暁の再会、そして黙された視線
夜が明ける頃、
空には淡い水煙が広がっていた。
夜明けが過ぎ、陽が昇り始めると、
玉貞の部屋の中にも微かな光が染み込んだ。
雨戸の隙間から差し込む金色の光の筋がビロードの布団の端を柔らかく濡らし、
その端に沿って彼女の指先がゆっくりと動いた。
鏡の前、キム尚宮とチョン内人が慎重に彼女の髪を整えていた。
輝く黒檀のように艶やかな髪の上に簪が置かれ、
その上に彼女に似て愛らしい 떨잠(トルチャム/揺れる髪飾り)が端然と飾られた。
静かに装身具を整えていたチョン内人の指先がしばし震えたが、
その震えはすぐに美しく収まり、
白い手が再び玉貞の肩を軽く撫でた。
ビロードの唐衣の裾の上で金糸の文様が反射してほのかに浮かび上がった。
青色と紅色が重なったチマ(スカート)の裾が部屋の光を受け、
まるで水面のように揺らめき、
玉貞の眼差しは正面の鏡を静かに見つめていた。
玉貞の顔は淡々としていた。
しかしその淡々とした表情の下、
微かに震える瞼と小さく動く口元が静かな決意を宿していた。
心の一隅では冷たい氷の欠片が溶け出すような不安感がむずむずと這い上がった。
入宮。
その単語一つに込められた重み。
愛する人の隣に戻る道でもあったし、
宮中での暗闘の深淵に足を踏み入れることでもあった。
キム尚宮が静かに後ろへ下がった。
チョン内人も頭を下げて言葉を続けた。
「ママ、ご準備はよろしゅうございますか。」
短い息。
毅然とした頷き。
駕籠が庭の前に準備されていた。
丸く巻かれた簾が巻き上げられると、
駕籠の中のビロードの座布団の上に、身を慎重に乗せた。
ゆっくりと動き始めた駕籠。
動く音、内人たちの足音、周囲の風景がゆっくりと流れた。
窓を通して広がる日差し。
風に揺れる香り。
宮へ向かう道は穏やかで、
その静けさがむしろ緊張感を高めた。
再び戻るこの道が、ただ喜ばしいばかりではなかった。
(これから私はどうなるのだろう…。)
中殿との争い、そして生き残るための足掻き。
その全てを彼のために耐えねばならず、
愛するゆえに耐えようとした。
深い溜息が混じる中、
遠くの方にかすかに宮廷の門が見えた。
金色の丹青の下に広がる大きく重い門。
その門の向こうに、彼がいるだろう。
門を通り過ぎてどれほど歩いただろうか、
揺れていた駕籠が止まった。
しばし感じる静寂。
息さえ止まりそうな刹那の静寂。
心臓が不安げにドクン、ドクン、と鳴った。
すると戸がゆっくりと開いた。
赤い丹青の下、
粛宗が立っていた。
その存在感がまるで巨大な波のように私を押し寄せた。
しばし立ち止まった彼女が、やがて温かい目で彼を見つめた。
翼善冠の下、端正な目元。
抑えられた感情だが、その中に染み込む震え。
胸に押し込めていた恋しさが、
両目に込められたまま彼女を見つめていた。
粛宗は何も言わなかった。
ただ手を差し出した。
何も言わずに、
玉貞は駕籠の中からゆっくりと身を起こした。
その手を見つめ、
口角をわずかに上げた。
その笑みには、長い間こらえてきた心が溶け込んでいた。
愛が満ちた微笑みを浮かべながら、
ゆっくりと、彼の手を握った。
温かい彼の温もりが指先を伝い全身に広がる瞬間、
全世界の空気さえ止まったようだった。
彼が手を引くと、
彼女は軽く身を起こし、
二人の間に何の言葉もなかったが、
繋いだ手の向こうで全ての感情が伝わった。
粛宗の顔に静かな微笑が浮かんだ。
彼女がこの世界に来て初めて見た彼の微笑みに似ていた。
彼女を揺さぶる、そしてあまりにも致命的なその微笑。
彼の微笑が彼女の心に触れ、胸がくすぐられた。
その全ての場面を、
まるで毒を宿した刀のように冷たく、
目を離せないまま見つめる者がいた。
中殿 閔素衣、
彼女の眼差しが痙攣するように震えた。
長い間、震えが続き、
一瞬、唇を噛み締めて何も言わなかった。
いや、何も言えなかった。
ただ静かに、内側に怒りを鎮めねばならなかった。
奥歯を食いしばり、
手に握っていたスカートの裾がゆっくりとくちゃくちゃに丸まった。
粛宗の心が自分のものではないということは既に知っていた。
自分は中殿になるために取引をし、
今の状況はその取引の結果だ。
それ以上でも以下でもない。
だが──
あの男の微笑が、
あの女の微笑と、
一つに重なるのを見ると、
崩れる感情の波が
彼女の心の中を深く掻き乱した。
一度も見たことのない微笑、
彼女に与えられたことのない彼の隣の席、
受けたことのない彼の心まで全て彼女に向いていると感じられ、
こみ上げながらも流れることのない涙が
胸のどこかに溜まっていた。
口を閉ざした。
彼らの幸福そうな姿にこのままでは負けられないとでも言うように、
再び腰を真っ直ぐに伸ばし、振り返って歩き出した。
彼女の足取りは断固としていた。
冷たく冷えゆく心の中で、
膿むような怒りが刃のように鋭く研ぎ澄まされていた。
何事もないような顔で幸福そうに微笑む二人を後ろにし、
自身の処所である交泰殿へと足取りを向けた。