものがこみ上げてくる気分。

こやつらは決して彼女のことを言っているのではない。

彼女を口実にして、私の意中を挫こうとしているのだ。


「貴様らが、まさか一線を越えるつもりか。」


冷たく投げかけられた言葉。

便殿の中の騒音が、嘘のように静まった。

指でゆっくりと肘掛けを叩いた。

誰か、一度口にしてみるがいい。


「殿下、民の間にも不穏な噂が広まっております。

賎しい身分の尚宮が宮の中を出入りすることが、どうしてまつりごとのためになりましょうか。」


ついに越えてはならぬ一線を越えてしまった。

賎しい身分の尚宮だと、


「よくも貴様らが、朕の個人的なことまで干渉するというのか。」


臣下たちの何人かがびくりと震えるのが見えた。

うつむいた頭の向こうで、狡猾な計算が転がる音さえ聞こえそうな静寂が流れた。

閔維重ミン・ユジュンが慎重に立ち上がった。官服の裾が微かに揺れた。


「殿下、元より朝鮮の太陽と月は、主上殿下と中殿ママ様でございます。」


落ち着いた声だが、その中に込められた意図は明確であった。中宮殿。閔素衣。


「陰と陽の調和が正しく立ってこそ、天の御心も安らかに留まるものでございます。

どうか中宮を固くお立てになり、民に安定をお与えくださいませ。」


冷笑が自然と漏れる言葉であった。

──中宮を立てよ、という言葉。

玉貞を再び宮の外へ追い出せと言いたいのだろう。


「後継を正しくお立てになり、朝鮮の行く末を盤石となさいますよう。」


聞くに堪えない、不愉快でさえある言葉に、これ以上我慢ができなかった。

席を外れ、ゆっくりと立ち上がった。道袍の裾が床を擦り、音を立てた。


「貴様らが王なのか、私が王なのか、分からぬな。」


何も言わず頭を下げている顔ぶれ。

しかしその口元に浮かぶ端正な顔立ちの向こうに、鋭い刀の気が感じられた。


「よし、貴様らがこれほど私のことに興味があるというのなら…事前に示しておくのが良いだろう。」


ゆっくりと大殿テジョンの中央へ歩み出た。

板張りの床を響かせる私の足音に、臣下たちの頭はさらに低く伏せられた。

彼らの姿が偽善のように感じられ、失笑が自然と漏れ、私自身も狂った人のように思えるほどであった。


私の言葉一つに縮こまる彼ら。

最初は滑稽だったが、今は──反吐が出るほど嫌悪感が湧いた。

もはや、この芝居に付き合ってやる理由はない。


「私の女として宮へ入った張尚宮に、後宮の牒紙チョプチを下す。」


息が止まるような静寂。

やがて便殿が沸き立った。


「こ…これはなりませぬ、殿下!」

「どうして賎しい身分の尚宮が…こ…後宮の牒紙をいただくなどと!」


降り注ぐ抗議に、私は冷ややかに目を細めた。


「やはり…西人ソイン天国という言葉は、伊達ではなかったようだな。」


深く息を吸い込んだ後、憤懣を押し殺し、言葉を続けた。


「よくも貴様らの口から、私の目の前で…

王の女を『賎しい』と申すとは、今にして分かった。

貴様らは私の頭の上で遊ぶ者たちであったのだと。」


凍てつくような寒気のように広まった言葉に、臣下たちはとうてい目を上げられなかった。

閔維重がゆっくりと頭を上げた。

震えが宿るその目を、私は避けずに見つめ返した。

閔維重に向かって静かに視線を投げかけた。

目は笑っていなかったが、口角は冷ややかに上がっていた。


「私は事前に示しておいたのだ。王を王と見なさぬ者たちへの…最後の配慮だとでもしておこう。」


そう言って、私は背を向けた。


ドン──


格子の戸が閉まる音に、大殿は息を殺した。

粛宗の足音は消えたが、彼の言葉はまだ空気の中に残っていた。

誰も敢えて頭を上げることもできず、固い姿勢で止まっていた。


張玉貞──

その名三文字が、深く朝廷の中心に降り立った。

臣下たちの目が素早く動き始めた。

目に見えぬ亀裂が一つ、また一つと、宮の中を伝って広がっていった。


その日以来、

宮廷の気流は微かに歪んでいった。

誰も口にはしなかったが、

殿閣の間をかすめる空気には、鮮明な不安が混じっていた。

目を合わせる臣下たちさえも慎重に言葉を控えるようになり、

静かに閉ざされた唇の間からだけ、戦雲が流れた。



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