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朝鮮に落ちた女子大生、致命的な王に囚われる  作者: エモい姉さん
第二章 破局の始まり、そして深まる心
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大妃殿の朝




陽が窓枠を越える前、

宮廷には先に静寂が訪れた。

ほのかに広がる古くからの香のように、

朝の時間は大妃殿テビジョンの庭を静かに包んだ。


大妃テビはいつものように席に着いており、

その前に中殿チュンジョンとなった素衣ソイが慎重に歩みを進めた。

美しい音さえ立てまいと爪先を丸め込み、

端正に腰をかがめて礼を捧げた。


「おばばさま、張尚宮チャンサングンを…宮へお迎えしたいと存じます。

殿下のお志もございますゆえ、どうかお汲み取りくださいませ。」


その言葉が全て届くまで、

部屋の中では慎重な息遣いすら許されなかった。

大妃は長い間、視線を伏せていた。


(そうだ、おばばさまならば…

反対なさるかもしれない。

叔父様スクブニムは、誰よりも張尚宮と敵対してきたと仰らなかったか。)


思ったよりも長い大妃の沈黙に、頭を垂れていた顔を上げた。

その扇の向こうの無表情な顔からは何も読み取れなかった。

ついに目を上げ、ごく小さく頷いた。


「中殿の思うようにしなさい。この母も殿下のお志に従いましょう。」


短い一言。

感情の余白──

それは許諾であった。

中殿はしばし立ち止まった。

何かを打ち付けられたように、

自分が望んだ答えではないというように、しばし眉根を寄せた。

その瞬間、大妃の眼差しが素早く変わった。

そして、すぐに我に返ったように再び頭を下げた後、


「はっ、それでは、殿下のお志を奉じ、入宮を進めさせていただきます、おばばさま。」


震える声を抑えようと何度息を吸い込んだか分からなかった。

大妃は分かったというように頷き、

中殿は最大限に丁重で淑やかな姿勢で礼を整えた後、背を向けて出て行った。

その後ろ姿からは、いかなる感情も読み取れなかった。

ただ静かに、何かを固く閉ざした唇のように、硬い線がそこにあっただけだった。


その場に残された大妃は、静かに窓の外を眺めた。

梅はもう散り、萌黄色の葉が風に少しずつ揺れていた。

眼差しは遠かったが、その中には穏やかな心がたたえられていた。


「宮が…私邸よりは安全であろう。」


誰も聞くことのできなかったその言葉は、

ただ静かに静寂の下へ沈んでいった。


中殿が再び中宮殿チュングンジョンに入った時、宮の中にはいつの間にか陽が広がり始めていた。

しかし、その光の下に立つ彼女の影はひときわ長く重かった。

張尚宮を迎え入れることが避けられない「取引」であったという事実が、

襟のように心を締め付けてきた。


席に着き、教旨キョジを書く準備をしながら、

彼女は長い間、筆を手に取ることができなかった。

指先は以前から震えていた。

彼女は分かっていた。

張尚宮が再び宮へ入ってくれば、この場所の空気は変わるだろうと。

誰よりもその女がもたらす波紋をよく知っていた。

しかし、抗うことのできない波となった以上、

今、彼女はその波を受け入れる立場に立たねばならなかった。


彼女はついに筆を取り、教旨を書き綴った。

筆先が紙を押す感覚が、心を圧し潰す感覚と似ていた。


その夜、

中殿は布団の中でも目を閉じることができなかった。

月光が障子を伝って広がり、彼女の横頬を撫でた。

静かな夜、

内面は休む間もなく揺れ動いていた。

宮の静寂の中で、最も大きく波打つのは

中殿自身の心であった。

しかし結局、彼女は深く息を吸い込んだ。


「守らねばならぬ…中宮の座を。」


独り言のようであったが、その言葉は自らの決意でもあった。

目を閉じた彼女の顔の上に

風が静かに、触れるように降り注いだ。

眠った顔のようであったが──

彼女はまだ、

目を覚ましていようと努めているようであった。

まぶたの下で、語られぬ心が静かに流れた。

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